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2019年07月18日

サイクリストがUber Eatsをやってみた

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最近、東京都心でよく見かける料理のデリバリーサービス「Uber Eats」。黒いリュックが目印で、自転車や原付バイクがあれば配達パートナーとなって好きな時間に働けるということで注目を集めている。そこで、サイクリスト目線でライター光石が実際に働いてみた。


 

Uber Eatsとは?

まずはUber Eats(ウーバーイーツ)とはどんなサービスか簡単に説明しておこう。もともとは、海外でタクシーの代わりに一般ドライバーが自家用車を使って乗客を運ぶ配車サービスとして始まったもので、アプリ上で配車予約、決済できる手軽さで世界中で広まっている(調べてみたら日本でもサービスを展開しているようだが、まだあまり普及していないようだ)。

Uber Eatsは、そのシステムを利用した料理のデリバリーサービスで、2016年9月に国内でスタートした。飲食店にとっては自ら配達人材を雇ったり、車両を用意する必要がなく、また出前による売り上げアップも見込める。利用客にとっては、今までデリバリーをやっていなかったお店の料理をアプリ経由で簡単に注文できる。配達パートナーにとっては、シフトなどを気にせず好きな時間に仕事ができる。という感じで、各方面にメリットがあるシステムとして注目を集め、テレビやネットニュースでも紹介されて話題を集めている。いわゆる空いた時間や道具を有効に使う「シェアリングエコノミー」という考え方のビジネスモデルである。

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自転車を使う仕事は、サイクリストにとっても魅力だが…!?

 

当初、サービスエリアは都心の渋谷区、港区など一部地域のみだったが現在は23区全域にまで拡大し、また昨年には横浜市、今年5月には大阪市でもサービスを開始した。飲食店は、誰もが知るファーストフードなどのチェーン店からオシャレなカフェ、外国人が経営するカレー屋さんなど、さまざま。正確な数字は公表されていないが都内だけで1000店舗を超えているという(注1)。また、配達パートナーの数も以前見たネットニュースではすでに5000人以上が登録しているそうだ。
注1:2018年6月現在

 

【a】Uber Eats 配達パートナー募集

 

どうやってUber Eatsの配達をするのか?

さて、なぜUber Eatsで配達をしてみようと思ったのかというと、フリーライターといっても自分の場合はそこそこ時間を持て余す日がある。そこで、時間の有効活用と家計の足しにしたいというのが一番の理由。また自転車を使った新しいビジネスに、サイクリストのはしくれとして興味があったのもひとつだ。

配達パートナーになるには、まずはネットで登録。免許証などを写真で撮って送ると4~5日で審査結果が来るので、その後、自分の好きな時間に都内にあるUber Eatsのオフィスへ。そこで、スタッフから1対1でアプリの使い方など仕事の説明を受け、配達バッグと呼ばれる黒いリュックを受け取る。

この配達バッグは二重構造になっていてかなりの大きさがあるが、見た目よりも軽くて背負いやすい。夜間の視認性を高めるための反射材もついている。チェストストラップもついているので、固定力も増して重量も肩と胸に分散できる。ただし、背負った状態で後ろを振り返った時は多少視界が制限される。空気抵抗も大きいだろうが、それほどスピードを出すこともないので、あまり影響は感じない。

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右の大きいほうが背負うためのバッグで、大きさは高さ46cm、幅43cm、奥行き33cm。左が内側の料理を入れるバッグ、高さ32cm、幅35cm、奥行き24㎝

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内側は料理が冷めないような保温構造。小さなバッグはベルクロで固定する仕切りが一枚あるだけ

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一度、ドリンクが少しこぼれたことがあるので、その後は隙間にウィンドブレーカーや通販の段ボールに入っていた梱包材(エアパッキン)などをつめて固定するようにしている。こういった工夫は各配達パートナーがそれぞれ考えているようだ

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中身が空のときは折り畳みも可能。この状態でも大きいバッグに小さいバッグを収納できる

 

自分は肩こりがひどいのだが、バッグも中に入れる料理もさほど重くはないので、よほど長時間背負い続けない限り大きな問題はない。バイクや自転車の荷台にバッグを固定している配達パートナーも見かけるので、リアキャリアを取り付けるのもアイデアのひとつだが、今のところはそこまでしなくてもいいかなと思っている。

