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2016年03月25日

3モデル インプレッション VOL.12/WILIER編 総論

3モデル インプレッション VOL.12 WILIER 総論

小高:ピナレロやコルナゴがイタリアンブランドの代名詞と言われている中で、すこしマイナーなイメージがしてしまいますね。

山本:たしかにマイナーなイメージは否めないですね。でも前口上でふれたように意外と引き出しの多いブランドで、カーボン時代に適応したブランド。

菊地:イタリア車ってマイナーだからいいんだよ。ローカルに根付いていて、レア感があるのが本来の姿なんじゃないかな。

山本:スチール時代のときもそうでしたもんね。日本にいると半年待ちとか当たり前だし。

菊地:そうだったね。ウィリエールって、ちょっとデコラティブというのかな、大げさな感じがするでしょ。そのちょいダサ感がいいんだと思う。アルファロメオだってフェラーリだって、過剰でしょ。

山本:ああ、それだ。ウィリエールに感じているのはイタリアンブランドとしての演出が効いているんですよね。

小高:僕は初代のチェントウノが琴線に触れたバイクでした。イタリアらしいグラフィックがよくて。特にロゴが好きでしたね。以前からカッコいいなあって思っています。

菊地:そこだよね、イタリアンバイクは。だからそのクセが味わいだし。今回だったらチェントウノ・エアーがよかったな。速く走りたいって気持ちが伝わってくる。

山本:自己顕示がビシビシ伝わってくるバイクでしたね。それでいて個性的。外観から予想する乗り味を見事に裏切ってくれたというか。

小高:チェントウノ・エアーはわりとおとなしめだった印象があります。エアロなのにロングライド向きという不思議なコンセプトだったし。

菊地:案外、快適なのは驚いた。でも、そこが自転車を知っているなぁ……さすがイタ車って感じ。

山本:そのうえ過剰なギミックなどは用いられず、使いやすさも同居しているのが、アメリカンブランドとはちょっと違うところ?

小高:僕はゼロ・セッテがよかったですね。パリッとした乗り味が好き。軽すぎる不安感も無くて良い。新型のゼロ・セーイはスペック上はやり過ぎに見えるけど、乗ってみたいかも。

菊地:ゼロ・セッテはコンセプトがわかりやすいでしょ。まぁ、あれはあれでいい。だけど、僕はGTR-SLのコンセプトが伸びてくると面白いと思うんだ。グランツーリスモってのは、クルマだとレース用よりも上の遊び。いま選手の自転車は最低重量に6.8キロの縛りがあるけど、我々にはないからね。選手よりも上質で高級なバイクってのが、オジサン用にあっていいと思う。

山本:軽さへの憧れは永遠ですね。ゼロ・セッテは、ゼロ・セーイにそのコンセプトを受け継いで、どんどんせめて欲しいですね(笑)。グランツーリスモって結構広いくくりですよね? 特に自転車にとっては。スピードもしかり、距離もしかり、あとどれだけ機材につっこめるか、かな。

菊地:速さならフェラーリやメルセデスかもしれないけど、素人が贅沢するならアストンマーティン……みたいな世界があると、世界観として豊かだと思うの。

山本:アストンマーティンってブランド的には超贅沢ですよね。そんな雰囲気で乗れるバイク……。

菊地:きちんとレースをやっていた時代もあって、今は贅沢の極みみたいなブランドになっている。というカテゴリーが育つと面白いけど、なんでもレースしちゃうのもイタリア人だからなぁ(笑)。

山本:ロードバイクに乗っちゃうと競争しちゃうのが性なので、それはそれで正しいかも(笑)。1点豪華主義者、あるいはクルマ好きが高じてバイクにもって人も多そう。でもラグジュアリーな感じにまとめて複数年でライドを楽しむような。このGTR-SLも決してコンフォート色が強いバイクではなく、レーシングな片鱗を感じましたね。

菊地:イタリアってさ、ほとんどが田舎でしょ。イメージが都会的だけど、北イタリアをのんびり走ったり、大人気ない走りをして楽しむのが似合う。田舎道を気持ちよく走る、そんなときにウィリエールはいいと思うな。

山本:ヨーロッパのシーンでたしかに大の大人のサイクリストがはしゃいでいるようなのはよく見かける。目を三角にして走っているよりもずっと豊かではありますね。

菊地:ゼロ・セッテとチェントウノは大人気ないのが似合うかな?(笑

山本:かもしれないですね(笑)。はしゃいでのびのびと乗れるくらいの人のほうが、性能を楽しめるかも。ルロワのころから感じているのは、理屈抜きで良いってところで、それがこの話に通じているかも。

菊地:ハズレのないブランドだよね。中小規模の良さがあって、こういうブランドは残っていってほしいね。どうしても最初は大きなブランドに憧れるけど、無駄金を使っていると、ウィリエールのようなバイクの味が分かってくる。価格も、悪くないと思う。どう思う?

小高:そうですね、お手頃ではないけど、価値はあると思いますね。

山本:頑張って手に入れて、なんとなく優越感は得られそう。……っていうといやらしいけど。これからチャンスがあるかわからないけど、一度はじっくり乗ってみたいブランドですね。

菊地:1度は欲しいよね。

 


(写真:和田やずか)

ウィリエールのお問い合わせ先:服部産業スポーツ事業部 TEL.06-6981-3960

http://www.wilier.jp/road/

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