2024年06月26日
篠さんの日本縦断ギネス世界記録挑戦記 <本編・6日目、7日目>
篠さんの日本縦断記録は無事認定され、ギネスワールドレコーズ公式サイト に掲載されています。
試される北の大地へ
INDEX
6日目 青函フェリー函館ターミナル~留萌
7日目 留萌~宗谷岬
6日目 青函フェリー函館ターミナル~留萌
走行距離 370km 獲得標高 2183m
グロス平均速度 20.3km/h
経過時間 18時間16分
走行時間 16時間10分
活動時間 5:59~24:15
睡眠休憩 2時間25分
【天候】晴れ→曇り→雨/気温 9~20℃/湿度 76%
6日目、7日目の着用ウェア
【ASSOS】
UMA GTV SPRING FALL JACKET C2
DYORA RS SPRINGFALL BIB SHORTS S9
ASSOSOIRES W SPRING FALL LS SKIN LAYER
GT SPRING FALL LEG WARMERS C2
DYORA RS RAIN JACKET
SEEME VEST P1
RSR THERMO RAIN SHELL GLOVES
SPRING FALL SOCKS EVO
JINGO RS HELMET
5月26日、5時30分起床。
いよいよ最後の区間になりました。
函館から宗谷岬までの距離は575kmです。
北海道でかーい!
今回乗船した青函フェリーは、車庫の一番奥に自転車を停める為、下船は自動車の後になります。
北海道へは飛行機でなら何度も来たことがありますが、フェリーのランプウェイを自転車に乗ったまま降りる体験は初めてで、アトラクションみたいでワクワクしました。
足を踏み入れた!というか…実際歩いている訳でもないのに不思議な感覚です。
昨晩の極寒の青森が嘘のように、函館の朝は暖かな陽射しと雲ひとつない青空が広がっていて、想像よりずっと走りやすい天候で助かりました。
ひとまずセブンイレブン函館フェリー埠頭前店まで移動して、出発の準備を整えます。
サポートチームはここで交代。
わらばんしさん、オゴウさんと入れ替えで、け~すけさん、キャヴェツさん、Kittaさんが入ります。
北海道チームは3人とも北海道そらちグルメフォンド繋がりの知り合い。
2018年に運営のけ~すけさんからゲストライダーをオファーを頂いて以来、そらちグルメフォンドのみならず、北海道に来る度に何かしらのお世話になっています。
今回も2月に北海道区間のサポートメンバーを探していると連絡したら、速攻やります! と返信が来ました。
多忙な方ですが、本当にありがたい限りです。
け~すけさんの取りまとめで、そらちのコースディレクターのKittaさんと、サイクリストで乗馬仲間のキャヴェツさんも来てくれて、これ以上頼もしい人選はいません。
サポートメンバー確保で一番苦労するであろう北海道区間があっさり解決して、胸がじんときたのはここだけの話。
当初の予定では、オゴウさんが青森離脱で、ふぃりりんとわらばんしさんは北海道メンバーにサポート関連の引き継ぎを済ませた後、セブンイレブン離脱になっていましたが、私の走行ペースが予想外に順調だったので、オゴウさんとわらばんしさんとは函館でお別れできました。
ふぃりりんだけ残って、100km地点まで引き続きサポートカーに同乗しながら、サポート関連の引き継ぎをしていきます。
前半はいける所までいくスタイル
26日は昼過ぎまで強風予報ですが、7割追い風気味です。
長万部までは西風ベースで、南南西か西北西と進む方向によって激しく切り替わる感じで、足を回していれば進む区間もあれば、全力で回しても20km/h出ない区間もありました。
余計な負荷がかからないように向かい風区間はペースを抑えて姿勢を低くして、追い風区間はスピード乗せていくように徹底しました。
早朝の国道5号線は空いていて、緩い丘を越えて下り出すと平坦が延々と続きます。
海沿いの国道229号線も信号がほとんどないため、最初の200kmはあっという間でした。
第1休憩の103km地点のセブンイレブン長万部店に到着したのは10時18分、貯金51分。
第2休憩の205km地点のセブンイレブン余市大川店に到着したのは15時17分、貯金1時間40分。
ここまでの区間Ave.は初日の九州区間に次ぐ高さです。
元々立てた予定では21時20分に287km地点の道の駅石狩「あいろーど厚田」に到着で、そこで2時間仮眠を取ることになっていましたが、この調子だとかなり早く着いてしまいそうです。
ゴールを予定している明日は大荒れ予報。
雨は早朝から降り始め、遅い時間になればなるほど悪化していくので、終盤の宗谷岬付近はかなり厳しいコンディションが予想されます。
現時点は順調に進んでいますが、翌朝のことを考えると天気が持つ今日のうちに少しでも前に進めておきたい。
第2休憩から再び走り出すと、風向きが向かい風に変わりました。
ここから先は、かの有名な「日本海オロロンライン」が待ち受けています。
もっと北上してからのイメージでしたが、実は小樽から既にオロロンラインが始まっていました。
小樽市街と石狩市までの区間は比較的に交通量が多いです。
当初100km地点で離脱する予定だったふぃりりんは、結局250km地点のローソン石狩新港三丁目店まで着いてきてくれました。
私が予想より速く進み続けているから離脱地点がどんどん先送りにされていったとのことらしい。(笑)
石川県から長い区間のサポート、本当にありがとうございました!
