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2018年07月24日

【菊地武洋のバイク コネクティングを考える】イノベーションは辺境からはじまる GARMIN 後編

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先日、アップされた『リアの12速化に興味ありますか?』というWEEKLY FUNRiDEアンケートの答えは、半数以上の人が『興味がない』という結果だった。民意というには数が少なすぎるし、あと5年もすれば半数近くの人のフリーホイールは12速になっているだろうが、それでも『興味がない』というのは、大きな意味を持っていると思う。

駆動系のグループセットの性能は、グレードの序列を裏切らない。シマノ・105がアルテグラよりも優れていたり、105がソラに負けることはない。そして、スペインのローターが13速の駆動系を発表した今、11速オーナーなら12速が気になりそうなもんだが、ショップに聞いても12速の反響も穏やかだという。多段化については機会を改めるが、明らかにターニングポイントを迎えている。
そして、現状に満足している人に試してほしいのが、ガーミンの“ヴェクター”と“ヴァリア”シリーズである。


 

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Varia・リアビューレーダー
想像以上の快適性を生み出すリアレーダーは、後方140m以内の後続車の動きを検知する。LED点滅パターンの変化で、ライダー・ドライバー双方に注意喚起する。日中でも1.6㎞離れた場所から視認できる。36,800円(税抜、在庫限り)

RTL510
現在はよりスペックに磨きがかかった縦型のVaria・RTL510になっている。23,800円(税抜)


 

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Varia・UT800
もっともIoTらしさを感じるスマートヘッドライトは、サイクルコンピュータの“EDGE”と連動して走行速度に応じて輝度が変わる。5つの光モードがあり、もっとも明るいハイが800ルーメン、ミディアムが400ルーメン、ローが200ルーメン、点滅メードのナイトフラッシュ、デイフラッシュがある。19,800円(税抜)


 

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Varia Vision・J
説明すると「ドラゴンボールのスカウターみたい」と言われるのが“ヴァリア・ヴィジョン”だ。最大で同時に4つのデータフィールドと、色分けされたグラフィック表示を行うことができる。短時間の使用では重量が気になるが、意外にも使い慣れると気にならない。49,800円(税抜)


 

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Vector・3
ペダル一体型のパワーメーター。自転車を複数台持っている人にとっては付け替えができるのは魅力。合計パワー、左 / 右バランス、ケイデンス、サイクリングダイナミクスが測定可能。128,000円(税抜)


 

ヴァリア&ヴェクターのすべてを投入すると、予算は22万1400円(税抜)。おおよそ機械式のデュラエースと同じぐらい。パワーメーターが不要でも、10万円程度はかかる。出資先をホイールに替えたとしても、そこそこのグレードアップが楽しめる予算だ。しかし、ベテランのライダーや中級以上のバイクに乗っているほど、ヴァリアとヴェクターへの投資効果が大きくなる。なぜなら、グループセットはグレードが異なっても機能性に差はない。Di2と機械式は機能面において違いもあるし、相応以上の価値がある。しかし、ヴァリア&ヴェクターは置き換えや重ね塗りとは違い、機能を追加し上積みさせる。

リアビューレーダーは、その名の通り後方レーダーなのだが、使うまではそれほど価値があると思わなかった。後ろから迫ってくるクルマは音で予測が付くし、必要に応じて目視もする。すなわち、レーダーなんかなくたって確認はしている。でも、後ろから迫ってくるトラックの背後にいた後続車に驚いたことは、誰でも経験があるだろう。リアビューレーダーがあると140m以内の後続車の動きがサイクルコンピュータの縁に表示される。
急接近してくる車輌に対してはアラート音とモーショングラフによって注意を喚起してくれる。それだけでストレスが大きく解消されるのだが、「こんなことにストレスを感じていたのか」と驚くほどだ。

