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2015年11月26日

サーヴェロ社CEO フィル・ホワイト氏、ロバート・デ・ヨング氏 インタビュー

サーヴェロを作り出した“エンジニア”にしてCEOであるフィル・ホワイト氏、アジア地区の管理を行なっているロバート・デ・ヨング氏がサイクルモードのために来日。編集部では、サーヴェロのブランドイメージや現在の状況についてインタビューを行ないました。

編集部(以下、編): 2012年にポン・ホールディングスに加わったことで、どのようなアドバンテージが得られましたか?

フィル・ホワイト氏(以下、P):ポン・ホールディングスに入ったことで、ガゼールなどの大きなブランドと同じグループになることができました。そしてヨーロッパで展開することでコストカットを可能にし、またユーザーと近いポジションにいることができるのが最大のメリットといえます。今回、同行しているロバート氏の存在も大きいですね。彼はもともとポングループの出身で、フォーカスとサーヴェロにおけるアジア地区のマーケットを担当しています。

ロバート・デ・ヨング氏(以下、R):アジア地区でのプロモーションにおいても大きなアドバンテージを得られています。1995から1996年にサーヴェロを立ち上げた当時は、開発して物を売って資金を得て、また開発してというところで、うまく回ればいいのですが、開発に回す資本がタイトなこともありました。

P:そこでポングループの存在は非常に大きく、ファイナンシャル的に安定しました。とくにキャッシュフローのことが一番重要で、技術的な面で長期にわたって資金が必要になります。製品を作ってそれを売って、お金を回収するというのは、時間もコストもかかるので、ポンホールディングスによって資金を得たというのは大きな出来事です。

編:ヨーロッパには支部を設けたということですね?

R:ヨーロッパとアジア、オーストラリアにリージョナルオフィスがあります。ヘッドクォーターはトロントにあります。セールスやプロモーションのためにヨーロッパ、アジアとオーストラリアにオフィスを設けていて、これまでどおり開発はトロントで行ない、ヨーロッパではセールスのためのオフィスと、ヨーロッパ向け製品のアッセンブルを、アジアでは、それ以外の地域に向けた製品のアッセンブルを行なっています。

編:ポングループに入る前と比べ、どれくらいセールスの上での効果は上がったのですか?

P:具体的な売り上げの数字は対外的にオープンにはできません。しかし近年、特にアジア地区で成功を収めています。北米でも良い位置にいますが、アジア地区はかなり良いですね。Sシリーズ、Rシリーズ、Pシリーズという3種類、さらにシンプルに分けられたモデルごとのラインナップが、伸びた理由ではないでしょうか。過去数年、プロダクツのアップデートをくり返していることも付け加えます。

編:アジアといってもとても広いですが、どの地域ですか?

P.W:具体的にどこの国、というよりも全体的に伸びていて、いずれも倍くらいに増えています。そのなかでも日本を含めて飛び抜けている国が2〜3あります。そのマーケットがとても重要、ということで今回の訪問を決めたのですよ(笑)。

編:開発で伸びているという話がありました。そこで今はイヤーモデルを廃止していますが、なんのためですか? 開発時間のためですか? ユーザーに期待をもたせるためですか?

P:他社とは違ったアプローチをしてみたかったんです。新しいものを立ち上げるのは資金も時間もかかります。私はエンジニアリングにも尊敬を込めています。

R:モデルイヤーにこだわるよりも自信をもって良い製品を世に出せる時点で発表するようにしたかったのです。ユーザーの期待に応えるために。また、コンポーネントも変わるたびに製品を変えていたのでは労力がかかります。変わらないのならあえて無理して作りません。コンポーネントメーカーにあわせて製品を作るというのはナンセンスです。あくまでもフレームメーカーが主導権をとってやるべきだと思います。

編:マーケットでの評価に満足していますか?

P:ユーザーのフィードバックは参考になるので、とても有益です。そして現状には満足せず、ユーザーが寄せる要求をもっと超えるものを作り出したいと思っています。来週よりも再来週、来年よりも再来年と、優れた製品を作っていきたいですね。

R:サーヴェロはユーザーとの距離も近いメーカーで、その趣旨は変えたくはありません。そのご意見を参考にしつつ、もっと良い製品を作りだして、もっと先へ続けていきたい。

コナのトライアスロンでは11年連続でサーヴェロのシェアはトップにいます。そういう数字を見ていただいてもコンシューマーに身近なモノ作りを目指していることがわかると思います。

編:R&Dを行なっていく過程で過激な要求もあると思いますが、どんなものがありましたか?

P:あまり無茶な要求というものはありませんね。しかしR&Dを行なっていく過程でプロからのフィードバックばかりに焦点を絞ると、肝心なエンドユーザーからの貴重な声を聞き逃してしまいます。我々はプロライダーも満足しつつ、ユーザーも楽しくライディングできるようにする必要があります。

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編:日本のユーザーからの声はありましたか?

P:今回、直接日本のみなさんとお話をする機会がありましたが、もう少し小さいフレームサイズを用意してほしいという声をいただきました。日本だけでなくアジア地域に当てはまることですから、真剣に考える必要があると感じました。フレームサイズは48よりも小さくなると、対応できる製造メーカーはかなり少ないです。

編:現在のカーボンファイバーはフレーム素材として満足していますか?

P:新素材を探すというよりも、より良いカーボンを求めています。同じカーボン素材でも独自の技術をもっていたり、価格的にもっと魅力的というものを。

編:開発が続けばフレームの性能はもっと上がっていきます。それにしたがい製品の価格は高騰してしまうのか。あるいはコストを抑えてより良いものを作り出すのか。未来はどのようになると思いますか?

P:全世界的な需要は高まっています。したがって価格は上がってしまう可能性は高いですね。特に航空宇宙産業でのカーボンの需要は年々増加していて、そちらに多くのカーボン素材が流出している状況です。打開策としてマテリアルコストや人件費などもかからずに製造するのが理想的です。まったくプロセスは異なりますが、もっと加工しやすいカーボン素材が開発されれば良いですね。

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サーヴェロのお問い合わせ先:東商会 http://www.eastwood.co.jp/

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