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2018年07月31日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 7-2)情報収集が成功の秘訣

野良牛とともに走る

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第7章:目指せ!海外ツーリング

7-2)情報収集が成功の秘訣

 

海外を走ってみたい!と思ったときが海外ツーリングの楽しみの始まりである。出発するまでの準備期間はいろいろと情報を集め、この道を走って見たい、景色が良さそうなルートだ、面白そうな場所がある、ローカルフードが美味そうだ、などと期待が膨らんでいく喜びがある。反面、言葉は、治安は、事故は、輸送は大丈夫だろうかなどなど不安も出てくるものだ。情報は多いほうが良いが、どの情報が信頼できるのか、新鮮なのか、必要なのかを見極めることも求められる。それらをひっくるめて情報収集を楽しもう。

 

<生きた情報収集とは>

海外ツーリングを安全に満喫するには、事前の情報収集がポイントだ。スマホやネットでの検索は手っ取り早い。しかし海外ツーリングの経験者や、現地やその近くに住んでいたことがある人がいれば、ぜひ話を聞いてみよう。生の声は信頼性があり現実感のある情報に触れることができる。実際にどんな場所なのか、日本人がツーリングする際にどんな点に注意すると良いのか、おすすめの場所や宿、レストランなども教えてもらえるかもしれない。現地に住んでいたという人なら、現地の友人を紹介してくれることもある。筆者も海外の友人や知り合いを、自転車旅行者に紹介したことが何度もある。

もちろん、事前の知識はできるだけ多く持っていた方がいざ現地に入ったときに楽しみの深さが変わってくる。短期間にバッと情報収集するのではなく、ある程度の時間をかけてじっくりと情報を入手すると、その楽しみをじっくり味わうことができる。

訪れる国や土地の観光ポイントだけでなく、歴史や文化、民族などを事前に調べておくのもいい。例えば現地の人々の顔や容姿の特徴が、訪れる場所によって何か少しずつ違うなぁと感じることがあるかもしれない。何の予備知識もないままにそれを見ているのと、民族の歴史や文化などの情報を知っているのとでは、感じ方や理解が全然違うだろう。自分が得た知識を実際に目の当たりにし、自分の目で確認することでその民族や土地、文化などの印象がより鮮やかなものになってくる。ツーリングそのものの深みも楽しみも変わってくるだろう。

出発前の情報収集で仮想の疑似体験を重ねることで、実際にツーリングを始めてからの楽しさがより一層引き立てられるのだ。

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その土地の歴史や文化を事前に調べておくとツーリングに深みが増すはずだ(写真/中村 忍)

 

<最初はガイドブックで頭を整理する>

いろんな情報がコンパクトに整理されているのが、旅行のガイドブックである。情報の鮮度や量、個人のクチコミやディープな情報などはネットには敵わないが、基本的な情報を整理して頭に入れ、理解のベースを固める意味で最初にガイドブックを見ることをお勧めする。
まずは図書館や書店で、旅先に関連したガイドブックを何冊か読んでみる。図書館によっては地図を閲覧したり借りたりもできるだろう。眺めているうちにみるみるうちにイメージが膨らんで行き、どんどんと行きたい思いが強まってくる。
もちろんガイドブックは観光目的の情報ならふんだんに入手できるのだが、自転車で走ることを前提とした情報にはなっていない。自転車で走る土地の基本的な情報を、しっかり固めるために活用したい。

自転車での旅行記や実用書などもある。ただし絶対数が少ないので、そこの図書館になければ他の図書館の蔵書を取り寄せてくれるサービスもあり、蔵書の検索もできるので是非活用し、入手して一読しておきたい。

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まずはガイドブックを手にとり、旅のイメージを膨らませてみよう(写真/本人)

 

<ネットから最新情報をゲットする>

ガイドブックで頭の中の基本的な情報が整理できたら、より深いニッチな情報はネットを使って情報収集するのがいい。
最初に見ると良いサイトは、各国政府の観光庁などのオフィシャルなページである。多くの国が観光収入を上げるため、是非とも訪問してもらえるように綺麗な写真を多用し、国を挙げてより良い情報を並べている。お得意様である日本人観光客を呼び込むために日本語で情報提供されている場合も多い。仮に日本語ページがなくても英語のページは必ずある。翻訳サイトを活用すればちょっとおかしな日本語になる場合もあるが、必要な内容は概ね理解でき入手できるだろう。

