2025年05月20日
TOMOYAの「どすこい」サイクリング Vol.8 月の半分?レース三昧(後編)Presidential Cycling Tour of Turkiye(2.Pro)

こんにちは、小山です。
先日の前編に引き続き、今回はPresidential Cycling Tour of Turkiye(2.Pro)を振り返ってみたいと思います。

日本では『ツアー・オブ・ターキー』という名前で呼ばれることが多く、大会名を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
4月27日から5月4日までの8日間、1147.6kmで行われた今大会は、グランツール以外のステージレースの中では有数の長さのステージレースとなりました。
この記事を執筆中にちょうど開幕するTOJこと、Tour of Japan(2.2)も同じく8日間で行われますが、総走行距離は769.5kmと、ターキーはTOJの1.5倍の距離を走ったことになります。
各ステージ振り返り
Stage1
平坦ステージでチャンスがあるも

132kmの平坦コースで、最後は集団スプリントに。最終コーナーでUNO-Xのクリストフ選手を含むクラッシュに巻き込まれて、幸いギリギリ止まれたもののスプリントに参加できずフィニッシュとなりました。
Stage2
苦い記憶が残るコースで成長を垣間みる

前半の6.2km/4.8%の峠に入る前に遅れてDNFになった2年前の苦い記憶が蘇りながらのスタートとなったStage2。
心配は杞憂に終わり、後半の10.3km/5.0%の二級山岳中腹で遅れたものの、そこからはスプリンターグルペットでのフィニッシュとなりました。
Stage3
仕事をこなしグルペットでフィニッシュ

序盤に4.5km/6.2kmの三級山岳までアタック合戦が続きましたが、幸いコンディションも良く問題なくクリア。
後半に二回上る(周回コース)3.1km/6.6%の三級山岳を越えて、1.8km/10.0%の三級山岳手前でクライマーを良い位置で送る混むべく位置取り。そこからはグルペットでフィニッシュとなりました。
Stage4
ウエット路面で落車。グルペットでフィニッシュ

今大会のクイーンステージ、115kmで3,000m超上る(小山的に)地獄のステージ。
距離が短いステージは、タイムリミットも短くなるにも関わらず、最後は9.1km/9.7%の超級山岳ゴール。
それに加えて、今大会初の大雨(トルコの路面は滑り易く雨が降るとかなり危険)。序盤の9.2km/6.7%の中腹で遅れた大きめのグルペットでゴールを目指すも、最後の超級山岳前の下りで落車。
コーナーのたびに落車が起きている状況の中、ボロボロになりながら最後の超級山岳麓に到着。
幸いにもチームメイト含む数名が周りにおり、皆で必死に上って制限時間内にゴールする事ができました。全身擦過傷、全身打撲、シューズも破損と散々な日でしたが、骨折等はありませんでした。
Stage5
ステージキャンセルで痛む体をレスト

色々な意味で地獄のStage4を終えて、痛む身体を無理やり動かしスタートラインに立ったStage5。
朝から引き続き土砂降り。
直前までオーガナイザーや審判団が協議を続けた結果、前半70kmを(雨の中)ニュートラル走行し、その先からリアルスタート、ラスト10kmは総合タイム差をつけない、という内容でレースが行われることに。
個人的には最初の上りがニュートラル走行になり、最後はスプリント(しかも総合系はタイム差付かない為参加してこない)なので、ある意味チャンスと奮起してスタート。
しかし、数キロ走ったところで集団が自主的にストップし、CPA(選手会)とオーガナイザー、審判団が再度協議、最終的にステージキャンセルとなりました。
ニュートラル走行の時点で滑りまくっていたので、懸命な判断だと思いました(休めるし)。
Stage6
度重なる落車をかいくぐり…