この配達バッグは8,000円のデポジットがかかり、4週間に分けて2,000円ずつ自分のインセンティブから差し引かれる。配達パートナーをやめるときは全額返却される。ちなみにバッグは、デザインや細部の形状が違うものでいくつか種類があるようだ。

配達はスマホアプリで行う。アプリをオンラインすると注文を受けられるようになり、近くの飲食店で注文が入り、Uberのシステムが自分を配達パートナーに指名するとスマホから通知音が鳴る。その仕事を受けると、飲食店までのルートがアプリ上に表示されるので、それに従ってお店に向かう。お店で品物を受け取り、アプリを操作すると今度は配達先までのルートが表示される(受け取るまでは、配達先がどこかはわからない)ので、同様に配達する。なお、自分たち配達パートナーの現在位置は利用客のアプリにも表示されているので、遠回りしたり、休んだりしていると相手にもわかるということだ。

 

 

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注文を受けると、アプリに現在地からお店までのルートが表示される。ただし、利用客によっては詳しい住所やマンション名、部屋番号などがアプリに表示されない(利用客が入力していない)こともままあるので、そういうときはアプリ経由で電話して確認しなければいけない。これはちょっと面倒だなと感じることだ

 

どんな自転車や機材を使うの?

さて次は、サイクリスト的に気になる使っている自転車や機材について。

まず必要だなと思ったのは、ハンドルなどにスマホを固定するホルダーだ。アプリを操作したり、マップを見る機会が多いので、バッグからいちいち取り出していては大変。自転車を離れて持ち歩くことも多いので、取り外しが簡単にできるほうがいい。自分はたまたま使ってなかったミノウラのホルダーが手元にあったので、それを使っている。

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ハンドル周りにつけているのはライト、サイコン、スマホホルダー、ベル代わりの鈴。サイコンが2つついてるのは特に意味はないです……。トップチューブバッグにはモバイルバッテリーを入れて、充電している

 

なんといっても、スマホの電池が切れると仕事にならない。実際にバッテリーの残量がなくなって、その日の配達を終えることが何度かあったので、トップチューブバッグにモバイルバッテリーを入れてそこから充電するようにしている。以前はUberからスマホホルダーとバッテリーの貸し出しをしていたようだが、配達パートナーの数が増えたせいか、最近はやっていない。

自転車は何を使ってもいいが、筆者はマウンテンバイクを使っている。もう1台、ロードバイクも所有しているが、盗難や傷がついたりするリスクを考えてのチョイスだ。スピード的には劣るかもしれないが、ちょっとした段差もこなせるし、取り回しもいい。あとロードバイクのように前傾姿勢がきついと料理が傾いてこぼれたりするかもしれないという心配もある。

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マウンテンバイクは、10年ほど前に買ったKONAのアルミフレームのエントリーモデル。セール品で6万円ぐらいとお値打ちだったが、シマノディオーレの3×9速のギア、油圧ディスクブレーキなどパーツは充実している

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ホイールは小回りの利く26インチ、タイヤは舗装路でも走りやすいブロックパターンのものを使っている。フロントサスペンションは、ほぼつねに固定。別にUber用にこのセッティングにしているわけではなく、以前からほとんど街乗りにしか使っていないから

スタンドはつけていないので、とめるときは壁などに立てかけている。立てかける機会は多いので、フレームの傷に神経質な人はお気に入りの自転車を使わない方がいいだろう。

もちろん、カギも携行している。自分の場合、短時間で目が届く範囲にとめるときは、カギをかけないこともあるが、大きなマンションなどに配達するときは施錠するにこしたことはない。

服装はUberのルール上は、常識の範囲で身だしなみに気を付けていれば自由。僕の場合、ヘルメットはもちろんかぶっている。ウエアは上半身はサイクルジャージ、下半身は7分丈のパンツと動きやすさを重視している。バックポケットがついているサイクルジャージはカギや小銭入れなど、頻繁に取り出すものを入れておくのに都合がいい。

 

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配達するときの格好は、ジャージに七分丈パンツ。ヘルメットも忘れずに

シューズとペダルはマウンテンバイク用のSPDを使用している。歩く機会も多いし、SPD-SLなどのロードバイク用クリートだと、お店やマンションの中を歩くときにカツカツ音がしたり、傷つけそうになるので気を遣うかもしれない。もちろん、フラットペダルにスニーカーでもいいだろう。