ただし自転車ツーリングなどの情報が政府のページにあるケースは多くはない。「オランダ 自転車ツーリング」などのキーワードを入れて検索してみれば多くの情報がヒットするだろう。日本語だけでなく英語のページを翻訳すれば、より様々な情報が入手できる。最近の検索エンジンの翻訳機能は格段に向上しており、特に英語の翻訳は精度が上がっているので、十分に理解できるはずだ。

一方、とても多くのサイトがあるので、情報の洪水でおぼれかける人もいるかもしれない。
一気に広範囲の検索をするのでなく、たとえば走行ルートにある国道何号線だとか、個別の地名とサイクリングだとか、泊まるホテルが決まっているならば、そのホテルのサイトに直接アクセスするとか、町や地域ごとのよりローカルなエリアの情報に特化して検索するなどすれば、整理して情報入手しやすくなる。

 

<体験レポートは予習になる>

海外ツーリングの経験者や、目的地を訪問したり住んだことがある人が見つからなくても、ネット上で実際の経験談に触れることはできる。様々な体験レポートや旅行記などがブログなどの形で数多く掲載されているのだ。現地に住んでいたり、旅行をしたことがあるブロガーの記事を読むと、ガイドブックには載っていない情報をたくさん見つけることができる。ユニークなクチコミ情報や、写真が多用されているサイトもありイメージを膨らませやすい。

旅行記や体験談のコミュニティがあったり、現地に住んでいる人や経験者と直接コミュニケーションが可能なサイトなどもあり、ヴィヴィッドな情報が入手できる可能性がある。
海外ツーリングの体験レポートがあれば、それはとても参考になる情報であり、是非ともしっかり検索して探し出し、目を通しておきたい。しかし、自転車ツーリングの体験談は行き先によっては、情報量が少なかったり日本語では見つからなかったりすることもある。そんな場合は英語で検索してみよう。例えば「Norway Bicycle Touring」などで調べると多くの情報がゲットできる。これを翻訳サイトで日本語にすれば使える情報になるのだ。

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写真が多く使われた体験レポートは現地の様子をイメージしやすい。先輩ツーリストの“失敗談”も、大いに参考になる。(写真/橘田 旦) 

 


<紙の地図は必需品>

情報が集まってきたら、地図にて詳細の検討に入る。地図はもちろんグーグルマップなどでも構わないが、電子媒体は現地での電源切れや機材トラブルのリスクもあるため、紙の地図を準備したい。
一般的なツーリングにはミシュラン等の20万分の1道路地図を使う人が多い。 地図さえ読めれば現地ででも周囲数キロから十数キロの範囲で、俯瞰して自分の場所を把握しやすいのだ。プランニング用に20万図など縮尺の小さい地図は入手しておきたいが、10万図、5万図等縮尺の大きい地図では枚数も増え、海外書籍を日本で買うと高くついてしまう。

詳細な地図は現地に到着してから入手するほうが、安いだけでなく無料でもらえるマップもあり選択肢も豊富である。
地名が日本語で書かれているものではなく、現地の人が読める言葉で書いてあるものが望ましい。現地での道路標示はもちろんその国の言葉であり、日本語と照合してもよくわからない場合もある。現地の人に道を尋ねても日本語の地図は役に立たない。

また、地図上で道がある場合でも、それがどんな道なのかは行ってみなければわからない。自転車ツーリングを想定した道路情報などは多くはないが、グーグルアースやストリートビューなどで映像データもフル活用すれば、紙の地図よりも詳細な状況を把握することができる。プランニングではネット地図をしっかり活用したい。
国や地域によってはルートラボでコースプランニングできる場合もある。ガーミンが使えるところも多いので活用したい。

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現地の地名はもちろんその国の⾔葉で書かれている。⽇本語の地図を⾒ても良く分からない可能性があるので、現地で地図を⼿に⼊れたい(写真/本 ⼈)

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グーグルアースやストリートビューを駆使して、自転車で走れるかどうか、実際の道路状況を確認しながらコースをプランニングしたい(写真/木下滋雄)

 

<国々で異なる交通ルールを遵守しないと危険>

海外では交通ルールやマナーは日本とは異なる場合がほとんどだ。海外でツーリングする際、事前に良く調べて頭に入れておかないと、事故や交通違反などのトラブルになるリスクもあるので要注意だ。
まずは、右側通行。日本のような左側通行は旧大英帝国やイギリスの支配化や影響下にあった国々くらいで、世界の大部分は右側通行となっている。初めて右側通行の道路を自転車で走ると違和感を覚えるだろう。右折や左折の際には慣れるのに時間がかかり、後ろを振り返る時は左側を向くのだが、ついつい右側を向いてしまったりもする。

