2016年03月10日
台北ショーに行ってみた【前編】
世界3大自転車ショーの1つ、台北国際自転車展が3月2〜6日まで開催された。このアジア最大のショーは年を追うごとに重要性を増しており、世界中から1000社、3000ものブランドが出展している。台北ショーはメジャーよりもマイナーブランド、プロダクツよりも今後のトレンドを占う話題性に注目が集まる点が興味深い。そこでショーから見える、今後の展望などをレポートしよう。
台北ショーの会場は2つ(正確には3つ)のフロアに分かれており、シマノやスラムといったメジャーブランドのある4階と、アジアのマイナーブランドが集まっている1階に分かれる。2年振りに訪れて印象に残ったのは、アジアメーカーの充実だ。知ってのとおり、今やスポーツバイクの大半はアジア圏で生産されている。以前は言われるままに作っている感じが見ていても伝わってきたし、「◎▲■○×◎△はうちで作っているよ」と熱心にアピールしてくるブースも多かった。これはいいネタだ……なんて雑誌に掲載なんかしたら、大人の事情で怒られる可能性が高い。なので、写真を撮る気にもならなかったが、そういうアピールもなくなった有力メーカーのいくつかは、いつ上のフロアに移ってもおかしくない感じとなった。また、逆に上のフロアは商品を見せる場ではなく、商談用のスペースという感じで昔よりも質素になっていた。
下のフロアで目立ったのは、カーボン製クリンチャーリムのホイールだ。あれだけ多くのメーカーが出品しているということは、技術的にクリアできたのだろう。カーボンでクリンチャーリムのような複雑な形状を作るのは想像以上にむつかしく、現在、ラインナップに載せているブランドは少ない。しかし、多くのメーカーが作れるようになったのであれば、1〜2年後には製品化されてくるに違いない。また、そのどれもがワイドリムだった。アピールする場所なので、出品されている数がそのまま市販されるとも思えないが、ワイド&クリンチャーリムが完組ホイールのトレンドになる可能性は高い。ただ、2年前はカーボンスポークホイールも多かったが、あまり増えた感じもしないので、俎上(そじょう)に上がっている程度なのかもしれない。
マヴィックの親会社アメアスポーツがアメリカのエンヴィを、ルックはコリマを買収するなど、ホイール界は再編の兆しをみせている。1階のフロアにあるいくつかのリムメーカーもDTスイスのハブを使った完組ホイールを展示していたが、一見すると完成度の高そうな雰囲気だった。ディスクブレーキ時代の到来を受け、力をつけてくるブランドもあれば、衰退するブランドもあるはずだ。ここ2〜3年で大きな変化がありそうな予感だ。
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。