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2017年01月16日

【eBIKEの実力/その2 海外規格のebikeたち】スペシャライズド・ターボレボFSR6Fattie&カレラ・eフィブラ

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国内ではクローズドされた空間でしか乗れない規格基準外のebike

ヨーロッパやアメリカでeBikeが注目を集めている。そう言われても我々スポーツサイクリストにはピンとこない。モーターの力で駆動補助してくれる電動アシスト自転車なら高級ママチャリが家にもあるし、なにを今さら欧米人は騒いでいるのだ? を首をかしげたくなる人も少なくはない。確かに最新のeBikeはスタイリングはいいが、スポーツ的見地からすると、受け入れられない! という人も多いだろう。しかし、家の軒先にある電動アシスト自転車とeBikeは根本的に違う。なにが違うかというと法令が異なるので、パワーも作動領域も違う。簡単にいえば、自家用車でとスポーツカーほどの差があるということ。そこで公道ではない千葉競輪場で2台のeBikeを持ち込んで試してみた。

ユーロバイクアワード金賞を獲得したeマウンテンバイク

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本国では約4000ドルから女性用を含めて、さまざまなラインナップが揃う。

 

スペシャライズド・ターボレボ FSR6Fattieはスタンプジャンパーをベースに電動パワーユニットを搭載したモデルだ。現在、ヨーロッパで流行っている典型的なeBikeのスタイルで、マシンという言葉がピッタリな厳つく力強い。
BB部にはフレームとデザイン的に一体化したパワーユニットがあり、バッテリーはダウンチューブに内装されている。重量は公表されていないが22㎏程度、ベース車と比べておおよそ10㎏ほど重い。それが筋肉なのか脂肪かと決めるのは、ハードウエアの完成度も重要だが、ライダーのスキルや感じ方が決めるのだろう。競輪場ではオフロードでの実力を計り知れないが、海外で乗った経験からいうと、僕のようなオフロードに縁のない人にとってMTBタイプのeBikeは、サイクリングのフィールドを切り拓いてくれる乗り物だ。モーターはパワーの足らない部分を補うので、加速したいときにスッとバイクが出る。上りではパワーアップしている感じだが、体感的にはスキルも補ってくれるというか、ちょっとMTBに乗るのが上手になったようだ。

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自力で走るのをプライドにしているサイクリストは、機械に“手伝ってもらう”感が強いと後ろめたい。しかし、eBikeの魅力は上手になったと感じさせてくれる。ターボレボを試せたのは芝生の上だったので、軽快感のほうが強かったが、いずれにしろメリットこそあれどデメリットはない。一日、ずっとトレイルを走るとかジャンプして……となれば話も別だろうが、山に走りに行こうと思うだけでも価値がある。また、ターボレボはダウンチューブにパワーボタンがあるだけで、いかにもアシストバイクに乗っているという感じが見た目にわからないのもいい。モーターのパワーは250w。YPJシリーズと同等だが、体感パワーはスペシャライズドのほうが圧倒的に力強い。それは道交法で速度とアシスト比率が定められているためで、これこそがeBikeと電動アシスト自転車の境界線だ。日本ではモーターの役割はあくまでも補助であり、出力がライダーを上回ることはない。一方、eBikeでは対等か、時にはモーターが主になることもある。ただ、モーターだけで走ることはできない。それが原動機付き自転車との差である。

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ダウンチューブはバッテリーとチューブが一体に見えるデザインとなっており、トルクスレンチで脱着する。パワーユニットはオリジナル仕様。
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BB裏にあるスペックによると出力は250w、リミッターが時速25kmで作動する。
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反ギア側のダウンチューブにあるパワースイッチ。緑色のLEDランプがバッテリー残量を表示する。
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2015年にユーロバイクショーのユーロバイクアワードで、Eバイク&ペデレック部門の金賞を獲得している

 

スマートでスタイリッシュなeロードバイクのプロトタイプ

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一見すると普通のカレラ・フィブラにしか見えないのがeフィブラ最大の特徴。プロトタイプのため発売予定や価格はない。

 

そして、もう1台。
カレラを代表するロードバイク“フィブラ”をベースに、ユーロバイクショー用に作られたのが“eフィブラ”だ。メカニカルドーピングで一躍有名になった、ドイツのVIVAXアシスト社のパワーユニットがシートチューブに内蔵されている。バッテリーはシートチューブにあるボトル内にセルがあり、ボトルケージにある接点から電気が供給される。外観上の特徴がないので、停まっているeフィブラをeBikeと見抜くのは極めて困難だ。持てば一発で分かるが、ノーマルと違うのはBB部にあるスチールプレートぐらいなもの。これなら悪用したくなるのも理解できるが、悪いのは機械ではなく人のほうだ。話を元に戻すと、このシステムの驚くべきはスマートさである。不本意な形で有名になってしまったが、Vivaxのシステム自体は以前からあり、もともとはMTB用に作られた製品だ。スマートさという観点からいえば、究極のeBikeと言ってもいい。

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スマートな見た目と裏腹に、eフィブラはアシストをはじめると“ぎゅぃぃぃぃぃぃーん”と派手なメカニカルな音をさせる。このユニットは旧型らしく、最新モデルは音も静かになっているそうだ。それにしても、フィブラがけたたましい音をさせて爆走する姿は違和感の塊である。アシストの強さはブレーキフードの下、ブラケットにあるボタンを押す。右レバー側を押せば増量、左側は減量というパターンだ。もちろん、右側のボタンを最後まで押してみる。すると、フィブラはグングン加速する。音は盛大、ギャラリーの視線も痛い。サイクルコンピュータの類いがついていないので体感だが、おそらくSペデレック仕様で時速45㎞までアシストするユニットのようだ。補助動力が動き出すと固定ギアバイクのように強制的にペダルが回る。変速機でギアポジションを動かせばいいので、回転数は調整できるが、トラックバイクで電動ローラーに乗らされたような感じである。ちなみにアシストの解除はブレーキレバーを握ると、モノの見事にスパッと切れるので、安全面に不安はない。

これもフィールドがフィールドなので、実際のサイクリングとは感じ方も違うだろう。しかし、敢えていうならば、初心者に乗せてみたい。安全面が課題になるが、eフィブラはロードバイクの醍醐味であるスピード感を手っ取り早く知るのに最適だ。公道で走らせるには、やはり速度をもっと低く制限すべきだが、アシスト比率に関しては現行の道交法に手を加える余地がありそうだ。今後、高齢化社会を迎えると自力で峠を上りに行くのが困難な現役サイクリストも増えるし、スポーツという側面からも、適正なアシスト量について提言をしていく必要もでてきそうだ。

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ボトルの底にはケージ側の端子を挿入する穴が設けられている。ボトル下側のビニールテープはノーマルボトルを切って貼り合わせている証拠。
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ボトルの中に入っているバッテリーセル。ラジコン飛行機用のバッテリーを共通だ。
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ブラケットにあるコントロールスイッチ。フードの上から操作するため明確な操作感にかける。かつてカンチェラーラがメカニカルドーピングを疑われたのも、このブラケット部分を触ってから加速したから。
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ブラケットからの信号を伝えるコードはリアブレーキケーブルに巻き込まれるようにしてトップチューブに内蔵される。
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パッと見は分からないが、よく見るとBBシェルはノーマルよりも大型でスチール製のプレートでBB部が覆われている。

(写真/編集部)

取材協力/千葉競輪場
試乗車提供/スペシャライズド・ターボレボ FSR6Fattie/スペシャライズドジャパン 

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