2016年01月10日
TIME初のディスクブレーキ搭載モデル IZON Disk 国内初インプレッション【前編】
“すべてのラインナップを一新する”。タイムは2015モデルで、そんな前代未聞のモデルチェンジを行なった。そして、2016年は中核モデルのアイゾンとフルイディティにディスクブレーキ仕様を追加。注目を集めるタイム初のディスクブレーキ搭載モデルのアイゾン1台が日本に上陸を果たしたので、どこよりも早くインプレッションを敢行した。
タイムのラインナップ
タイムには値段の高いほうからスカイロン、アイゾン、フルイディティの3シリーズがある。その差は性能やグレードではなく設計思想、あくまでも3トップという布陣だ。エアロのスカイロン、エンデュランスのフルイディティの間に挟まって、アイゾンのキャラが弱そうだが、3モデルのシェアは拮抗しているという。
アイゾンの立ち位置を簡単に言えばベーシックモデルだろう。“レースにもロングライドにも使えます、苦手分野のない定番です”というセールストークがしっくりとくる。ただカタログを見ると、もう少しキャラクターを説明するのに便利なキーワードが以下の3つだ。
反応性(REACTIVITY)
欧米ではフレームやホイールの性能評価として重要視される項目。日本では“剛性”と置き換えられることが多い。加速ならアタックするときに、モタつかずにトラクションがかかるか? 減速ならフロントフォークの強靱性が求められる。
多用途性(POLYVALENCE)
本来は化学用語の『多価』を示す言葉だが、ここでは『多用途性』という解釈が相応しいだろう。それはヒルクライムやダウンヒル、平坦路まで苦手なコースや局面がないということを示している。
敏捷性(AGILITY)
正確で機敏なハンドリングはタイムの伝統的な魅力のひとつ。それをさらに磨き上げ、クリテリウムのようなトリッキーなコースでも、初心者からベテランライダーまでコントロールしやすい安全性と敏捷性を両立しているという。
これがアイゾンの共通した同一性だ。どれも基本に忠実なコンセプトゆえに本質的な魅力を突き詰めているとも言える。そして、多用途性を拡げるディスクブレーキ仕様の追加によって、アイゾンは3つのバリエーションになった。
今回はディスク仕様がテーマなので、他のモデルを簡単に紹介しよう。ひとつはフロントフォークの内部に、ホイールから伝わってくる振動に同調するオモリを使って快適性を向上させたアクティブフォーク仕様だ。これはライバルブランドにないユニークな構造で開発には8年を要したという。もう1つが軽量性と反応性の高いノーマル、そしてディスク仕様 である。
アイゾン アクティブ
アイゾン
従来型とディスク仕様の差は、単にブレーキの違いというには大きすぎる。たとえばブレーキ台座が取り付けられるフロントフォーク&チェーンスティは、ブレーキの位置が根元(クラウン側)から先端(エンド側)と異なるため、剛性や強度をすべて見直す必要がある。さらにブレーキケーブルが通るダウンチューブ、ブレーキブリッジのなくなったシートスティにも影響するため、チューブのデザインを変更している。このように派生モデルというよりは、同じコンセプトの別モノといっても差し支えないレベルだ。
次回は注目のインプレッションをお届けします!
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。