このコンビニに立ち寄ったのはもう一つ用事がありました。
地元サイクリストの協力の元、翌日の雨に備えた予備のチェーンオイル、着替え用のインナー、ORCAのハンドル高調整用の5mmスペーサーを調達できたので、それを受け取るためでした。
今回のチャレンジは本当に色んな方に助けられています。
北海道区間はサドルを下げたり、スペーサーを抜いたりして何度かバイクの調整を繰り返しました。
写真で見返すと歪なフォームで走っているなあと自分でも思いますが、その時その時の一番体に負担が少ないセッティングだったと思います。
石狩市から先はここまで多かった交通量が嘘だったみたいに、パタッとすれ違う車両が減りました。
道の駅石狩あいろーど厚田には19時28分に到着。
ここまで287km、貯金1時間47分です。ここで日が暮れて、チャレンジ最後の夜が訪れます。
※市街地から離れている道の駅だったので、応援に来てくださる方本当に有難かったです。とても力になりました。
当初の仮眠予定を先送りにして、あいろーど厚田では30分ほど滞在。靴を脱いで足の裏を休ませながら、温かいコンポタージュとセコマのホットシェフシリーズのから揚げを頂きました。
北海道区間の補給は、北海道ならではのコンビニグルメにこだわってみました。
印象に残ったものと言えば、たまたま手に取ったセコマのエッグ&メンチロールが罪深い美味しさで……。
コッペパンにメンチ1枚とたまごサラダを挟んだものですが……たまごサラダがメンチとパンと絡み合って、程よくしっとりで、ソースがいい仕事していて、脂質たっぷりなのに油っこさを感じさせない味付けが最高。
また、北海道のお赤飯は甘納豆入りがデフォーで、普段とは違う甘塩っぱい味で最初はびっくりしましたが、すごく美味しかったです。
最後の夜、虚無区間Part3
20時に走行再開。
真っ暗です。
波の音が聞こえてくるから、おそらく海沿いを走っているであろうことだけは分かります。
自分のフロントライトとサポートカーが照らしてくれる範囲しか見えず、すれ違う車もなく、暗闇に自分達だけが取り残されている気分でした。
留萌まではひたすらアップダウンが繰り返されていきます。暗くなってペースが落ちたというのもありますが、この90kmは最初の100km×2よりずっと長く感じました。
カメラマンのNobさんがしばらすを姿見せないなあ。とぼんやり考えていたら、22時頃道沿いの無料駐車場でキャンピングハイエースを発見。ハザードはついておらず、車内の電気は消えている。
「あ、Nobさん落ちた。」と思った(笑)。
それもそうと、隙を見つけて仮眠を入りつつとは言え、九州から北海道まで1人で運転も撮影もこなしながらついてきているから、疲れる訳です。
次は私の番かなと、気を引き締めて足を回し続けました。
短時間睡眠で連日平均400km近く稼働のダメージは体よりも脳の方に来ます。
5日目の昼過ぎから体調に表れ始めて、適度に休憩を入れつつやり過ごしてきましたが、起きていられる時間がどんどん短くなっていきました。
自分の体で人体実験を行っている気分でした。
チャレンジ開始後は、毎日予定より早くゴールすることで睡眠休憩を平均5時間前後を確保できていますが、女性は余計身支度に時間かかるので、寝る準備や寝付くまでの時間、翌朝の身支度を差し引いたら、毎日の本当の睡眠時間は3.5時間~4時間しかありません。
単日チャレンジなら北海道区間の距離は一気に行きたいところですが、6日目にもなるとさすがに厳しいです。
23時過ぎぐらいに限界が近いと感じて、サポートカーに「次の留萌で仮眠取ります」と伝えました。
このまま続けたら走行中に寝落ちすると思いました。自転車に乗り始めてから初めてのことです。
眠気覚ましにACTIVIKEのスピードジェル(カフェイン入り)を2個投入。ここまでほとんどカフェインを取らずに来たおかげで、効き目は抜群。
道の駅るもいに到着したのは27日の0時15分。
ここまで375km、貯金3時間11分。(仮眠2時間含む)
自転車降りた瞬間どっと眠気が押し寄せてきて、「とりあえず1時間だけ寝ます!」とみんなに伝えたら、ジャージ着たまま毛布にくるまって、秒で寝落ちました。
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著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。