2015年12月29日
3モデル インプレッション Vol.6/SPECIALIZED編 総論
SPECIALIZED☆ 総論
菊地:この20年でもっとも成功したブランドといったらスペシャライズドだな。ロードもトライアスロンも強いもんね。
山本:漏れることなくMTBも強いですよね。
菊地:クロスバイクもね。
山本:それだけセクションが分かれているだろうから、エンジニア一人一人の能力の高さと人数は、圧倒的なんでしょうね。
菊地:キャノンデールやスコットでも腕を振るったエンジニアのペーター・デングも、今はスペシャライズドと契約しているからね。今後は彼の手も加わるだろうから、そう考えたら無敵だよ。
山本:ターマックはもはや言わずもがな、ヴェンジ ヴァイアスはどうでした?
菊地:まあ、前評判では色々聞いたけど、こんな風にまとめたんだなって感じで落ちついていて、ああ良かったって。速かった。
小高:戦闘機みたいでしたよね。
菊地:このバイクだけブレーキングする必要がある下りコーナーがあって、一番速いんだって思った。
山本:気持ちよく走りますよね。剛性はかなり高いけど。
菊地:他のバイクはあまり硬さを感じなかったのは僕の体重が少し重いからかもしれないけど、このバイクは硬かったね。あとサドルも良かった。
山本:良いとこばかりな気がしていて、ちょっと悪いところを見つけたいんですが(笑)。硬さでいくと長時間はどうですかね。
菊地:ホイール替えたらクリアできるでしょ。こんなディープを履いているからであって、ミッドリムに換えれば良いと思う。
小高:タイヤも良いですよね。
菊地:いいね。あのタイヤは疲れにくい。あとハンドルバーは唯一の弱点かな。
山本:ケーブルの取り回しはかなり複雑。あとビジュアル的に好みが分かるでしょう。ハンドルを握ってそれを上から俯瞰したときのシルエットは、ロードバイクらしからぬ乗り物……。
菊地:でもこういうのが欲しかったんだ。一時期はみんなが似たり寄ったりの自転車を作っていたけど、ようやく個性的なモデルがリリースされていきた。こういう個性を競うバイクががあふれている世界をまっていた。
山本:スチールフレームから見ている世代からしたら、夢のスーパーバイクが現実になった。そんな感じがします。
菊地:そのうえ、うっかり買えそうな値段だからたちが悪いよね(笑)。ホイールやコンポーネント、パワーメーターなどが付いた値段でしょ?って考えていくとお買い得感すらある。
山本:もっと高くても買う人は買うはず。
菊地:お金のことは大事だけど、価値を認めた人が買えばいい。フレームが25万円でも文句を言う人はいるだろうし、迷って買うもんじゃないでしょ。強制されるわけでもないし、価格は関係ないんだよね。
山本:うーん、やっぱり手元においておきたくなるバイク……。
菊地:蔵に入れておく候補だよね。
小高:ルーベはどうでしょう?
山本:ルーベは乗って良さがわかるバイク。
菊地:峠 でスポーツカーをあおり倒すミニバンみたいな。乗り心地は良いし、下りは安定しているし、上りは苦としないし。弱点がないのが最大の弱点だよね。これでいいじゃんって。これこそ速い人が乗っていそうなバイク。本当に分かっている人や、ブルベで前のほうを走っているようなイメージ。嫌な自転車だ(笑)。
山本:体脂肪が少なそうな本当に速い人が乗りそう。
菊地:しかも貧乏臭くない。
山本:これかなり好きですよ。
菊地:オレはやめとく。抜けられなくなりそうな気もするし(笑)。
小高:シートポスト部で振動を吸収するようなコンセプトのメーカーが多いですが、ルーベはフォークとバックステイなんだなあ、って思いましたね。乗り心地ももちろんすごく良いですよね。ゼルツは子どもに受けがよさそうな質感がありますけど。
菊地:ゼルツは高級フレームらしからぬ妙な質感。独特の雰囲気だよね。
山本:なんていうか、いかにも感がちょっとマイナスプロモーションになっているような気もしない。でもそれでいてすごく精悍な走りができるっていうのが、旨味でもあるんですけどね。
小高:この3台はなんだかスタンダード、エアロ、エンデュランスの枠に収まらない性能ですね。
菊地:カイエン ターボSって感じだよね。砂漠からハイウェイまでなんでもできますね、ってイメージ。どうてもいいような些細な弱点しか見つからないし、S-WORKSじゃなくてSPECIALIZEDって書いてほしいとか、それくらいしかない(笑)。
山本:けなせない(笑)。
菊地:マジョリティというか、長い物に……って言う人は間違いなくこっち。ここに身をゆだねるか、オレは反体制側に付くんだ!とってヨーロピアンバイクに乗るか、どっちかだろうなって思いながら自問自答してみたけど……、迷うね。機材としてこのバイクを選ぶことは正しいけれど、趣味人としてはつまらない。自転車はフレームだけじゃないから、ウエアからサドルからなにから作っていて、それらはすべていいもので。トータルでプロデュースしているレベルの高さを感じるね。
小高:彼らの世界観はとても理解できますね。ディストリビューターから成り立っているので、そうなったんでしょうか?
菊地:ずっと右肩あがりをというか、終わりなき成長を目指している感じがする。それがいいか悪いかは別として、実力的には世界のトップ3に確実に入ってくるブランド。
山本:現在最高のピュアレーシングモデル3機種であることは間違いはないですね。
(写真:和田やずか)
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著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。