2017年09月03日
【2018 NEWプロダクツVOL.2-2】CERVELO / R5 DISC
CERVELO / R5 DISC
新しくなったR5シリーズの大きなトピックの1つは、ディスクブレーキモデルが追加されたことだろう。しかも、従来のリムブレーキ仕様よりもディスクブレーキ仕様のほうが重いという従来の常識を覆し、831gとリムブレーキ仕様よりも20gほど軽く仕上がっているのが大きな特徴だ。ジオメトリーもディスクブレーキ仕様のほうがチェーンステー長を長く設定するブランドが多いが、R5は両者共に410㎜であり各チューブの角度も統一されている。エンデュランスバイクから導入が始まったディスクブレーキ化、サーヴェロはCシリーズを皮切りに、Sシリーズ、Pシリーズ、そしてRシリーズとほぼ全てのシリーズへの導入となった。
ジオメトリーは同じR5として統一されているが、ブレーキ形式の変更に伴い細部は異なる。もっとも大きなモノはホイールの固定方式で12㎜径のスルーアクスルによって、クイックレリーズ方式よりも強固に固定され、フロント回りのスタビリティを向上させている。さらにカーボンの積層などもディスクブレーキ用に最適化。スクオーバルチューブやBBライトといったサーヴェロ独自の技術も最新技術で改良が加えられた。
ブレーキのマウントはシマノが提唱するフラットマウント方式。140㎜径が標準で、オプションの160㎜径にするときはアダプターが必要となる
フォーカスが開発したTRAスルーアクスルは、圧倒的に素早くホイールの脱着ができるのが特徴だ
完成車の標準ホイールはマニアから評価の高いエンヴィ製。タイヤはコンチネンタル・グランプリ4000シリーズを採用
R5 Disc Dura-Ace Di2 9170完成車 ¥1,400,000(税抜)
R5 Disc SRAM RED eTap 完成車 ¥1,370,000(税抜)
R5 Disc フレームセット ¥580,000(税抜)
IMPRESSION
期待以上の運動性能★山本健一
ディスクブレーキが付いていると、なんとなくコンフォート感というか、レーシングのイメージではなかった。しかしツール・ド・フランスではディスクブレーキ仕様のロードバイクに乗ったスプリンターが勝利を量産していたし、このR5を見れば、重量のハンディはまったくない。
話を戻すとレーシングのイメージでなかったディスクブレーキ仕様のロードバイクがいよいよ、コンペティションだな、とはっきりと感じさせたのがこのR5だ。さきほども触れたとおり、エンデュランスモデルでこのディスクブレーキが導入されることが多い。単独走での扱いや天候を気にしないなど全天候型耐久性という刷り込みもあるだろう。しかしながらスラム・レッドeTAPの最新スペックのディスクブレーキは実にソリッドで、レスポンスが早い。なんとなくディスクブレーキだとブレーキを甘くかけてしまいがち。しかも変速動作もぎこちなくなってしまうこともある。このディスクブレーキのパフォーマンスを十二分に生かせるフレームの素養の高さあってこそだろう。まさにR5のすぐれたカーボンレイアップや、フレーム形状がなせる技といえる。強烈な硬さこそないが、踏めば応える軽快なフィーリング。走っていて心地いい。
ジオメトリーの大胆な変更によってハンドリングの安定性をより高めたというが、ディスクブレーキのストッピングパワーとの組み合わせはメリットしか生み出さないはず。
ホイールは慣れないうちは装着に時間がかかったが、フォーカスの技術を用いている特徴のあるアクスルを使っているので、脱落などのトラブルが発生しにくそうな機構。時間が解決してくれるだろうけれど、財産ともいえるホイールの種類がいかんせん少ない。自由に選べないという点は歯がゆいところだ。
このバイクは……
レース・エンデューロ向け
すべての調和がとれた軽量ロードバイクのベンチマーク。あらゆる用途に。
Mt.富士ヒルクライム
富士チャレンジ200
グランフォンド八ヶ岳
クライムジャパン
関連URL:東商会 http://www.eastwood.co.jp/lineup/cervelo/r5_disc.html
写真:編集部、江西伸之
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。