2017年10月27日
【2018 NEWプロダクツVOL.8】EDDY MERCKX・SAN REMO76
輪聖という称号を与えられた史上最強のロード選手、エディ・メルクス氏の名を冠するベルギーのエディメルクス。セカンドモデルのサンレモ76は欧州レースシーズン開幕を告げるレース“ミラノ~サンレモ”を 1976年にエディが制したこと由来する。フレームはカーボン製で、リムブレーキ仕様とディスクブレーキ仕様の2種類がラインナップされる。フレームの重量は1kg、フォークが360gと標準的なカーボンフレームよりも下回る軽さを誇っている。フレームサイズはXS,S,M,Lの4種類。タイヤ幅は主流になりつつある25㎜まで対応している。
フレームの工法は最新のEPS工法(発泡ポリスチレン成形)を採用。 この工法はシリコン製の軸とポリスチレン製のコアを使用し、従来の工法よりも残留エアを減らすことのできる高圧力をかけることを可能にし、同時にチューブ内部のシワや凹凸のない成形を実現。結果として余分な樹脂素材を除去でき、高強度と軽量化を図っている。安易に高価なカーボン繊維に頼るのではなく、技術力で高い性能を目指すのが最新のトレンドであり、エディメルクスもそれに則ったモノ作りをしている。
SPEC
サイズ/XS – S – M – L
フレーム/Carbon Monocoque
フォーク/Carbon Monocoque
シートポスト/専用品付属
ヘッドセット/FSA headset 1-1/8 / 1-1/2
BB/プレスフィット(BB86)
装着可能タイヤサイズ/25mm
価格:278,000円(税抜、フレームセット)、398,000円(税抜、シマノ・アルテグラ完成車)
size | top | a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | reach | stack | crank | bar | stem |
XS | 460 | 74.0 | 136 | 513 | 104 | 71.2 | 370 | 43 | 962 | 408 | 565 | 70 | 367 | 512 | 170 | 420 | 90 |
S | 480 | 74.0 | 141 | 525 | 119 | 71.6 | 370 | 43 | 972 | 408 | 574 | 70 | 374 | 520 | 172.5 | 420 | 100 |
M | 500 | 73.5 | 151 | 541 | 136 | 72.0 | 370 | 43 | 982 | 409 | 583 | 69 | 381 | 537 | 172.5 | 440 | 110 |
L | 520 | 73.5 | 156 | 554 | 154 | 72.4 | 370 | 43 | 991 | 409 | 592 | 69 | 389 | 555 | 172.5 | 440 | 110 |
シートポストを確実に固定しつつ、シートポストのクランプ部のエアロ効果もあるインテグレーテッド・シートポストクランプ
上側1.125、下側1.5インチのテーパーヘッドコラム。シフトケーブルやブレーキケーブル・油圧ホースをフレーム内に内蔵することでスッキリとした取り回し
ドロップアウトからコラムまで一体成型したフォークは、剛性が高く安定感の高いハンドリングを実現している
シートステーのしなりをスムーズにするためシートチューブとの接合部は潰し加工が施されている
応力特性に合わせて左側のチェーンステーを強化して、効率的にトラクションを発揮する
IMPRESSION
大柄なフラマンのサイクリストがゴリゴリと音を立てるようなペダリングをしても、それに応えるような屈強なフレームワーク。見た目からして強そうなイメージをもたせる。フロント周りはエアロっぽさもあるが、リアは路面の悪さを想像させるような横扁平したチューブの造形で、フランドル地方の環境をフレーム形状が物語っている。シンプルだけど、細部を見ると作り込まれている。そんなイメージのバイクだった。エッジの効いたフレームデザインは嫌いではない。マットで、ミディアムブルーのカラーリングも珍しい配色なので、しばらく記憶に残りそうなインパクトがある。
こういっては失礼だが、思った以上に走るというのがファーストインプレッションだ。ライディングフィールは安心そのもの。フレームやフォークにはまず問題はない。リアセクションの造形も主張するほどではなく、キビキビとした走りが印象的だった。あえていうならアッセンブルしているパーツのポテンシャルが足りていないといえる。コンポーネントはともかくとして、ハンドルやサドル、ホイールは分相応のグレードにすぐに載せ換えたい。持ち込んだ自前のホイールに換えて乗ってみたが、フレームそのものはハイエンドモデルの水準に達しているといえる。
このバイクは……
レース・エンデューロ向け
パワフルなライダーも満足。レーシーな味付けのカーボンフレーム
富士チャレンジ200
グランフォンド八ヶ岳
関連URL:深谷産業 http://www.fukaya-sangyo.co.jp/eddymerckx/
写真:海上浩幸
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。