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ペダルとシューズは、SPDが使い勝手がいい感じ

 

交通ルールやマナーを考える

他の配達パートナーが使っている自転車はママチャリだったり、クロスバイクもどきだったり、さまざま。ロードバイクなどのスポーツバイクは少数派のようだ。都内で増えてきたコミュニティサイクル(レンタサイクル)を使っている人もたまに見かける。もちろん、原付バイクを使っている人も少なくない。さらに、Uberでは自転車や原付のレンタルもやっているそうだ。

ネット上のコメントなどでは配達パートナーのマナーや交通ルール違反を指摘するものをたまに見かけるが、極端にひどい人はそれほどいないと感じている。ただし、交通量の少ないところでの信号無視などを見ると、やはりスポーツバイクに乗っているサイクリストと比べると意識は低いかも。早く配達できれば配達の件数も増えるし、お客の印象もいいから、ついつい急いでしまうのだろう。ヘルメットを被っている人もめったに見ないし、メッセンジャーなどの仕事と比べると自転車に興味がある人は少ないようだ。それよりも空いた時間を使って、仕事をしたいという考えの人が多いのだろう。もちろん、自分は信号無視や走行中のスマホ操作などは絶対しない。飲食店の立地の都合上、歩道上を走ることもあるが、歩行者のいるときはスピードに気を付けているし、押して歩くこともある。マナーとルール順守は心がけているつもりだ。

 

結局のところどれくらい稼げるの? どれくらい走るの?

で、気になるのはどれくらい稼げるのか、ということ。
配達のインセンティブは、基本料金+飲食店から利用客のところまで配達する距離で変動する。配達距離はだいたい1~3kmの範囲内で、1回のインセンティブは400~600円ほど。ちなみに利用客が払う配送料は距離問わず一律380円とのことなので、差額は飲食店かどこかが負担しているのだろう。なお、自分の現在地から飲食店まで走った距離はインセンティブにカウントされないので、お店が密集しているエリアで働く方が効率がいいことになる。

またお昼(11時~14時)や夕方(17~20時)は配達パートナーのインセンティブが1.1倍になり、雨の日や週末、GW中など多くの注文が見込まれるときは一定の報酬も設定される。配達が多い時間帯やエリアをよく分析すれば、稼ぎも多くなるだろう。

意外にも登録したばかりでも、注文はそこそこ入ってくる。連続して注文が入れば、1時間に2回は配達できるので時給にすれば1000円前後といったところ。しかし、30分~1時間ぐらい注文が来ないときもあるので、他のバイトと比べて特に割りがいいということはなさそうだ。ちなみに、インセンティブは1週間ごとに振り込まれる。

またUberの大きな特徴が、相互評価である。配達パートナーである僕も飲食店と利用客を評価するし、僕もお店とお客から評価されることになる。お金と時間のかかる研修などはほとんど行わず、実際に働いて優秀だと評価された配達パートナーに優先的に仕事が回るようにしていき、そうでない人は淘汰していくことでサービスの品質を保っている。こういうのは、いかにもIT的な効率重視の考え方で少し違和感も感じるが、これについて論じるのは本題からずれそうなのでこの辺にしておく。

で、1日トータルどれくらいの距離を走るかというと、バッテリーの限界まで6~7時間オンラインにしていれば50~60kmは走っている日もある。都内は絶えずアップダウンがあるし、思わぬ激坂も登場したりするので、獲得標高が500m超になることもざらだ。その人のレベルにもよるが、練習やダイエット目的の運動としての効果も期待できるだろう。

個人的には、いろいろな街を走れるのも楽しみになっている。以前から都心をよく自転車で走っていたが、配達を通じて今までいったことのない街や地域に行ったり、「ここにこんな店があるんだ。この道はここにつながっているんだ」という発見があったりというのは意外と楽しいものだ。まあ配達中はあまり寄り道をすることはできない。
すべてに満足というわけではないが、空いた時間に体を動かして多少のお金を稼ぐことができ、ポタリング的な自転車の楽しみもある。そういう意味では、今後もしばらく続けてみようかなと考えている。

関連URL:Uber Eats https://www.Uber Eats.com/ja-JP/tokyo/

(写真/本人)

 

【a】Uber Eats 配達パートナー募集

 

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