2018年06月26日
【e-BiCLIMB】前編 TREK Verve+で富士スバルラインをクルーズすると…?
トレックのスポーツeバイクの魅力と実力
2018年は日本の自転車業界にとって、スポーツeバイク元年だ。シマノとボッシュが国内のルールに適合したパワーユニットを展開し、大きな注目を集めている。そこで注目を集めているトレックのスポーツeバイク“Verve+”(ヴァーヴプラス)を富士スバルラインに持ち込んで、実力を検証してみた。
上質でパワフルな走りを万人に
トレックは堅実なイメージを有しながらも、新しい試みに積極的なメーカーだ。ヴァーヴプラスはクロスバイクのスタイルを採用したコミューターバイクで、運動習慣のない人でも手軽に通勤やサイクリングを楽しめる1台だ。電動アシストユニットはボッシュ製の“アクティブ・ライン・プラス”を採用。トレック自慢の軽量アルミフレームにセットされて完成車重量は20.6㎏(18.5インチ)と、パワーユニットを搭載していても、一般的なママチャリと同等か軽いくらいだ。
大型バッテリー以外、ヴァーヴプラスは一見すると普通のクロスバイクだ。スマートな外観を実現したのは小型パワーユニットの恩恵である。子乗せがついたママチャリタイプの電動アシスト自転車は、チェーン合力型のパワーユニットを採用しているが、ヴァーヴプラスは小型のクランク合力型。このタイプは小型でスポーティーなバイクのフォルムを崩さず、軽量かつ高出力なのが特徴でスポーツeバイクのスタイリングを作り出している。
eバイクのデザインには2つの潮流がある。1つはパリのシェアバイク“ベリブ”のような未来っぽい自己主張の強いモノ。もう1つがヴァーヴプラスのようにシンプルで控えめなオーセンティックなタイプだ。ヘッドチューブと一体化した前後のライトなど、使い勝手が良く、トータルでデザインされているにも係わらず、あくまでも自然な佇まいである。こうしたセンスはスポーツバイクだけでなく、コミューターバイクでも高い人気を誇ってきた経験が活かされている。
通勤やツーリングといった広い用途に対応するため、タイヤの転がり抵抗、快適性を司る空気量を最適化。タイヤは700×42Cというビッグサイズが奢りつつ、全体のフォルムを崩していない。また、ディスクブレーキは油圧制御で操作性に優れ、耐候性を含めたメンテナンス性にも秀でている。ライトやマッドガード、スタンドなどクロスバイクのオーナーが買い足すオプションパーツを最初から装備し、価格を21万3,000円に抑えている。
ディスクブレーキはシマノ・MT-200。動的性能に見合った選択であり、あらゆる走行状況に応じて安定した制動力を発揮する。
パワーユニットはボッシュ製アクティブ・ライン・プラス。3軸センサーによって1秒間に1000個もの動きを測定する。出力は250W、国際的なプロダクトデザイン賞のレッド・ドット・デザイン賞を2017年に受賞している。
バッテリー容量は8.2Ah、定格電圧36V、電力量300Wh。エコモードでは100km以上の走行をアシストする。充電時間は2.5時間。
ディスプレイには速度、距離、走行時間、距離残数が表示される。アシストモードの切り替えはグリップのそばにあるスイッチユニットで行なう。大型スイッチで操作がしやすい。
前照灯は400ルーメンと街乗りには十分な光量がある。電池切れの心配もなく、オン&オフは手元でもディスプレイ側でも行なえる。
タイヤは通常のクロスバイクよりも太い42C。荷物を積載するツーリングにも対応する包容力の大きな快適性を誇る。
幅広で、フラットな座面のボントレガー・H1サドル。スマートなフォルムだが快適性が高く、ロングライドでも不快を感じない仕様だ。
Verve+ SPEC
価格:213,000円(税抜)
航続距離:約100km
重量:20.5kg(18.5インチ)
サイズ:16.5、18.5
フレーム:Alpha Gold Aluminum
タイヤ:Bontrager H5 Hardcase Ultimate 700x42c w/reflective strip
ドライブトレイン:Shimano Alivio 9段変速
サドル:Bontrager H1
ハンドルバー:Bontrager Approved alloy, 31.8mm
ブレーキ:シマノ M315 油圧ディスクブレーキ
モーター:Bosch Active Line Plus
バッテリー:Bosch Powerpack Performance, 300wH
コントローラー:Bosch Intuvia Performance
上ってきました富士スバルライン
ライド編はこちら
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。