歩道走行はほとんどの国で交通違反になる。世界の常識は自転車は車道を走るのである。日本は極めて例外的で、1970年代のママチャリと事故の急増により、自転車の歩道通行を緊急避難的に認めたという特殊事情の国なのだ。もちろん日本でも道路交通法では自転車は車道走行と定められており、歩道走行は原則禁止である。
国によっては自転車の数が少なく、車や歩行者が優先されて自転車の安全な車道走行インフラが乏しい場合も多い。そんな状況でも歩道を走れば警察に捕まってしまう国もあるのだ。
同様に一方通行の逆走も自転車は絶対禁止で違反になる国がほとんどだ。自転車は車両でありオートバイやクルマと同様の交通ルールが適用される国が多いのである。

国や地域によって異なる交通事情とともに、人々の自転車に対する認識も異なることを意識しておく必要がある。例えばラウンドアバウト(ロータリー式交差点)は日本ではほとんど無いが、ヨーロッパなどには多いので、その走り方は事前に学んでおきたい。なお、交通標識などは世界共通のものが多く、日本のものとあまり大きくは変わらないので、常識的に判断できる。

海外ツーリングの経験者や、その国に住んだり何度も訪問している人がいれば、できるだけを事前に話しを聞いて情報入手をしっかりしておきたい。訪れる国ごとに異なる自転車走行のルールをきちんと調べ、安全をしっかり準備しよう。

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国ごとに異なる自転車走行のルールはしっかりと下調べをしておきたい(写真/辻 京子 )

 

<現地到着後の情報入手>

情報入手は現地に到着してからでもできる。むしろ現地のほうが最新の情報が豊富にあり、臆せずに積極的に動けば良い情報にありつける。
空港は旅の起点であり、大概そこにはツーリスト・オフィス(ツーリスト・インフォメイション)がある。もし空港になくても街中にはあるだろう。これは旅行者に情報を提供するための施設で、地図には大抵 iマークで記されている。ツーリングの最初にツーリスト・オフィスに行くことをお勧めする。街の地図は大抵無料でもらえるし、宿の案内や予約をしてくれるところが多い。一般的な観光情報はもちろん、様々な現地情報が入手できる。自転車ツーリングのための情報を提供してくれることもある。スタッフの方は旅行者のニーズを認識しており、情報提供のプロであり協力者なのである。最大限活用したい。

 

<最高の情報源は?>

ツーリスト・オフィスでの情報入手はある意味最高の情報源であるが、どこにでもあるわけではない。田舎や山の中、新興国などにはあまり見かけないこともある。
また、英語が通じにくい国の場合、地元の人に質問するとコミュニケーションに時間を費やしたり、十分な情報がゲットできないこともある。

ツーリング中は旅行者を狙って声を掛けると、必要な情報が手に入りやすい。海外旅行者なら英語を話す人が多いし、彼らも情報を欲しがっているので互いに情報交換すると、多くのことを知ることができる。それが自転車ツーリストならばなおさらである。
ツーリング途中で同じ自転車ツーリストに出会ったらとにかく声をかけてみよう。出会ったばかりでも仲間意識が生まれ、言葉が上手く通じなくてもココロは必ず通じ合えるのだ。
似たようなコースを旅することも多く、道中何度も再会することもある。意気投合して一緒に走ることもあるだろうし、場合によってはその後も交流が続くケースだってある。
サイクリストは皆友達なのだ!

海外ツーリングはどこかに行こうと思った瞬間から始まっている。楽しみを最大限にし、リスクを最小限にするための情報収集はワクワクする喜びである。だからこそじっくりと準備時間をとってプランニングする価値がある。そうすればするほどに、たっぷりと海外ツーリングを楽しむことができるのである。

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自転車ツーリストの集まるカフェなどで情報を収集するのも手だ(写真/辻 京子 )

 

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は8月14日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(トップ写真/木下滋雄)


第7章:目指せ!海外ツーリング

1)海外ツーリングは、お気軽な時代

2)情報収集が成功の秘訣

3)プランニングの基本と目的地別計画の立て方

4)移動はどうするか?飛行機輪行対策

5)宿泊は、食事は、水は、スマホはどうする

6)自分で自分の身を守る、危機管理が重要

7)ツーリング先進国、欧州を楽しむ

8)快適な自転車ライフを謳歌しよう

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