2017年11月07日
【2018 NEWプロダクツVOL.10】COLNAGO V2-R
2014年に発表されたコルナゴの軽量オールラウンドモデルのV1-rがモデルチェンジして、V2-Rへと進化した。コルナゴがフェラーリと共同で製品開発をするようになって約30年、フレームは重量835g(塗装前480㎜)とコルナゴ史上、もっとも軽量に仕上がっている。もちろんスペックだけでなく、レースでのパフォーマンスを重視する同社らしく、剛性や空力抵抗といったアスリートが求める性能を満たしているのは、改めて言うまでもない。
リヤエンドからトップチューブへ伸びるシートステーにV1-rの面影を残しているが、カーボンの積層やトップ&ダウンチューブの形状がブラッシュアップされてBB部の剛性が旧型比で13%向上。ハンドリングに大きな影響をもたらすヘッドチューブ下部の剛性も4%も強化されたという。リヤブレーキはBB下からシートステイマウントとなり整備性が向上している。また、5万円アップでディスクブレーキ仕様も用意されている。
SPEC
Frame:CARBON MONOCOQUE
Frame Material:HHM-HM CARBON
Fork:V2-R CARBON
BB:BB86
Seatpost Size:ORIGINAL
・異径ヘッドチューブ。 1 1/8″ & 1 1/4″
・前後ダイレクトマウント式ブレーキシステム。リアはメンテナンス性を考慮しシートステイタイプ。
・シートポストはカムテイル形状のカーボン製。
・フレームにねじ切り加工された箇所にアダプターの役目を担うコルナゴ独自規格「スレッドフィット82.5」は、脱着によるフレームへのダメージを軽減する。
・プレスフィットBB86に対応。
・シマノ:SM-BB92-41B / SM-BB72-41B
・カンパニョーロ:ULTRA TORQUE OS-FIT 86.5 x 41 / POWER TORQUE OF-FIT 86.5 x 41
・一体構造リアディレイラーハンガー。万一の転倒の際、内側に曲がるよう設計されているのでフレームへのダメージが軽減。
・ケーブルルーティングはインターナル
・インテグレーテッドシートクランプで空力を向上
・ディスクフレームセットも展開。140㎜ローター対応のフラットマウントタイプ。前後12mmスルーアクスル。フロント100mm、リア142mm。スルーはManitouのHex Lock。
・フレーム重量:835g(未塗装)
サイズ:420S / 450S / 480S / 500S / 520S / 540S / 560S / 580S
カラー:TNRD / TNBK / TNWH / TNMR / TNDK
- 価格:完成車(TNMR)¥1,200,000(カンパニョーロ・スーパーレコード、税抜)
価格:
フレームセット(TNRD、TNBK、TNWH):¥430,000(税抜)、¥480,000(税抜、Disc仕様)
フレームセット(TNDK):¥500,000(税抜)、¥550,000(税抜、Disc仕様)
- コンポーネントチョイスシステム(フレームセット価格と合計し、完成車価格となる)
シマノ
DURA-ACE Di2 KIT 価格:フレームセット+¥599,000(税抜)
DURA-ACE KIT 価格:フレームセット+¥468,000(税抜)
ULTEGRA Di2 KIT 価格:フレームセット+¥379,000(税抜)
ULTEGRA KIT 価格:フレームセット+¥297,000(税抜)カンパニョーロ
SUPER RECORD EPS KIT 価格:フレームセット+¥966,000(税抜) - SUPER RECORD KIT 価格:フレームセット+¥775,000(税抜)
- RECORD EPS KIT 価格:フレームセット+¥873,000(税抜)
- RECORD KIT 価格:フレームセット+¥699,000(税抜)
- CHORUS KIT 価格:フレームセット+¥491,000(税抜)
- POTENZA KIT 価格:フレームセット+¥309,000(税抜)
機械式変速機の場合、ケーブル類はダウンチューブの上辺から収納する
シートポストの固定方法がクランプバンド方式から、スリーブ圧迫タイプとなり空力性能も向上。シートポストはD型端面となり快適性も向上している
高級車のリムブレーキ仕様で密かな人気を集めているダイレクトマウント方式のブレーキ
空気抵抗の低減と共にブレーキケーブルのフリクションロスを小さくなる位置にケーブルのトンネルが設けられている
ドロップエンド周辺で急激に拡がるシートステー。上部は扁平形状となっており後輪の突き上げを和らげる効果がある
IMPRESSION
欠点が見当たらない◆山本健一
実によく走るバイク。エアロダイナミクスパフォーマンスをさらに高めたというが、一見そうは見えないフォルムと、自然なライディングフィールが非常に印象的だった。しかも重量も軽く、800g台というフレーム単体重量。この軽さながらもしっかりとペダリングパワーをリアホイールに伝えるための構造物となっている。しかしながらいわゆるノーマルバイクの自然なフィーリングをもつエアロバイクだ。傾向として、見た目にもオーソドックスな丸型形状のフレームのほうが挙動も反応もしっくりとくるフィーニングをもっていることが高い気がする(もちろんエアロロードバイクでもクセのない軽快な走りができるバイクもある)。
このV2-Rに乗って、イメージとして刻まれたのはパリっとした爽快感のある踏み出しの軽さ。なかなか忘れ難き爽快感であった。強力に踏み込んでみたときの印象はC60に一歩譲るものの、それがネガに思えるほどでもない。
軽量+エアロ+踏み出しの軽さというコンビネーション。ブランド力もある、そしてルックスもいい。ちょっと弱点が見当たらない。どんなコースにも対応できる。個人的には純粋な上りもこなせるが、フレームの特長を生かすならスピードコースのヒルクライムに向いていると思う。
永らく、最後のロードバイクは“コルナゴの最高級モデル”だと思っていた。しかし、どうにもC60が好きになれない。そこそこ軽く、したたかに硬く、そして色気がある。それが私の好きなコルナゴ像である。その“らしさ”がC60にはない。替わりにと言ってはなんだが、現行のラインナップでもっとも上手に演出できているのがVシリーズだ。新型となりV1-rの抱えていた弱点が見事に克服された。中でもリヤブレーキの性能が向上して、コントロール性全般の質感が高くなった。もともとフロントフォークの剛性には定評が高いブランドだが、V2-Rはフォークコラム下側の剛性を上げることでダイレクトマウントの魅力を引き出し、さらに正確なハンドリングを手に入れている。軽快さについてはV1-rにもまったく不満はなかった。ただ、すこし剛性不足によるか弱さがあったのも事実だ。BB部が13%ほど剛性アップしたせいか、それともヘッドチューブが功を奏しているのかは分からないが、C60ほど硬すぎず、V1-rよりも逞しい。そんな心地よさがV2-Rの魅力であり、軽快さがいきるヒルクライムはもちろん、ロングライドやロードレースなど使い方を選ばない。
このバイクは……
エアロロードバイクながらもオールラウンドな運動性能
よってあらゆるレースに対応できそう。
関連URL:コルナゴジャパン http://www.colnago.co.jp/
写真:海上浩幸
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。