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2016年05月13日

梶原悠未×BIORACERは勝利への数式となるか

ビオレーサーのスピードウェアはタイムトライアルの世界選手権やトラックレースで多くのトップ選手が自費で購入する非常に優れたウエアだ。各国のナショナルチームのサポートを行なっており、ベルギー、ドイツ、オランダ、フランス、そしてルクセンブルグだ。風洞実験データを元に開発した身体にフィットする特殊なパネル形状、風のあたる位置・スピード・流れを考慮した複数種類の特殊生地の組み合わせ、各種競技の平均速度にあわせた生地の組み合わせ・縫製箇所の微調整が行なわれ、競技によって最適化されたウエアが大幅なパフォーマンスアップを可能にしている。プロチームにおいてはウエアサプライヤーがついているが、自費購入しロゴを消してまでもビオレーサーのスピードウエアを使う選手が多く存在している(識者が見ればすぐにわかるそうだ)。速く走れば走るほど影響が大きくなるエアロダイナミクスは1秒を削りたいプロにとっては重要な問題だろう。見せかけだけのエアロワンピースが氾濫している中においてビオレーサーの理路整然とした商品は高額ではあるが、それだけの価値がある。そしてここに日本のホープとも言える選手が、ビオレーサーのスピードウエアをまとうことが決まった。今年度から筑波大学へ進学した梶原悠未選手だ。彼女へのインタビューとともに、日本ではまだ広く知られていないビオレーサーの高性能ウエアについての取材も行なった。

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2016年の全日本トラック選手権で披露された梶原のビオレーサー スピードウエア。

梶原悠未(かじはらゆみ):1997年、埼玉県出身。水泳に没頭していたが、高校(筑波大学付属坂戸高校)から自転車競技へ転向。2015年のアジア選手権(タイ)ではジュニアで5冠(ポイントレース、個人追抜き、団体追抜き、タイムトライアル、ロードレース)を達成、同年、世界選手権ジュニア女子ロードレース4位、ジャパンカップ オープン女子優勝。2016年、アジア選手権 エリート女子スクラッチ優勝、全日本自転車競技選手権大会トラックレース 女子エリートポイントレース優勝。


編集部(以下、編):まずはこのBIORACERについて。このメーカーを選んだ理由は?

梶原悠未(以下、梶):ウェアにおいて空気抵抗に研究されていて定評があることは知っていました。先日の世界選手権でも各国の選手が着用されており気になっていたのです。

編:装着したときの最初の印象をお聞かせ下さい。なにか手応えはありましたか?

梶:ウェアと身体が密着していて、一体感がありますね。今までのパッドでは股ズレが生じていたので、今回もパッドが気になっていましたが、股ズレもなく不安もなくなりました。

編:かなりタイトなウエアに見えますが、きつい着圧感はあるのですか? レース中にエアロ効果など実感できましたか?

梶:ウェアの着圧感は今までのウエアとはまったく違って、身体にぴったりフィットしていて、ほどよい着圧感があります。着ているという感じではない密着感があり、一体感という感じですね。エアロ効果については乗車姿勢が取りやすく、前傾したポジションがとりやすいです。風をはらむようにパタパタせず、生地の余り部分がありませんでした。また、いつもよりも体温が下がらないことも感じました。通常はレース中に汗をかいて身体が冷えてきますが、BIORACERの生地は汗を吸収するので、汗をかいていないように感じました。

編:ポイントレースで勝利しましたが、もっとも得意な種目は? 得意な走り方は?

梶:ポイントレースとロードレースが得意です。走り方はジュニアの時から、逃げからの持久力勝負とスプリントに持ち込むのが得意です。海外を見据えた時の課題としては、スプリント力です。ラップできる持久力とスプリント力を身につけ、世界に通用するには仮のアタックを何回もできる様になりたいです。

編:進学後は親元を離れることになりますが、現在はどのような生活、または活動状況なのでしょうか。

梶:最初一人暮らしは不安でいっぱいでしたが、自炊や家事にも慣れてきました。活動状況は筑波大学の自転車競技部に所属しながら、ナショナルチームの海外遠征や強化合宿がメインになります。今後は学連のレースやヒルクライムにも参戦してみたいです。

編:高校から大学へ。環境が変わることで、どんなことが可能になりましたか?

梶:高校時代は顧問の先生と相談しながら、トレーニングを行ってきましたが、大学では自分でトレーニングメニューを考え、自立したアスリート生活ができる様になりました。具体的には高校の時は、トレーニング3時間前の食事やトレーニング後30分以内の食事などを心がけていましたが、学校から自宅までが遠く、夜ご飯が遅くなるなどで実行できなかったです。大学では家までの距離が近く、周りには何でもあるので便利です。素晴らしい環境で自分次第で色々なものを学べ、生活に無駄がありません。

編:ご自身としてはロードレースとトラックレースはどちらに力を注ぎたいのでしょうか?

梶:どちらにも力を注いでいきます。トラックではスピード力を、ロードレースでは持久力を身に付けることができます。スピード力と持久力を身につけ、東京オリンピックでの金メダルを目指したいです。

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編:トレーニングはどれくらいの量をおこなっているのでしょうか? 特に、現在パフォーマンスを上げるために強化してきたい点は?

梶:筑波に来たばかりで、具体的にはこれからですが、平日は大学でトレーニング、土日は地元のお世話になっているプロシップのチーム練習に参加しています。現在は6〜8時にロード練習を行ない、大学での講義後に16時からウェイトトレーニングや固定ローラーを使ってトレーニングしています。今後はトレーニングパートナーを見つけて、5〜8時の3時間をロードトレーニングすることが目標です。現在の環境が良いので、多くのことを学びながら、エリートの国際大会で通用するスピードとパワーを手に入れたいです。

編:今季の活動目標。成績目標を教えてください。また将来的な展望も。

梶:エリート1年目なので挑戦する気持ちで、全日本ロード選手権では積極的な走りで臨んでいきたいです。今季は世界選手権出場が目標です。チャンスを掴んで、将来的には日本のエースになりたいです。

編:自分に期待することはなんですか?

梶:今までは、高校の顧問の先生の指導方針で伸びしろを残すトレーニングを行なってきました。これからは、もうその伸びしろを埋めるだけです。故障や怪我には、気をつけながらも、今まで以上のスピードで成長する自分に期待したいです。


2月某日、ビオレーサー スピードウエアのフィッティングが行なわれるとのことで、取材を敢行。その模様をお届けしよう。またポイントレースではナショナルチャンピオン、スクラッチはアジアチャンピオンということでこの特別な2着についても制作が開始されている。

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ベースを決めるためにもっともフィット感のよいサイズのウエアを選ぶところから始まる

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フィッティング用のウエアの全体には1cm各のグリッドが設けられている。余剰部分と足りない部分を調整するためだ。

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レースで使用する自転車にまたがり、ライディングフォームを取ったときに最適な着用感になるよう調整を行なう。

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ややきつめのウエアをチョイス。脚に合わせると丈が長いので寸法を調整する。

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背中や、腰回りなど屈曲する部分は念入りに調整を行なう。

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制作部門へ送るための撮影。部位ごとに念入りに。

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BIORACER スピードマスターと呼ばれるおよそ30〜40分ほどのフィッティングとウエアオーダー。この料金は2着のウェア及びフィティングでおよそ料金は15万円となる(出張費別)。

 

(写真/編集部)

問:クランノート  http://bioracer.jp/

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