2023年06月13日
【第19回Mt.富士ヒルクライム 詳報#2】フミが富士ヒルにやってきた! 笑顔でスバルラインを快走!
日本を代表するプロサイクリストとして長年活躍した「フミ」こと別府史之さんが、「富士の国やまなし」 第19回Mt.富士ヒルクライム(6月4日、富士スバルライン)にスペシャルゲストとして登場。約8000人のサイクリストと一緒に、富士山五合目フィニッシュを目指して走った。
フミも富士山の景色と多くのサイクリストに感動!
ヨーロッパで17年間プロとして活動し、ジロ・ツール・ブエルタの3大ツール、モニュメントと呼ばれる5大クラシックのすべてを完走した唯一の日本人である別府さん。ツール・ド・フランス敢闘賞や、全日本選手権、アジア選手権での数々のタイトル獲得など枚挙にいとまがないが、2021年末で惜しまれつつも 現役引退した。
現在はフランス在住ながら、富士ヒル前に帰国。前日3日から会場入りし、ステージイベントやサイクルEXPOで多くのサイクリストと触れ合った。当日は他の参加者のスタートを見送りながら、第5スタートから出走した。
「台風の影響が心配でしたけど、昨日、今日と快晴でみんな和やかにスタートしていますね。今まで日本のこういうイベントに出たことなかったんですけど、ヨーロッパ的なすばらしい光景を見ることができています」
富士ヒルも富士スバルラインも走るのは初めてという別府さん。
「過去にあざみラインは何度も走ったことあります。スバルラインは平均5%とそこまで勾配はきつくないけど24kmと長距離なので、自分のリズムで走っていきたいと思います。僕もレースにたくさん出てきて山登りのレースも結構あったけど、今日はみなさんと楽しみながら頂上目指したい。頂上の景色が楽しみです!」
コース上では笑顔で他の参加者と触れ合い、五合目ではフィニッシュしたサイクリストであふれかえる景色にも感銘を受けたという。
「最高でしたね。天気もよかったし、標高も2000m超えでグランツールのオー・カテゴリー(超級)のような上りだったので、走りごたえがありました。フィニッシュの五合目で多くのサイクリストが集まっているのを見たとき、これが日本で見られる光景なんだとちょっと感動しました。景色も楽しめたし、日本を代表する富士山を走れたことがうれしかったです」
果たして別府さんはどれくらいタイムで上ったのか気になるところだが、休憩しながら1時間21分01秒でフィニッシュしたとのこと。
「途中の休憩所で休みながら、いろんな方とコミュニケーション取りながら走りました。来年、再来年も呼んでもらえるように、少しずつタイムを縮めていきます(笑)。またこういう機会で自転車を通じていろいろな出会いがあるとうれしいですね」
今中大介さん登場で、ツール出場のレジェンドが豪華共演!
富士ヒルではおなじみの今中大介さんが、今年は別府史之さんと豪華共演。近代ツール・ド・フランスに出場した日本人は、この2人の他に新城幸也選手(バーレーン・ヴィクトリアス)だけなので、3人中2人が富士ヒルに集まるという自転車ファンにとっては貴重な機会となった。
富士ヒルは過去19回のほとんどを走っている今中さんだが、今年の天気は格別だった様子。
「最高でしたね。1週間前は天気予報がよくなくて、また雨かと心の準備していたけど、こんな晴れるとは思ってなかった。みなさん大喜びで、やっぱり笑顔いっぱいなのはいいですね。約8000人も出走されて、その人数はこんなに多いんだなと毎回感じるけど、今日は特に印象深かった。みなさんが富士ヒルのために1年間頑張ってきた思いが感じられる大事な大会、日本一の大会でした」
フィニッシュ後の下山では別府さんと一緒に走ったとのこと。
「フミとたまたま下りがずっと一緒だったんですけど、標高が2300mあると話したらびっくりしていて、ヨーロッパの名だたる峠に匹敵する標高があるんですねと感心していました。そこをみんなが走れるというのが、日本は幸せですね」
フミや歴代富士ヒル王者も登場! 4年ぶり復活のステージイベント!
富士ヒル大会前日の6月3日には、会場の富士北麓公園で約70の自転車関連ブースが並ぶサイクルEXPOが開催。さらに今年はコロナ禍で中断していたステージイベントが4年ぶりに復活した。
別府史之さんは「Zwift トークショー」に登場。オンラインで世界中のサイクリストと一緒にレースやトレーニングができることで人気のZwiftは、コロナ禍の2020年ごろから日本でも一気にユーザーが増えたが、別府さんは2014年ごろから活用していたという。
先日、Zwift内で開催された富士ヒル道場にも参加した別府さんは「今までの固定ローラーや3本ローラーのインドアトレーニングだと30分~1時間がMAXだったけど、Zwiftのおかげで2~3時間乗れるようになりました。フランスに住んでいても日本やアメリカとコネクトして世界中の人と走れます」と楽しみながらトレーニングできると太鼓判。
今年夏からはZwift内にツール・ド・フランスでお馴染みのトゥールマレー峠が新たなコースとして追加される。「移動せずに、家の中で起きて5分でトゥールマレーやモンヴァントゥを走れるのはありがたい」と別府さんも大歓迎だ。
夢に向かって挑戦する人を応援する「ビオレーサードリームチーム」のチームプレゼンテーションが開催された。3年目の今年は、レベル関係なく目標に向かって頑張るサイクリストを募り、100人を超える応募を集めた。定員10人のところ、それぞれが抱く富士ヒルへの熱い思いを想像すると人数を絞り切れず、過去最多18人のメンバーが選ばれた。
おそろいのオリジナルワンピースはエアロ性能と優れたフィット感が特徴のビオレーサーのICONラインがベースで、メンバーも「風になる」と絶賛していた。
「必聴! 富士ヒルコース攻略ガイド」では過去に主催者選抜クラス男子を制した歴代富士ヒル王者の「山の神」こと森本誠さん(2016年優勝)、兼松大和さん(2017年優勝)、田中裕士さん(2018年優勝)、真鍋晃さん(2022年優勝)が集結。
兼松さんから「初めて出たときのタイムは1時間40分ぐらいだった」と驚きの発言もある中、「1合目までは勾配がきついので自分のペースで、勾配が緩くなる2合目からはペースの合う人と一緒に、太鼓の応援のある大沢駐車場からは再びきつくなるので気合いと根性で!」とアドバイスを送っていた。
「パラチノース 富士ヒルで燃料切れを起こさないテクニック」のステージでは自転車インフルエンサーとして活動する篠さん、TOM‘S CYCLINGのTOMIさん、YOPIさんが登場。
ゆっくり吸収される持続性エネルギー源としてサイクリストからも支持されている「パラチノース」。篠さんは「ボトルに入れてエネルギーがとれるのがありがたい」と普段から愛用。TOMさんは「富士ヒルではレース前にスティックタイプ1本、レース中はボトルに1本入れていく。綿菓子ぐらいの薄い甘さが飲みやすい」と活用法を教えてくれた。
関連URL
第19回Mt.富士ヒルクライム 大会HP:https://www.fujihc.jp/
BIORACER:https://bioracer.jp/
Zwift Mt.富士ヒルクライム道場:https://www.fujihcdojo.jp/
江崎グリコ・パワープロダクション:http://www.powerproduction.jp/
DM三井製糖:https://www.palatinose.jp/
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。