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2016年12月03日

【CERVELO】P5X & P5 インプレッション

2012年のP5のリリースからおよそ4年、ロングディスタンストライアスロンをターゲットとした、トライアスロンバイク、P5Xが発表された。そのフォルムは2000年に施行されたUCIレギュレーション前のタイムトライアルバイクを彷彿させる自由度の高いデザインとなり、見る人すべての好奇心を刺激し、引き込む魅力溢れるものとなった。

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P5X

まさしく空力を重視した設計のフレームワークはダイヤモンドフレーム形状を捨て、シートチューブとバックステーを排した、かつてトレックやレモンなどでみられたV型フレームとなる。さらにカムテールチューブを組み合わせたチューブ形状はダイナミックでボリュームがある。カウル部分はストレージボックスを兼ね、BENTO BOXはヘッド周りの空力特性を最適化する形状だ。またディスクブレーキを搭載しているのも新しい。横風の影響は受けやすくなるが、コントロール性の高さや、天候に左右させないデュラビリティは過酷な環境のロングトライアスロンではメリットとなるはず。

そのスペックは公式ホームページで確認してほしい。ここではまず、インプレッションをお届けしたい。今回は姉妹モデルのサーヴェロ・P5を所有する筆者が、おこがましくも最先端トライアスロンバイクのレビューを行う。新世代トライアスロンバイクはいったいどんな仕上がりなのだろうか?

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P5THREE

またグラフィックを新たにした2017年モデルP5のテストライドも敢行。2012年のジロディタリアでの総合優勝に貢献したフォーミュラー1レベルのエアロダイナミクス特性は健在で、まだまだ第一級のスペックをもつバイクだ。またP5シリーズは、フロント部分にカウルを用いたトライアスロン専用モデルのP5SIXと、ロードタイムトライアルでも使用可能なUCI規則遵守のP5THREE(フレームセット)の2タイプが継続される。今回はP5THREEのテストライドを実施した。4年前に登場したバイクとは思えない形状設計。多くのライバルが追随し、一時代を築き上げさらなる高みを目指すモデルといえる。


IMPRESSION P5X

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その圧倒的なスタイルはまさにMotoGPマシンだ。豪快なフォルム、カーボンファイバーのボディは触っても非常に硬質だ。特殊フィルムのような外殻は日光にさらされるとカーボンの積層がうっすらと浮き上がる。そしてディスクブレーキやスラム・E-tapなど”全部盛り”のスペックは実にサイバーチックだ。

空力特性を重視した形状、かつ走りのクオリティも考慮した剛性分布。シートチューブとバックステーを排したことで、形状的にトップチューブは上下にスイングするだろう。テストコースのお世辞にも良い路面ではない状況が、このP5Xの真価をすぐに発揮してくれることになった。

アスファルトの路面にはひび割れがやや目立つところがあり、トラックの行き来による轍のようなうねりもある。そんな路面でも振動を感じにくくリラックスしてライドできる。DHポジションではフロント荷重もキツくなる。それを考慮したハンドリング設計で、直進安定性が非常に優れている印象だ。ハイスピードを考慮した安定性ながらも、コーナリングで切れ込むようなこともなく、サーヴェロのもつノウハウを強く感じる部分でもある。

シートチューブを排したことで、剛性面ではソフトになるだろうと予想していたが、BB周りの剛性は十分すぎるレベルだろう。豪快なボリュームのチェーンステーとカウル自体もストレスメンバーに入っているダウンチューブ(もはや、ダウンチューブ相当の部位というべきだろうか)があまりある横剛性を実現している。想像で描くバイクフレームのチューブ径ではおおよそ実現は不可能だろう。長時間のライドを想定した快適性だけでなく、アップダウンをこなせるようなフレーム剛性にも妥協が無い。

KONAアイアンマンでは長い上りもある。トライアスロンバイクというと平坦でのアベレージスピードや横風にフォーカスしていると思いきや、上り性能も高いのがこのバイクの驚くべきパフォーマンスだ。お世辞にも重量的に軽いとはいえないながらも、ダンシングでもパワーロスを感じない軽やかな走りを楽しめる。ギアをかけてもロードのようにシャカシャカとした高ケイデンス走行をも許容する。

