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2016年06月17日

3モデル インプレッション Vol.16/CARRERA AR01(エアロロードモデル)

CARRERA AR01

カレラ/AR-01 カレラがもつ高精度の製造技術によって生み出された優れたバイク性能と、その過程で生まれたデザインによって、特徴的なエアロバイク に仕上がっている。しかし、その性能は高い剛性、素直で安定したハンドリングなどの基本性能を最高レベルに突き詰めたレーシングバイク。トップチューブの ラインをそのまま延長したような専用ステムの造形もエアロロードらしい。

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■フレーム:カーボン プリプレグ T-800sC HM50 T – Hs40 – Hs60 T 1K■フォーク:CM58 カーボン 60HM finish 1K 1-1/8” – 1,5” 重量 : 365g■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラ35■完成車実測重量:6.7kg(ペダルなし)■ カラー:ディアブロマット、A6-31グロッシー、A6-32マット■サイズ:XS、S、M、L、XL■価格:490,000円(カラー:A6-31、 A6-32、フレームセット、税抜)、540,000円(カラー:ディアブロ、フレームセット、税抜)、510,000円(カラー:A6-31、 A6-32、ディスクブレーキ仕様フレームセット、税抜)、560,000円(カラー:ディアブロ、ディスクブレーキ仕様フレームセット、税抜)

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フレームと専用ステムによって段差のない滑らかなシルエット。ブレーキワイヤーはステム内蔵式で、ひと手間かかるがバイクの美しさを際立てる。

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ダイレクトマウントの専用フォーク。フォーククラウンはフレーム形状に沿ったエアロなデザイン。

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特徴的なリアトライアングルの形状

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エアロロードらしくリアブレーキはBB下に。BB規格はBB86。

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スムースな形状は乱流の発生を最小限に留める。シートクランプは内蔵式、ピラーは翼状断面とした。


IMPRESSION

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捲土重来◆菊地武洋

昨今のカレラを見ていると、90年代の輝いていた頃を彷彿とさせられる。そのアイコンがAR-01だ。カレラの成り立ちはプロチームで、自分たちのバイクを作ってメーカーになった変わり種だ。それ故、カレラのバイクが光るのは、やはりレース用のトップモデルだ。出自というのは、変えようと思っても変えられるモノではない。AR-01は上質なフレームで精度の高く、路面から受けた振動を素早く収める。これは現在のトップモデルに共通した走行感であるが、「もっと踏んでこいや!」と挑発してくる感じはカレラの味だ。平坦やコーナーでも走りの質は高く、大きな弱点もなくバランスの良い仕上がりだ。中でもヒルクライムの軽快感は、絶頂期を凌ぐキレがあり、洗練されている。カテゴリー的にはエアロバイクだが、海外の専門誌でもクライム能力を高く評価されているのもうなずける。ただ疑問がないわけではない。トップチューブとステムのアウトラインを揃えたデザインは、ハンドルのセッティングに制約が出てしまう。機能性を損なってでもデザイン性を優先するのは、彼らのアイデンティティに合致しない。この辺りは個人差もあるので、評価するのがむつかしい。減点ではないが、注意点ではある。代わりにと言ってはなんだが、キャプーチやパンターニで一世を風靡したエアブラシは、だれが見てもカレラらしさであり、最近は見ることの少なくなったイタリアンロードらしい魅力である。ケーブル類はステムを経由してフレームに内蔵され、すっきりとしたスタイリングを実現。ただ、ケーブルのルーティングを考えると、コンポは機械式よりもDi2やスラムのeTapのほうが望ましいだろう。

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まさしく戦闘機◆芦田昌太郎

エアロダイナミクスの恩恵を受けながら、その剛性の高さは目をみはるものがある。特にねじれに対する剛性が素晴らしく、まったくたわむことがない。つまり、パワーロスがないのである。ただし、これは正しいペダリングが行えている時のみ有効だ。ちょっと疲れていい加減な入力をすると、その高剛性がたちまち反応しなくなり、ライダーは苦行を強いられる。フィブラといい、このAR01といい、乗り手に考えさせ育ててくれるバイクは面白い。近年、優等生然としたバイクが多い中で、しっかりと向き合える性格を備えているのは珍しいと思うし、またそういうバイクだからこそ、ただの機材の枠を超えて愛情をもって接する喜びが生まれるのである。

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乗って驚く高い運動性能◇山本健一

いかにもエアロロード、という佇まいで、空力のセオリーはすべて抑えた! といった雰囲気だ。そのフォルムから想像する乗り味はおおよそ予想がつく。過度な期待はせずにテストライドに望んだが、想像以上にレスポンスが良いというのが正直な印象だった。今どきなら斜め上をいくとでも言うのだろうか。エアロロードながらも上りでの反応が鋭く、ペダリングロスをほとんど感じないバイクだ。無論、平坦の軽やかな走りはその形状以上に剛性面の利点を強く感じさせる。空力特性も十分に発揮されているだろうが、感性に訴えかける部分が多分にあるもので、フレーム全体の鋭いチュービングと、眼下におくハンドル回りの整頓されたフォルムがモチベーションを高めてくれる。その上、美しいグラフィックもまたプロスペックらしい仕上がりで気品がある。カレラというブランドにはピュアレーシングバイク=ロードバイク本来の姿というヒイキが多少あるので、ポイントがやや高いかもしれないが、それを差し引いても、AR-01の運動性能は保証するのである。とはいえレーシングバイクとしてみた感想だ。ゆったりとライドを楽しみたい人にとってはスパルタン過ぎるかもしれない。極限までスピードを求めるバリバリのレーサーにおすすめしたい。

(写真/和田やずか)


問:ポディウム http://www.podium.co.jp/

 

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