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2017年06月01日

芦田昌太郎の「脱・使わず嫌いインプレッション」第3回 ZEN SLIP(ゼンスリップ)

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数ある自転車アイテムの中で、みなさんはどうやって要不要をチョイスされていますか。想像だけで要らないと決めつけてはいませんか。食わず嫌いと同じで、使ってみないとその真価は分かりません。そこで、我々サイクリストの感性を悩ますアイテムを実際に試して、使わず嫌いを克服しようというのがこの連載。因みにわたくしの食わず嫌いは、からし蓮根。熊本県のみなさん、ごめんなさい。別々に食べては駄目ですか……?

第3回となる今回は、ゼンスリップ・クリートシム。これはシューズとクリートの間に装着して使うもので、下死点での入力ベクトルの方向を変えパフォーマンスを上げるという代物。ちょっと胡散臭いですね……。眉唾ものです……。メーカーの説明によると、ケイデンスが5~7回転アップ、80回転をキープした時のテストではパワーが5%向上し、とくに低回転になりがちなヒルクライムレースで効果を発揮するとのこと。これが本当ならば凄い発明です。今すぐ入手しなくてはなりません。

しかし、これで速くなるのであれば、シマノやカンパニョーロ、その他各メーカーが放っておくはずがありません。ビッグブランドからリリースされていないということは何か理由があるはず。わたくし、マテリアルには興味津々でも猜疑心が強く、とどのつまりは保守的であり、現状で満足してしまうのです。これが「使わず嫌い」の「使わず嫌い」たる所以です。

今回、結論は後回しにします。まずはセッティングから。クリートを外してゼンスリップを挟んで固定するだけ。いたって簡単です。説明イラストを見るとシマノ&ルックペダルを想定しているようなので、スピードプレイやタイムユーザーの方はショップにご確認を。装着時は実走してクリート位置を確認することもお忘れなく。私は厚みの分だけクリートが踵方向に寄ったように感じました。続いて、シートポストを5mm上げるように指定されています。何だろう……とっても嬉しいぞ。サドルを上げても良いのか……むふふ。物理的に足が長くなったおかげで、サドルに座るとその高さを体感します。ハンドルとサドルの落差も広がるので、諸々微調整は必要でしょう。

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サドル高を5mm上げられるってサイクリストとして嬉しいですよね

 

そしてクリートがはまらない……。はじめてビンディングペダルを使った時を思い出しました。本当にはまらない。右も入らなければ左もキャッチしない。今となってはこの5mmの厚さが憎い。とは言え、サドル高もクリートキャッチも慣れれば問題ないでしょう。人間何事も慣れが肝要ですね。

さて、ゼンスリップ装着時と非装着時を実走検証したところ、確かに出力は上がっていました。1.8kmで約5秒短縮、つまり2%くらいパワーが向上したのです。外は風の影響を受けるので正確とは言えないまでも、この数値は信じても良いのではないかと思えました。車の燃費などは最たるもので、往々にしてメーカー発表値は実現不可能なもの。5%とまでは行かないまでも期待は膨らみます。

次に走った印象を。下駄を履かせているのですから踏んだ時のダイレクト感は失われます。踏み面とペダル軸を極限まで近づけるようペダルメーカーは取り組んでいると思うので、これは完全に逆行しています。ただ、先述したように数値は出ていますので否定もできません。わずかにパワーが逃げているように感じ、スプリントでも反応が遅れるように思えたこともまた事実。クルクルとクランクを回していると脚の抜けは良かったですし、ケイデンスも2~3回転は上がるので、一定ペースでヒルクライムするなら有効でしょう。使用前は身体や感覚などへのマイナス面をいろいろと想像していましたが、膝への負担は感じられず、効果が出ないと思っていたダンシングではむしろ長くペダルに体重を乗せることができます。そして平坦路でも意外と良かったので、タイムトライアルでの利用も考えたいところです。このゼンスリップを挟むことで長いクランクを使うのと同じような効果を得られるということと脚の抜けが良いということ、どうやらこの辺りにカラクリがありそうですね。

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下死点での脚の抜けの良さをたしかに感じられました

 

かくして連載3回目にして難しいアイテムに出会ってしまったわけです。使用するメリット、犠牲にするものの多さ、そして5,000円という価格。クランク交換や楕円リングより圧倒的に購入しやすく、おまけに家庭内でバレにくいという精神的なメリットも鑑みて、後回しになっていた結論です。

5,000円で2~3%も速くなるのだったら使わない理由はない!

というのも、私のメインレースはMt.富士ヒルクライム。勾配変化が少ないスバルラインでは十分に価値があると思えるからです。富士ヒル本番まであと少し。「練習不足は機材でカバー」です!

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ダンシングでも効果を実感!ヒルクライムレースでの飛び道具になるかもしれません

 


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ゼンスリップ クリートシム

価格:4,980円(税別)

商品HP:https://www.riteway-jp.com/pa/skopre/576900.html

問:ライトウェイプロダクツジャパン Tel03-5950-6002

(写真/小野口健太)

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