前日のステージキャンセルの後、ホテル移動後に行ったイージーライドでさらに落車をするという失態を犯し、満身創痍で迎えたStage6。
スタートしてすぐ目の前で起きた落車によりストップ、その後の集団追走が良い刺激になったのか、身体は痛むものの調子は悪くなさそうでした。
後半の平坦で50kmを55分(平均56-7km/h)と爆速の区間があり、その区間で再度大きめの落車が発生。
分断された後方集団で後半の二級山岳へ突入し、そこでできたグルペットでゴールとなりました。
Stage7
相性の良いコースに意気込むも再び落車の餌食に

前日は度重なる落車を回避して迎えたStage7。
後半の3.1km/5.4%の三級山岳を越えられればすスプリントに参加できそうなコース。身体へのダメージが大きく、うまく力が入らない状況でしたが、『後2日』と言い聞かせてスタートラインへ。問題の三級山岳に突入し、1km手前くらいで遅れるも冷静にチームカーの隊列と下りを利用して集団復帰、スプリントに備えよう… としたい矢先に前方で落車発生。
自身はギリ止まれたのですが、後ろから猛スピードで集団復帰を試みていた選手にノーブレーキで突っ込まれて吹き飛ばされました。
ここまで右側を打つ落車でしたが、今回は左側を強打し、左足を自力で上げれないほどのムチウチ症状でした。
何とかバイクに再乗し、ゴールに辿り着きました。
今回も幸いにも骨折等はありませんでしたが、痛すぎて歩くのもままならない状況でした。
Stage8
満身創痍で迎えた最終ステージ

迎えた最終日、ここまで来たら身体がどれほど痛くてもスタートしない選択肢はなく、最後の力を振り絞ってスタート。
前日のムチウチ症状がひどく、前半は脚に力が入らず苦しみましたが、山岳で遅れるたびに下りで戻り、スプリントへ。
最後は2名のスプリンターのために位置取りを試みつつ、これでもかと起きる落車を奇跡的に回避しながら43位でゴールとなりました。
ここまで3度の落車を乗り越えて全ステージを走り切ったわけですが、左の脚が自分で動かさず、ゴール後にクリートを外さず立ちゴケして、4回目の落車となりました。
走り切ってみて
どんな状況であれ、ドクター的な出走できる状況であれば走り続ける事が最低限の仕事なので、走り切れたことは素直に嬉しかったです。
その反面、最初の落車まで調子が良かったことと、落車後の最終ステージでスプリントに参加できたことを考えると、悔しさも強いステージレースとなりました。
自身の感触としては、.Proクラスのステージレースで、平坦ステージであればTop10は狙えるのではないかという感触を得る事ができました。
現在も療養中ではありますが、これから始まるシーズン中盤、後半に向けてしっかり回復して、更に強くなって行こうと思います!

小山智也さん SNS
X:https://x.com/tomoyakoyama1
Instagram:https://www.instagram.com/tomoya.story
YouTube:https://youtube.com/@tomoyacycle
過去の記事
Vol.1 自転車ロード選手・小山智也
Vol.2 今シーズンまでの振り返り、そしてこれから
Vol.3 バイク「BH ULTARALIGHT」ご紹介
Vol.4 冬場のトレーニング振り返り
Vol.5 怒涛の1月、2月
Vol.6 今どきのプロはサイコンのこんな数値を見て走ってる
VOL7.月の半分?レース三昧(前編)Tour of Hainan(2.Pro)
【INFORMATION】
編集部での日々の出来事や取材の裏話、FUNRiDE presentsのイベント情報などをSNSにアップしています。
ぜひご覧いただき、「いいね!」のクリックをお願いします。
Instagram⇒ https://www.instagram.com/funridejp/
X⇒ https://x.com/funridejp
Facebook⇒ https://www.facebook.com/funridepost
著者プロフィール

小山智也こやま ともや
スペイン籍のUCI Pro Team「Burgos Burpellet BH」所属、プロロードレーサー ダイエットで自転車を始めてすぐ出会った方々のおかげでヨーロッパを志し、今もヨーロッパでレース活動を続ける。