2024年08月19日
南仏の静かな村で熱狂のツール・ド・フランス観戦
フランスの南部。地中海からプロヴァンス・アルプの高地までのどかな農村が広がる。コート・デュ・ローヌワインの葡萄畑にローマ時代の遺構、遺跡が点在する広々した風景。静かな田舎町に、世界的な巨大スポーツイベント「Tour de France」が真夏にやってくる。176人の最高峰のプロサイクリストが、ときには時速70㎞以上のスピードを繰り出し、普段は静かなフランスの村々で熱闘を繰り広げる。
スポーツイベント会社に勤務している筆者は家族旅行を兼ねて、世界三大イベントのツール・ド・フランス観戦へ。2度目の休息日明けとなる第16ステージ(7/16)と第17ステージ(7/17)の2ステージにて、コース沿道での観戦のために集まる各国からのサイクルロードレース・ファンの夏休みとツールを愉しむ方法を訊いてみた。
➀スペイン・バルセロナから子供と親戚一家で、避暑を兼ねてSuperdevuloy (シュペールデュブロイ)滞在を楽しむLucía(ルスィア)さん
「私の住むバルセロナは世界中から観光する人が集るうえに夏は暑いです。涼しいと思って息子と叔父家族の5人とともに、フランスのスキー場のある場所に来たんです。車2台で、6時間くらいで来れました。今日で3日目。レースにはスペイン人がたくさん出てるので楽しみ」と話す。
そんな中、キャラバンの車が通過。車から沿道の観戦者に向けてサンプル品、ノベルティグッズが大量にばら撒かれる。話も中断してグッズをキャッチ。無事ゲットできると大声をあげて息子さんとガッツポーズ。
「サイクル・ロードレースは初めて見るけど、こんなにエキサイティングだと思わなかった」と興奮して話す姿に、私もうれしくなった。
バルセロナは2026年大会のスタートの街となることを帰国後に知った。教えてあげればよかった。
➁スロベニアから3世代で観戦のTurk(タルク)さんご一家
今年も総合優勝を果たすタディ・ポガチャルの母国から観戦。
「飛行機でフィレンツエに着いて、イタリア北部を電車で回ってリヨン(フランス南部の都市)に向かう途中でツール・ド・フランスの観戦の日程をいれることにしました。今日で2ステージ目の観戦。
私(写真、真ん中の大きな男性)は、ポガチャル選手のファンですが、(隣にいる)父と母、妻、子どもたちは、残念ながら関心は無いのです。でも、涼しいところで大きなお祭りを見ることができて楽しんでます」
この日の第17ステージでは、ポガチャル選手はステージ優勝を逃すもフィニッシュ手前400mからタイム短縮の猛アタック。タルクさん家族もその闘志を目の当たりにしたに違いない。
③アイルランドから家族4人でフランス旅行中のJoseph(ジョセフ)さん
「夏の旅行はフランスのアルプスで過ごすことが多いのです。ツール観戦も今日が初日。このあと2ステージを観る予定。フランスの夏の天気が大好き。そして野菜がおいしい。 ワインも安い。今日も借りているアパートの部屋で買ってきた野菜を調理して食べるのが楽しみです」と話す。
車移動なので、観戦用のイス、パラソル、クーラーボックス完備の家族でした。
〇地元に住むDurand(デュラン)さん。
ようやく地元に住む方々に会えた(村の名前はどうしても聞き取れませんでした)。
この日のフィニッシュ地点Superdevoluy(シュペールデュブロイ)はスキーリゾートの街。ここから車で30分ほど下ったところに住んでいるそうだ。近所の友人とそれぞれ子供を連れて観戦に来ていた。
「ツール・ド・フランスは、プロヴァンス・アルプスに良く来ます。しかし、私たちの住む村からこんなに近くに来たことがとてもうれしい。今日は、朝10時からここで待っています」
ここSuperdevoluy(シュペールデュブロイ)をフィニッシュするのは夕方5時なのに……。
「交通規制のため午前中にはここに来ないと車で入れないから朝から来ています。 この町に上がってくる道はツール・ド・フランスのコースなので、たくさんのサインと壁(フェンス)に囲まれた道を車を走らせることができて興奮しました」
沿道は、このような子供連れが大変に多い。が、やはり自転車好きの中高年層も彼の地にもたくさんいる。自分達のクラブのユニフォームを着て、クラブの旗を沿道の樹木に掲げる人たちも。同年代としてシンパシーを感じる。
150~200㎞の長大なコースですが選手たちが自分たちの目の前を通りすぎるのは一瞬。その刹那のためにコース上へ早朝から集まって過ごす夏の1日。
選手たちと旅をしながらツールドフランスを観戦するバカンスは、とても豊かな時間の過ごし方ですね。
Text/Photo Keisuke OKUMURA
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。