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2016年07月05日

3モデル インプレッション Vol.17/BOMA COFY II(エンデュランスモデル)

BOMA / COFY II

コフィII◆「快適なロングライドを楽しむ」が開発のテーマ。トップチューブ・ダウンチューブにはアーチベント形状、シートステイ・チェーンステイにはS 字ベント形状を採用し乗り心地と振動吸収性を最優先させた設計。グラフィックにはグラデーションをかけたキャンディレッドの透明感が価格以上に上質だ。驚異的なコストパフォーマンス。低価格のカーボンフレームは珍しくないが、ボーマがプロデュースするこの手のカーボンフレームは一体どんなライディングフィールなのだろう?

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■ フレーム:カーボンUD仕上げ■フォーク:オリジナルカーボンフォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・105■ホイール:BOMA・TH-9■完成車実測重量:7.5kg(ペダルなし)■カラー:キャンディレッド・グラデーション仕上げ■サイズ:S(440)、 M(475)、L(520)■価格(税抜):135,000円(フレームセット)

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大きくラウンドしたダウンチューブ。この形状がコンフォートモデルであることを、強く主張する。

16_160413_1D_3328シフトケーブルはチューブ内蔵。この独特なフォルムだと外装ケーブルは難しいだろう。

 

 

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トップチューブとバックステーを一体化させたイコール・パワー・チューブという構造を用いる。ゆるやかな曲線を描いているのがわかる。

 

 

18_160413_1D_3337ヘッドチューブは1-1/8インチ径。オーバーサイズのカーボンフォークを採用。

13_160413_1D_3312ラウンドした形状のバックステーは後方から見ると内側にベンドしている。14_160413_1D_3318トップチューブから延長したようなバックステー。シート集合部は接合面積が広く、がっちりとした印象だ。   17_160413_1D_3332
BB規格はオーソドックスなBSAを採用し、シンプルに組付けができる配慮が見られる。

IMPRESSION

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■菊地武洋

今回試乗したBOMAの中でベストチョイスは、迷うことなくコフィ2だ。フルカーボンフレームで13万5000円は、相当に戦略的な価格設定だ。もはやカーボンというだけで高級扱いする時代でもないが、素材だけで性能を評価しようとする風潮に逆らうようで、実に痛快だ。もちろん弱点もある。サイズバリエーションは少ないし、ヘッドチューブ長も不足気味だ。よくあるエンデュランスバイクやコンフォートバイクよりも味付けが薄い。そこがコフィの成功した原因だろう。フロントセンター&リアセンターともに伸ばし、直進安定性と振動を受けたときの減衰が適当なのだ。高級カーボンフレームのように弾性の高さで振動を押さえ込むのではなく、“しなやかさ”でいなしていく感じだ。ダッシュした感じも反応自体は速くないが、少し遅れて加速が立ち上がってくる感じは金属素材のフレームのようでもある。カーボンフレームは高剛性の代名詞になりつつあるが、その昔はフニャフニャだけど疲れにくいフレームという評価が通り相場だった。釣り竿などでもそうだが、どう“しならせる”かもカーボンの武器の1つだ。欲を言えば、もう少しヘッド回りのねじれ剛性を高くしたほうがハンドリングは良くなるはずだ。タイヤ幅の標準設定を28Cあたりにして、各部の設計を見直すと、かなり面白い1台になるだろう。

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高次元でまとまった入門バイク。◎芦田昌太郎

快適さの定義とは何であろう……。速度維持、上りの軽さ、振動吸収性、安定感、反応の速さなど、基準は多種多様あるとは思うが、このコフィⅡは尖った特色はないものの、そのどれもが非常に高い次元で綺麗にまとまっている。反応も悪くないし、もっさり感もない。それに良く走る。これはロングライドにおいて、常にアドヴァンテージを得るということである。さらに驚くべきは、その価格である。フランス語で、自転車などの趣味的な乗り物はすべて女性名詞(略語だと男性名詞に変わるのだが……)で、機材に対しては女性的に扱う感覚があったのだが、このコフィⅡはとても紳士的な印象を受ける。乗り手を上手にエスコートしてくれるので、安心して身を委ねれば良いのだ。もしファースト・バイクにコフィⅡを選んだのなら、自転車が好きになることは間違いないだろう。

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ゆったりと走りたくなる♦︎山本健一

このコフィIIは、昨今の超高剛性カーボンバイクのマジョリティには必要がないものを削ぎ落とし、一般サイクリストに必要なものはなんだろう? と開発者が思考を巡らせて作り出したもの、と想像できる。日本人が作っているボーマ、ある意味では、ユーザーと開発者の距離が近いので、フィードバックが容易い。一般ユーザーの高剛性カーボンフレームに対する評価は大きく分かれるが、より幅広い層からの声を汲んだモデルではないだろうか。実際にレーシングモデルと比べれば明らかにマイルドな印象だ。BBはゆりかごのように左右に揺れるようなイメージがあるが、上りではこれが良いのか走りやすいように感じた。直進安定性は高く、下りではストレスなく気持ちよくスピードに乗せられる。ジオメトリーといえば、長過ぎないヘッドチューブ、比較的短いトップチューブは平均的な日本人のスタイルにはちょうどいいかもしれない。この価格なら120点の完成度だろう。菊地氏も述べているが、ブラッシュアップするとすれば、タイヤクリアランスの拡大だろうか。選択肢の拡充によってより多くのユーザーの目に留まるバイクに昇華することができるだろう。そういった意味ではとても将来的にも明るいモデルなのである。

(写真/和田やずか)

問:ASKトレーディング http://www.boma.jp/

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