2018年11月02日
【カーボンドライジャパン】早川洋文さん “スポーツ自転車に対する想い”
愛知県名古屋市、日進市に拠点を構えるカーボンドライジャパン(CDJ)。ロードバイクでレースやイベントに参加するような人は聞いたことがあると思うが、落車などで破損したカーボンフレームの修繕を手がける企業だ。
もともとはCFRP (ドライカーボン) によるモータースポーツ用のパーツ製作を始めとした複数の事業を展開している。その技術を応用して、カーボンフレームの修繕、自転車のコンプリート開発/販売、カスタム、補修や、オリジナル製品の企画、開発、製造および販売を行なっている。
ほかにも名古屋市大須に構えるCDJのサテライトストアにてiPhoneの修理なども行なっている(サイクリストのお客さんも多いそうだ)。
ここでは修繕を施したカーボンフレームが所狭しと並べられている……。
これらはもちろん販売されている商品だが、iPhone修理専門店とカーボンフレームという組み合わせは多角的すぎる。
その理由を代表の早川洋文さんに伺うことにした。
【ショップ情報】
CDJサテライトストア大須
〒460-0011 愛知県名古屋市中区 名古屋市中区大須3丁目44-22
052-262-5155
営業時間:11:00〜20:00
定休日:水曜日
https://carbondryjapan.com/cycle/detail/98
CDJサテライトストア大須の捫垣(ねじがき)店長(左)/カーボンドライジャパン代表 早川洋文さん(右)
山本 ショップにはスマートフォンと自転車、そして自転車パーツととても賑やかですね。
早川 この大須というところも賑やかな商店街です。CDJサテライトストア大須の捫垣店長はいろいろな業界人とのパイプもありネットワークに広がりもあるので、iPhone修理は継続して行っていきます。実績もかなり積んでいますので、店長指名で来店するお客さんも多いです。
山本 私も走っている時に携帯していますし、落下させてしまうこともありますよね。
早川 自転車のフレームを買いつつ、iPhoneも直してくださいという流れが作れれば(笑)
カーボンドライがiPhoneの修理を始めたのも、それがもともとの理由でした。サイクリストは想像以上にiPhoneを持ってて、サイクルコンピュータとの連動などで使う率も高い。使っているうちに落としたりして、画面を割ってしまう人も多いということがわかりました。そういうところから始めています。
実際のところ店舗の近くにはiPhone修理の競合店がいくつかあります。修理だけで業績を伸ばすのはなかなか厳しいので、じゃあ特色のあることをやろうかと。そこで現在力を入れている自転車事業を並行して展開することにしました。
近年のCDJはいろいろな事業を展開していますが、なかでも「CDJ認定フレーム」と「セレクトパーツ」という2つのカテゴリーがここに混在しています。
CDJ認定フレームとは
CDJサテライトストア大須の店内。いろいろなメーカーのCDJ認定フレームが並ぶ。展示商品は随時変わるので、こまめにチェックを URL:https://www.carbondryjapan.com/
山本 認定フレームとはどういったことですか?
早川 簡単にいうとCDJで補修したカーボンフレーム、および補修済みの中古のカーボンフレームを安心して乗れますという認定をします。つまり補修したフレームを認定して販売しましょうということです。
ネットオークションや、自転車中古車販売業者も増えています。話を聞いていると、外観に問題がなければ綺麗に磨いてそのまま販売している。万が一壊れていても、見た目が綺麗ならそのまま仕入れて売ってしまう。また購入する人も壊れている(ジャンク)のを知った上で買っているといいます。
でも、それでいいのかなって。
山本 公道を走る乗り物ですから、厳密にはアウトですよね。車検もない。
早川 我々は7年前からカーボンフレームの修理を開始し、多くの経験値を積んでいます。補修することをビジネスとして行っていますが、一番気をつけているのは「安全性」です。人の命が載っている乗り物。下り坂ならいとも簡単に時速50km以上も出せてしまう。
そういった乗り物が担保なしで販売されているというのはどうなんだろう? って。
山本 そこで、認定フレームですね。
補修されたCDJ認定フレーム
早川 なにかできないか…… 。そこで、うちで直したものを販売することにしました。中古カーボンフレームを直して売りますよ、ということではなく、ちゃんとした認定フレームということで。四輪の業界であるならば、ディーラー認定の中古車というものがあって、メーカーが中古車として保証し、認定します。買い取りのサービスもありますよね。
オートバイもしかり、新車ありき、中古車ありき。お客様が好きに選んでくださいね、と。
自転車はそれができていない。だから中古車というものをちゃんとカテゴリーとして残しましょうという意味合いが強いです。
安心安全を提供・販売する
早川 安心安全をお客様に提供できない乗り物を販売するのはぜったいにやってはいけないことです。
私たちは何千本というカーボンフレームを直してきましたので、自信があります。
疑わしきものは超音波診断機で検査ができる。
確かにスポーツ自転車の中古市場の価格は確立されていませんが、これまでのニーズと照らし合わせてどこまで補修するかなど、「ちゃんとやって売りましょう」というのがCDJ認定です。
CDJで補修したフレームには1年間の保証をつけますし、金額に応じて次回使えるクーポン券を付与するサービスも行なっています。
認定書ということでどのような検査と補修を行ったか示すチェックシートもあります。
これらをセットにして提供します。
CDJ認定フレームを購入すると、次回CDJで使用可能なクーポン券をプレゼント
CDJ認定フレームは、1年間の保証付き
超音波診断チェック、25項目以上のCDJディテールチェック、ペイントチェックなどの検査項目を明瞭に記載した検査証明書も発行する
山本 これによって、お客様に安心して乗れるスポーツ自転車を提供できる。
早川 ただし、現在CDJ認定はフレーム・フォークのみの販売がほとんどで、完成車という形ではやっていません。
もちろん、サイクル専任スタッフ(SBM有資格者)もいますので、リクエストをいただければいかようにもセットアップできます。
いずれはコストを考慮しながらリーズナブルなCDJ認定完成車なんていうこともやりたいですね。
『セレクトパーツ』としてショップの中で眠っていた新古バイクなども随時販売を行っていく
次のページ 『価値のなくなったものに、価値を取り戻してあげる』
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得