2015年12月24日
3モデル インプレッション VOL.7/ARGON18 GALLIUM PRO(スタンダードモデル)
ARGON18 / GALLIUM PRO IMPRESSION
アルゴン18のラインナップ中、もっとも軽量で、もっともレーシーなバイクがガリウム プロである。HM7050ナノテックカーボンという独自のカーボンファイバーを用い、フレーム単体で790gという軽さを実現した。3Dヘッドチューブはステアリングコラムのスペーサーの変わりにスタックを伸ばすことができ、ヘッド部分の剛性を最適に保ち、ステアリング周りの性能を犠牲にしない画期的な機構が特徴といえる。またしっかりとしたフロント周りと、細身のバックステイというメリハリのきいた組み合わせもガリウムプロの大きな特徴といえる。
GALLIUM■フレーム:HM7050ナノテックカーボン■フォーク:オリジナルフロントフォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:ビジョン・メトロン40■完成車実測重量:6.4kg(ペダルなし)■カラー:ブラック×レッド■サイズ:XXS(415)、XS(455)、S(490)、M(530)、L(565)、C-T■価格:358,000円(フレームセット・税抜)
フレーム全体からするとバックステイは細身の設計だ。これがリアの振動吸収性を最適化する。
角断面チューブのチューブを組み合わせたBB部分。BBの規格はプレスフィットBB86を用いている。
シート集合部はオーソドックスな設計。シートポスト径は27.2mmというベーシックなサイズを用いた。
コラムスペーサーよりも確実に剛性を保てる3Dヘッドチューブ。ヘッド周りの剛性を犠牲にすることなくステム高を調整できる。
細身のストレートカーボンフォーク。重量は350gと十分な重さ。シンプルなフレームのフォルムにぴったりだ。
普遍的な美しさ◆菊地武洋
ガリウムプロのスタイリングは大きな魅力である。角張ったチューブデザインは太すぎることなく、かといって、か弱さを感じさせもしない“いい按配”だ。これならクロモリ好きの人の中にも琴線に触れる人がいるだろう。細身のシートステーや屈強なヘッド周りなど、現代のカーボンフレームらしい流儀に則っているにもかかわらず、全体の雰囲気は落ち着いている。新しくはないが、古くもならない普遍的な美しさがある。華奢で上品なルックスを好む人なら、ガリウムプロの魅力は多くを語らなくてもわかるだろう。そして走り始めても、強く個性を主張したりしない。なにか強い印象を残すというよりは、黒子に徹する感じなのだ。フレーム重量は790gと以前だったら超が着く軽量フレームだが、もはや驚くような数値じゃない。とはいえ、走らせてみればやはり軽い。際立っていないが、バランスがいい。今回試乗した3台のアルゴン18は、すべてハンドリングに纏わる基本設計が揃えられており、どれもコントロールしやすかった。次々に新しいバイクを乗り換えるのも自転車道楽のひとつだけど、1台に永く乗り続けるのも自転車を知るうえで大切なことだ。後者の相棒にするなら、悪くない選択のひとつだろう。
◆小高雄人
アルゴン18の他モデル同様に、ぺダリングすると下死点付近での抜けが抜群にいい。その良さ(性能)が一番マッチしているのが、軽量モデルであるガリウム プロであろう。軽快で飛ぶように走るので乗っていて楽しい。軽量モデルながら、フォークとフレームのバランスも良かったので、下りも安心して走れる。どちらかというとコーナーリングよりも直線が得意な印象。間違いなく、この軽さはヒルクライムレースで武器となる。加えて剛性が高めのディープリムホイールを履けば、高速巡航もバッチリだ。個人的な好みで言えば今回インプレッションしたバイクのなかでもベスト3に入る乗り味だった。
バランスが整った優良バイク◆山本健一
フレーム重量790g、フォーク重量350gとフレームの重量は攻めているが、フォークはカーボン製フォークの重量としての基準値に収まっていて、フォークの重要性がライディングフィールに大きな影響を与えることを理解しているエンジニアなのかな、とスペックから察することができる。いたずらにフォークが軽かったり剛性が低いと走りに多大な影響があると経験上感じている。角断面チューブを用いるフレームワークは、軽くしたいが剛性を保ちたいとする意志の現れだ。そのエンジニアの狙いどおりか、最初の踏み出しからかなり反応がよい。チューブの薄さを感じるものの剛性レベルはかなり高いだろう。ペダルを回すたびに加速してくれるような軽やかな反応の高さはまさに軽量バイクの理想的なスタイル。もちろん上りは苦にせず、頼りない部分がない。軽量&高剛性フレームとして考えると振動はやや伝えたやすいだろう。荒れた路面ではハンドルを握る手にピリピリと路面からのバイブレーションを感じる。コーナリングでもやや腰高な印象はある。バイク重量が6.4kgともなると、さすがにバイクコントロールへの影響はあるだろう。しかしながら魅力的な反応の良さが、そういったネガな部分を忘れさせてくれる。部分的にはカーボンフォークやヘッド周りの剛性がしっかりと保たれている印象はある。オリジナルの3Dヘッドチューブの構造が活きている(こういった突飛なものはあまり性能面として感じ等得ることは少ないのだが)。まさにレース用といった雰囲気をかもし出し、上級者の”飛び道具”として、その優れたパフォーマンスを発揮してくれるはず。
(写真:和田やずか)
アルゴン18のお問い合わせ先 インターマックス お問い合わせフォーム
http://www.intermax.co.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。