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2017年12月12日

第23回シクロクロス全日本選手権2017レポート

12月9-10日の2日間で行われたシクロクロス全日本選手権。今回で23回目を数えるが、記念すべき第1回は1995年開催と、日本での歴史はトラックやロードと比べるとそれほど長いわけではない。振り返ると大原満(3連勝)、辻浦圭一(9連勝)、竹之内悠(5連勝)、女子も南部博子(3勝)、唐見美世子(2連勝)、真下正美(2連勝)、豊岡英子(8勝)、宮内佐季子(2連勝)、昨年、一昨年の勝者は坂口聖香(2連勝)と複数年に渡って王者が君臨する様相であった。

今大会2017-18年度に関しての男子エリートの下馬評では少なくとも5人の選手が優勝候補に挙げられており、誰が勝ってもおかしくないという選手層にも厚みが増してきた感がある。女子カテゴリーも昨年覇者の坂口、勢いのある今井、そして女子ワールドツアーの與那嶺と見応えがある。また数年前から取り組んでいるマスターズカテゴリーの実施など、アクティブなシニア層にも門が開かれている点も評価できよう。

とはいうものの、シクロクロスは特殊な競技でなかなかハードルは高い。だがこの競技は見ても楽しめる。今回のシクロクロス全日本選手権はそういった意味では、日本一を決めるレースながらも殺伐とせず野辺山クオリティとでも言おうか、その雰囲気は実にアミューズメント性に長けている。そういった見せ方も客足に大きく影響をするだろう。乱暴な寒さだったが、今回観戦に訪れたファンはまさに勝ち組。これからの選手権大会にもイベントとしての高いクオリティを保ってほしいものである。

前述の通り、非常に低い気温となった南牧村。大会前日の金曜日には雪も降り、コースは一面雪化粧となった。この雪によってコースの性格は大きく変わったのだ。

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筆者もマスターズカテゴリーの40-44の部にエントリーをしており、実際にコースを走ってみたのだが、いわゆる重たい雪ではなくさらっとしていて、足元も締まりがいい。おっかなびっくり試走したが、気温が低すぎて日陰は溶ける気配すらない。日光が当たる部分は解けた雪が再び冷えてアイスバーンと化す。見た目には判断がつかず筆者もタイヤを取られて転倒した(レースでは別の場所でグリップが抜けてディレイラーを見事に曲げてDNF)。と、とても難しいコースとなった。物珍しさもあってか泥より数倍楽しいというのが率直な印象だ。

しかしながらマイナス10度という超低温に、コンディションを落とした選手も多かったことだろう。これまで体験したことがない気温の中でのレース。厚手のウインターグローブを着用していても指先の感覚はすぐになくなる。ウエットでないのが唯一の救いである。

 

マスターズカテゴリーでは筧兄弟がそれぞれ年代を制す
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マスターズクラスは年齢区分(40-44、45-49、50-54、55-59、60–64、65+)女子は40-49、50+となる。40-44、45-49の2カテゴリーでは筧太一、筧五郎の兄弟優勝が実現する。4年ぶりのタイトルとなった筧太一は「2ヶ月間、一緒に(五郎が)練習をしてくれた。辛かった。彼がいなかったらここに登れなかった」と話す。筧五郎はコースについて「雪は昔の信州クロスを思い出しましたね。そしてヨーロッパのコースみたいだった」。勝者はすべからく努力している。マスターズクラスの選手権のような、年齢に関係なくモチベーションを高く保ち競技へ取り組むための土壌があると、生活にも活気がうまれるだろう。歳をとってもチャンピオンになれる、それが原動力になる。

マスターズ 各クラスの結果

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Men Masters 40-44
1 筧  五郎 22ME9701178 愛 知 イナーメ信濃山形 36:11
2 國分 圭二 23MM0001607 三 重 Mt.HASE321 +0’06”
3 伊澤 一嘉 26MM9701707 京 都 Tonic CX Team Japan +0’08”

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Men Masters 45-49
1 筧  太一 22MM9701396 愛 知 BUCYOCOFFEE/CLT 36:21
2 竹田 佳行 11MM9700658 埼 玉 kei’spower! +0’20”
3 小田島貴弘 14MM0800350 神奈川 maillot SY-Nak +1’09”

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Men Masters 50-54
1 村田  隆 17MM0200198 ⾧ 野 快レーシング 38:21
2 羽鳥 和重 11ME1000855 埼 玉 cycleclub3UP +0’08”
3 浅井 秀樹 11MM1100203 埼 玉 SNEL CYCLOCROSS TEAM +0’15”

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Men Masters 60-64
1 小林 英樹 COGS 17MM0001414 37:07

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Men Masters 55-59
1 石田 純之 26ME1602604 31:22
2 牧野  元 Team ARI 13MM0901230 +0’13”
3 原野 博明 エキップナカムラ 21ME1703487 +2’19”

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Men Masters 65+
1 茅野 利秀 スワコレーシングチーム 17ME1703501 37:12

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Women Masters 40-49
1 綾野 桂子 11FE9901109 埼 玉 cycleclub 3UP. 26:57
2 水谷有紀子 23FM9701590 三 重 BUCYO COFFEE/CLT Cycling Team +1’39”
3 清水 朱実 18FM1101461 富 山 北陸ドロタボウ =2’41”


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レースディレクターの矢野大介氏が語る、全日本選手権スペシャルコース

ーこのコースはどのようなイメージで作りましたか?

2週間前(Raphaスーパークロス野辺山2017)とは走った感触が違うようにしたかった。また日曜日の4レース(ジュニア、U23、エリート男子・女子)にかんしてはもう少し長い距離を走らせたかった。スピードがもっとでるようにして、なおかつ溝を超えるようなスキルも必要。スピード感というのはヨーロッパのようなスタイルにはなっていると思う。ものすごいスピードが出るところとそうでないところとのメリハリによって脚だけでは勝てないように。この雪がそうしてくれましたが、脚だけではぜったい勝てないコースに。初日もそうでしたが、トップの2〜3人が接戦になっているので、すごくよいレースになりました。どこでもミスが起こるコースになってしまったので、緊張感もある。

ーこの雪は想定していましたか。

ここで降る雪はドライなのでグリップするんです。それを知っているか知らないかだけでも大きな差がでましたね。実は雪の上を走った方が滑らない。最初からそういう雪ということをわかっているのは長野の選手くらいでしょうから、試走のときにラインを見つけられる人とそうでない人にわかれたでしょうね。多くの選手が他の人と同じラインを走っているので、そういうところでも差がでるのではないしょうか。その上で男子エリートは5〜6人が優勝圏内なので、とても面白かったですよね。

^50km/hに達するスピードが出る場所がありましたが

そこがヨーロッパぽいというか。怖いスピードが出すことができる。あの溝をバニーホップで越えられる選手はそのままスピードを載せて下までいける。キャンプ場のところのコーナーでも段差を越えた後の入り方によって、3つ先のコーナーのこなし方も変わってしまう。ミスひとつで4〜5mの差をすぐに埋められたりするので、それがメンタルにどう影響を与えるかというのもポイント。
足が出し切れないコースですよね。ゴール後に力を出し切った!というよりもわりと足が余っていてまだまだいけるような感じになると思います。

ーこのコースは野辺山のスタンダードになりますか?

テクニカルな部分、とくに溝の区間などを処理するのは下のクラスでは難しいでしょうから行うとしてもエリートだけでしょうね。

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