2018年08月11日
【EASTON】ロードバイク用ホイールのラインナップ一新 ディスクブレーキ仕様に統一へ
イーストン社が手がけるロードバイク用ホイールの2019年ラインナップが明らかになった。
高精度なハブ、ハンドメイドで仕上げられ人気を博したヴェロマックスを傘下に加えた過去をもつ、イーストンが繰り出すハイエンドのカーボンディープリムやハブはこのバックボーンに支えられ定評がある。それをさらに昇華させた最新のラインナップとして発表された2019年モデルは、なんとディスクブレーキ対応モデルのみのラインナップへ刷新することがわかった。
フルラインナップの詳細情報は追ってレポートする。
まずは先駆けて日本に届いた最新のフラッグシップモデルとなるEC90 エアロ85ディスクを紹介しよう。
よりシャープな走りを提供するという85mmのハイディープリム。ただスピードを高めるだけではなく“スピードをコントロールする”という意味を考慮したとき、ディスクブレーキの導入は不可避だった。
優れたエアロダイナミクス性能をもつ屈指のワイドなプロファイルのファントムは、内径19.5mmのチューブレスレディ対応である。チューブレスレディによって、タイヤに求められる性能も最適化され、スムースなラインディグフィールと低い転がり抵抗といった性能が向上する。さらにリムはクリアコートを施し、表層の重量増を抑えながらもイーストンらしい大胆なグラフィックを実現した。そしてハイスペックなホイールを所有したいというユーザーニーズを満たす。
ハブはロード専用の新型、Vault(ボルト)ロードディスクハブである。このハブの特徴は、カセットボディではなく、ハブ本体に爪を配置している点だろう。カセット側にノッチを配置することでより細かいノッチ数と構造のシンプル化を実現。一般的なロードハブよりも多い60歯を内径に、3つの爪を外環に設ける。
そして従来のハブよりも48g軽くなり、50%速やかにパワーを伝達することができる。また、スルーアクスルとクイックレリーズの双方に互換性をもたせるため、交換用のエンドキャップを用意している。
SPEC
ホイール重量(前後ペア) 1827g
カラー仕上げ マットカーボン/ウルトラグロス
仕様 チューブレス カーボンクリンチャー
リム素材 EC90カーボン
リムハイト 85mm
リム内径 19.5mm
リム幅 28mm
スポーク サピム CX-RAY / ストレートプル
スポーク数 24H
ディスクローターマウント センターロックディスク
ニップル 内蔵型アルミ
ハブ イーストン ボルト ロード
ベアリング シールドカートリッジベアリング
価格(税抜):160,000円(フロント)、170,000円(リア) ※10月上旬に入荷予定
関連URL:東商会 http://www.eastwood.co.jp/lineup/easton/
IMPRESSION
今のところ、世界中にひしめくホイールメーカーの多くはリムブレーキ用、ディスクブレーキ用の2種類を用意している中、イーストンが踏み切ったディスクブレーキ用のみというラインナップは衝撃だった。あえて先駆的な戦略をとることで、ディスクブレーキ専用ホイールとしてのマウントを取ることができるか。
イーストンのマテリアルにこだわる姿勢はアルミからカーボンに移り変わったとしても、変わりはない。早々にチューブレスレディ対応を実用化した実績もありクオリティは折り紙つきだろう。
このファントムリムとボルトハブ、それらをつなげる定番のサピムのスポークという“全部盛り”状態のホイールで極まった感がある。85mmというハイディープホイールでリム側面が高く中空であることから多少のたわみはある。それが乗り心地の良さにつながっているが、加速の良さも兼ね備えている点はハブの性能といえるだろう。踏み出しのスムースな加速は胸がすく。2〜3回転クランクを回し、十分に加速がついてからの巡航がこれまた心地よい。
コーナーリングはロープロファイルのかっちりとしたホイールに比べるとオーバーステアに感じるが、ハイディープリムの宿命か。またフロントホイールは風の影響を受けやすいので十分に訓練を積む必要があるが、使いこなすことができればその絶大な空力特性の恩恵に授かれる。
豪快なグラフィック。ディスクブレーキなのでリムサイドをブレーキ面のために空けておく必要はなく、すべてがグラフィックのために活用できる点もよい。ディープリムにおけるデザインポリシーが変わっていくだろう。ブレーキコントロール性能はコンポーネントに委ねられているが、強い制動時にはホイール剛性も重要になる。その点に関しては初期性能ではあるが、まったく問題はない(見た目から想像できるが)。
ハイスペック、上級者向けのホイールでこれを使いこなす、所有するといった楽しさがある。(山本)
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得