2021年07月01日
【KABUTO VOLZZA】ヴォルツァ/新世代のミッドレンジモデル レビュー
ヘルメットはライダーの意識を表現するアクセサリーである。軽量化のために高価なパーツをセレクトするヒルクライマーなら、ヘルメットにも軽さを求めるだろうし、夏は体温のコントロールがパフォーマンスに大きな影響を与えると知っている人なら、効率的な放熱性に興味が湧くはずだ。空気抵抗やデザイン、フィット感……“いいヘルメット”を定義する項目は多岐に渡る。
頭部を守るという原理原則を疎かにすることなく、安全とライダーの快適性をいかに高い次元でバランスさせるか。それがヘルメットメーカーの課題であり、ヘルメットに多くの種類がある理由の1つである。
カブトがリリースした“ヴォルツァ”は、発売が開始されたばかりの最新モデルだ。最高級モデルの“イザナギ”で培った知見を、ミッドレンジモデル用に相応しいスペックに磨き上げた意欲作だ。
なかでも注力したのが、均一な締め心地と深い被り心地を両立するセミフローティング構造と、ボアシステムを採用したアジャスターの微調整ができる“KBF-2”フィットシステムの2つ。
他にも、内部へ効率的に空気を取り込み、放熱させつつスムーズに排気できるように、CFD(数値流体力学)解析によってホールの大きさや位置を最適化。
ミッドレンジクラスに求められるコストとのバランスにも挑み、ヒルクライムからロードレースまで幅広い守備範囲を手にしている。
豊富なカラーリング
これほどまでにカラーバリエーションが豊富なミッドレンジのヘルメットがあっただろうか。ウエアやバイクとのカラーコーディネイトに迷うことはない。
カラー:ホワイトシルバー、ガンメタカーキ、マットトランスパープル、ホワイトブルー、ガンメタイエロー、マットブラックガンメタ、ブラックレッド
価格:17,600円(税込)
IMPRESSION
菊地:カタログよりも現物の方が高級感がある。カブトは以前よりも全体に質感が上がっているね。
山本:アジャスターひとつとっても、BOAダイヤルを採用していて微調整しやすい。ミドルにこれまで採用された例は少ないですよね。上位グレードに引けを取らない演出。
菊地:アジャスターが優秀になったとはいえ、頭の形が日本人は欧米人とは違うでしょ。やはり日本人向けに帽体の内部形状がデザインされているアドバンテージは大きい。
山本:帽体が深めで包み込むような安心感。多くの方はアジアンフィットなのでサイズ選びに迷うことがないでしょうね。デザインのまとまりもいいし、カジュアルでもトレーニングやレースにも使える懐の深さを感じます。
菊地:ヘルメットって消耗品だから、価格が抑えられているのもヴォルツァの武器のひとつでしょう。最上級モデルと比べたら少し重いかもしれないけど、それよりもフレッシュなヘルメットを被っていることの方が大切なんだよ。
山本:通気性も上位モデルと比較しても遜色はないですね。そして、カラーバリエーションが豊富でウェアの着こなしに合わせやすい。
菊地:アジャスターとかアゴ紐の質感がよいのも美点だね、このヘルメットは。
問い合わせ:オージーケーカブト
URL:https://www.ogkkabuto.co.jp/bicycle/
#OGKKABUTO
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。