そして空力最大のロスは自分自身の身体だろう……と感じさせるような空気の抜けのよさを感じる。フレーム剛性の加速以外の要素で、一定のスピード以上で推し出されるような感覚がある。かつて3000mの高地を走行したときに感じた吸い込まれるような加速感に近いと言っておこう。今回は簡易的なポジショニングだったが、それでも巡航しているときのスピードの維持しやすさが機材からもたらされているという印象は紛れもなく強い。

剛性感はロードバイクに匹敵するような高いレベルにある。その上で上質な振動吸収性をもち、さらに空力に優れるという無欠の存在。ディスクブレーキやストレージボックスの多用など、重量面ではP5に譲るが、それ以外の面ではすべてが凌駕しているといえるだろう。ロードタイムトライアルしか行なわない、筆者にとって、このバイクに乗ったのは幸か不幸か、知らないほうが幸せだったかもしれない。うっかり!? このバイクに乗りたいがあまり、過酷な3種競技に打ち込むなんてことになるかもしれない。

価格:1,900,000円(スラム・E-tap完成車)、1,400,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車)※P5Xは完成車販売のみとなります。P5X専用バイクケースは別売。

http://www.eastwood.co.jp/lineup/cervelo/p5x.html


P5 THREE

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ロードタイムトライアル競技でも使えるサーヴェロの最高峰モデルP5THREE。2012年にリリースされたモデルだが、その完成度高さは4年経過した現在でも色あせることが無い。しかしながらP5Xを前にすると、華奢に見えるのはP5Xの次元が違うというところだが、従来のタイムトライアルバイクを比較すれば、見るからに優秀で理路整然としたフォルムだ。形状こそ大胆だが、比較的シンプルな設計であるのがP5の良さでもあるだろう(さらにシンプルかつ高性能なのがP3だ)。ケーブルを内蔵することに執着し複雑な機材構成となり、実際に使う場面になってアスリートの負担になっては元も子もない。

リアブレーキがBBの下に配置され、空力特性に妥協がないのがP5のいいところで、長距離あるいはハイスピードになればなるほどそのアドバンテージは大きくなる。ロードのタイムトライアルでは高速レースになることが多い。またチームタイムトライアルはアマチュアの我々でも50km/h近い速度で巡航するので、フレームの特性は馬鹿にできなくなるはずだ。

筆者が所有するP5は油圧キャリパーブレーキを用いており、リアブレーキの複雑な内蔵ケーブルルーティングでも一定の軽い引きを実現している。このバイクにはデュラエースR9100(フロントのみ。リアは付属のTRP製ダイレクトマウントブレーキ)を用いており、ブレーキワイヤーを用いた設定だったが、実に軽いタッチでスピードコントロールができた。油圧と比較しても大きく差は感じず、最先端コンポーネントを含めストレスフリーな性能も実感できた。リリースから4年が経過してフレーム内部にブラッシュアップがされているのだろうと十分に予想できるが、それでこそ正常進化といえる。

ロードタイムトライアルモデルとしてはとどめを刺すだろう。リーディングエッジであるがゆえのプレッシャーを4年もの間請け続けながらも、ラインナップのトップに君臨していたという事実が、パフォーマンスの高さを物語っているといえる。しかし、このタイミングでP5を購入するということはグラフィックやフォルムにひとめぼれしたか、ライディングのマッチングがこれ以上無いか、だろう。だがP5 THREEはそれで良いだろうし、実際に乗れば投資するメリットを実感することができるはずだ。

価格:670,000円(フレームセット、ハンドル・エアロバー)※P5-ThreeはUCI準拠モデルです。フレームセット販売のみとなります。
※シートポストのヤグラ形状により、一部のサドル(カーボンレール使用モデル等)は取付できない場合があります。

http://www.eastwood.co.jp/lineup/cervelo/p5-three.html


問:東商会 http://www.eastwood.co.jp/lineup/cervelo/

写真:和田やずか


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