ライトは夜にだけ使う、モノではない。日中でも点けた方が安全なのは、クルマの例を持ち出すまでもなく、多くの説明を必要としないだろう。“UT800”が秀逸のは速度に応じて必要な輝度を変えたり、トンネルに進入すると点滅モードから点灯モードになるなど、スマートライトというに相応しい性能を発揮する。クルマのオートライトのことを思い出してほしい。
最初は不要に思うだろうが、使い慣れてしまうと手放せなくなる機能だ。

【新機能が未来を拓く】

ヴェクター3はペダル一体型のパワーメーターである。真剣にトレーニングに取り組む人にとってパワーメーターは必需品だと思われているが、強くなるか否かはトレーニング次第。多くの人にとっては贅沢品だ。単に走るだけなら、ペダルを踏む力を計測する必要はないが、あればトレーニングの無駄を排除し、エッジのサイクリングダイナミクス機能と連動させ、ペダリングスキルの向上も可能になる。自分が自転車に与えている力を数値化し、効率を上げるという関係性は、従来のパーツにはなかったものだ。
速く走る、強くなることに憧れている人は多いが、科学的トレーニングが実行できる環境や意志が揃っている人はごくひと握りだ。なので、僕はパワーメーターに一切興味がなかったし、プロのデータと自分を見比べても惨めになるだけだと思っていた。しかし、サイクリングダイナミクスはローラー台に乗るモチベーションを高めてくれたし、それによって自分のコンディションもエッジ1030が測定してくれた。
自転車は外を走るのが基本だと思っているので、オンラインサイクリングやローラー台は好きじゃない。しかし、それは面白くないからであって、カラダを動かす面白さをハードウエアが作り出せるなら、それこそ真夏などは外よりも室内の方が安全だし、秋に向けてのトレーニングとしても有効だろう。

ヴァリア・ヴィジョンは『現在、買える未来』だ。アイウエアのテンプルに取り付けて、視界の片隅に走行情報を表示させるデバイスだ。クルマのヘッドアップディスプレイと同様に、サイクルコンピュータを直接見ることなく、視線の動きを最少に抑えることができる。
重量は28g。装着しているのを感じないほどだ……とは言えないが、アイウエアの位置を直すときに「重いからズレるんだな」と思う程度で、使うほどに慣れてしまう。正直に言えば、最初のうちは重く感じた。取材した時はレンズの下側にセットしていたが、最終的にはレンズの上側でセットするのが最良であった。
データフィールドは4つ。エッジ1030と比べると少ないが、走っているときに本当に必要な情報は、そんなに多くない。4つもあれば十分だ。矢印と距離で示されるナビゲーションは、多くの場合、地図で確認するよりも明確で使いやすかった。情報を少しでも多くと考える人も少なくないが、必要な情報が見やすく提供される方が快適性は高い。
加えて必要に応じてバイブレーションで知らせるなど、実によくできている。発展性で考えても、ヴァリア・ヴィジョンがもっとも伸びしろがある。悪い言い方をすれば、理想に対して達成率の低い商品だともいえる。視認性や重量は改善の余地があるし、音声認識で操作できるようになれば、もっといい。バッテリー寿命も、改善希望点だ。こうして書き出してみると不満が多いように感じるが、もっともラグジュアリーなデバイスであり、拡張現実のような視界は少々の不満があっても欲しいと思わせる魅力に満ちている。

【ネットワーク時代の新コンポ】

ヴァリアシリーズの魅力は、想像以上のものだ。しかも、デバイスが1つよりも2つ、2つよりも3つになったときの相乗効果は1+1=2ではなく、答えは3にでも4にでもなる。ロードバイクの車格を上げたいならグループセットのグレードアップがいいだろう。しかし、走る楽しみや面白さをグレードアップしたいなら、ヴェリアやヴェクターを導入すべきだ。ただ、そのベースにエッジシリーズが必要であり、それなりの予算が必要なのも事実だ。
また、オンラインでデータを管理するガーミンコネクトについても触れなければならないだろうが、これについてはライバルメーカーのシステムも検証してから評価をしたい。

関連URL:http://www.garmin.co.jp/
写真:小野口健太

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