2019年08月22日
執念 〜入部正太朗、2019年全日本選手権優勝への軌跡~(前編)
練習量が1.2倍に
そして成績向上につながったのは、昨シーズンから取り組んでいるパワーメーターを活用した調整方法だ。昨年、当サイトでも「パワーメーターのデータ分析で調子の波を支配する! シマノレーシング入部正太朗(https://funride.jp/feature/shimanoiribepower/)」として紹介した。
パワーメーターのデータ分析を、パフォーマンス向上につなげているのが入部の強みだ
「監督に教えてもらって、去年からTSBシミュレーターを中心にやっていますけど、練習の内容を今まで以上に切り詰めていったら、思った以上に成果に繋がりました。明らかに伸びていることを感じています」。
トレーニングを見直したことで、結果的に練習量も増えた。入部がベースと呼ぶCTL(42日間のTSS=トレーニングストレススコアの平均値。長期的な体力のベースを示す)の最高値は17年と18年で1.2倍ほど上がったという。言いかえれば、20%練習量が上がったということだ。
「今までどんだけサボってたんだってことですね(笑)。20%上げたら、内臓がもたなくなってきて、休養をより意識してとらないとダメというのも新しい発見でした。自分なりのアレンジを加えて、絶食時間を作って内臓を回復させたりしています。今でも試行錯誤して人体実験を継続中。30歳になって失敗も多くは重ねられないけど、近道もできないので」
結果、この年はツアー・オブ・タイランド、ツール・ド・熊野と2つのUCIレースでステージ優勝を挙げたほか、多くのレースで印象に残る走りを見せ、国内トップレーサーとしての地位を強固なものにした。
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。