2017年06月23日
【MAVIC】2017/6/20 ロード用チューブレスホイール USTシリーズ発表
マヴィックよりついにロードバイク用チューブレスホイール&タイヤ【USTシリーズ】が発表となった。マヴィックのUSTチューブレスホイールタイヤシステムは1999年にリリース。2000年中盤にはTDFなどで実戦投与こそされなかったが、チューブレスホイールの存在は確認することができた。大手競合メーカーがこぞってリリースするなか、マヴィックは慎重に開発を進めた。そして10年余の年月を費やし、2017年6月20日が記念すべきチューブレス発表の日となった。市販レベルに到達した、という認識をもとにこの新しいシリーズはどんなパフォーマンスなのかご紹介しよう。
マヴィックのチューブレスホイール ヒストリー
1999/MTB用チューブレスシステムをハッチンソン、ミシュランとの共同開発スタート。
2002/MTB用チューブレスホイールがETRTO規格に認められる。
2000〜2005/マヴィックとハッチンソン、ミシュランとシマノが協業し、ロード用チューブレスの開発に取り組むがマヴィックとミシュランで当時の技術では目標の性能に到達しないと判断する。
2015/オールロード、グラベル向けのチューブレスの開発、テストを実施。
2016/ハッチンソンとマヴィックによる25mmタイヤに向けた新しいコンパウンドの開発を進める。
2017/ロード用USTシステム完成。
3本の柱【EASY、SAFE、FAST】
EASY=メンテナンス性
ひとえにチューブレスタイヤの装着しやすさ、エアーを入れたときのビードの上がりやすさを追求したリム形状、そしてタイヤにも同様に装着しやすいような工夫が見られる。これらはUSTチューブレスホイールタイヤシステムとして、USTホイールとUSTタイヤを組み合わせたとき、最大限に発揮される。まずリム内部の形状にポイントがあった。タイヤのビードを落とす溝の角度を独自のR4.5のカーブに設定。さらにカーブの先に突起を設けることで、ハンディポンプのようなロープレッシャーにおいてもビードが上がりやすくなったという。
SAFE=安全性
厳密なETRTO規格基準を凌駕するほどのタイヤとホイールの精度を実現。さらに前述の形状設計によって、タイヤが外れにくく、より高いセーフティマージンを獲得している。路面との唯一の接点であるホイール&タイヤには、絶対の信頼が必要である。マヴィックのロード用チューブレスが登場したことで、チューブレスのステータスはワンランク上へ押し上がった。実際にタイヤの装着を試すことができたが、ユーザビリティはこれまでのチューブレスタイヤからは考えられないほどスムーズに取り付け作業ができる。
FAST=速さ
いくらシステムが優れていても、スピードにつながらないと本末転倒である。チューブラーのしなやかさ、クリンチャーのメンテナンス性という双方のメリットを兼ね備えることを目指したマヴィックのロードUSTチューブレスシステムはタイヤ内部のチューブを排除することでエネルギーロスを大幅にカットし、さらに転がり抵抗も低くなったという。チューブレスのメリットともいえる低圧走行も可能で、快適性向上にも振り幅がもたせられるので幅広いシーンに対応ができる。
後述するが、フルカーボン製のチューブレスホイールの登場も大きなニュースだろう。重量や空力に対しても、ユーザーのニーズに応えることができる。これはチューブレスシステムにおける大きな進展といえる。
マヴィックはホイールだけでなく、タイヤも同時に開発を行う。新型タイヤはマヴィック・イクシオンシリーズにチューブレス対応モデルがラインナップされる。製造はハッチンソンが担当した。もちろん他社製のチューブレスタイヤを使うこともできるが、マヴィックのUSTチューブレスシステムを最大限に活かす組み合わせは、マヴィック・イクシオンプロUSTタイヤ以外ないだろう。チューブレス用としてワイドリム対応、25mm幅を用意した。コンパウンドはハッチンソンの最上級モデルであるフュージョン5にも用いられるイレブンストームを採用している。
デモながら、ほぼフルラインナップが展示された。初回の発売開始は7月予定で、アルミホイールのキシリウム プロUST、キシリウム エリートUSTから販売を開始する。
筆者はチューブラー派で、クリンチャーやチューブレスのメリットこそ認めるものの、重量という点においてはやはり後じんを拝するシステムであると感じていた。だが、マヴィックの新たなUSTチューブレスシステムを目にすると、いよいよ認識を新たにする時期になったといわざるを得ない。ディスクブレーキ搭載のバイクユーザーにとってもいいニュースだ。
そしてハイスペックなフルカーボンホイールを複数用意していることも大きい。シマノが先発しているものの、タイヤも含めたシステムは世界初だろう。さらに空力に特化したスーパーディープにかんしてはチューブレスのネックである重量ももはや克服した感がある。今後は確実にワールドツアーのレースにも導入されるはずで、一般市場においてもチューブレスホイールのカンフル剤となることは間違いない。第3のホイールシステムは長い潜伏期間を経たが、いよいよ本格的に活発化するだろう。
関連URL(価格やスペックはこちらより):https://shop.mavic.com/ja-jp/rodo-toraiasuron/hoiru.html
写真と文:山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得