2020年05月27日
【コロナ禍中における自転車チームの今:J Proツアー】VC福岡 / 愛三工業レーシング
愛三工業レーシングチーム
~インスタライブでファンと交流会!~
「新型コロナウイルスに負けない!」 当面のレースもなく、屋外でのトレーニングも制限される状況だが、国内最高峰のJプロツアーに参戦する各チームは前向きにこの危機を乗り越えようとしている。愛三工業レーシングチームはコロナ禍で中止になったイベントの代わりにインスタライブでファンと交流会を開き、好評を得ている。
※アンケート取材は5月25日時点の情報に基づき、行いました。
ツール・ド・ランカウイで好スタート
UCIアジアツアーを主戦場としてきた愛三工業レーシングチームは、今季はJプロツアーにも参戦。4年ぶりに伊藤雅和選手も復帰し、2月に出場したツール・ド・ランカウイでは幸先のいいスタートを切っていた。
「今年は2月にマレーシアで行われたUCIプロシリーズ、ツール・ド・ランカウイの出場が3年ぶりに決まり、世界のスプリンターを相手に草場啓吾・大前翔がゴールスプリントでシングルリザルトを残すことができました。そしてツール・ド・ランカウイの翌日に行われたUCI1.1クラスのMMCランカウイ・マレーシアン・クラシックでは、伊藤雅和が6位に入りUCIポイントを獲得するなど、滑り出しがよかっただけに新型コロナウイルスの影響によるレース開催中止は残念でした」と別府匠監督は振り返る。
その後、チームは感染拡大を防ぐための対策を徹底している。
「4月10日に愛知県から発出された愛知県緊急事態宣言以降、チームでは新型コロナウイルス感染予防策として、手を洗う、3密を避ける、ソーシャルディスタンスを保つために屋内外でも一人でトレーニングを行うなどの行動指針を立てて活動してきました」
「愛三工業レーシングチームの拠点のある愛知県は、5月14日に緊急事態宣言が解除されましたが、段階的な緩和を行う上で5月31日までは愛知県緊急事態措置を継続実施(注)していくことで、引き続きソーシャルディスタンスを守りトレーニングは一人で行う、3密を避ける、公共交通機関を避ける、スタッフは在宅ワークを行うなど、第2波への影響も考慮した上での行動をしています」
※注:愛知県緊急事態措置は5月25日に解除されました。
選手たちの近況についても「それぞれの自宅を中心にトレーニングを行っています。スケジュールの見通が立たず、モチベーションの維持が難しい時ですが、気持ちを落とさず来るレースに向けて準備を行っています」と明かした。
今まで以上に「つながり」を感じるインスタライブ
その間、予定されていたファン交流イベントは中止になったが、その代わりSNS上でファンと触れ合う場を設けた。
「この外出自粛期間中に新たな試みとして、インスタグラムのチームオフィシャルアカウントで、選手たちがリレー形式にトークをしていくインスタライブ配信を始めました」
「5月2日に岐阜県美濃市で予定されていたチームのファン交流会の中止がきっかけでした。いつも応援してくださっているファンの皆様と素顔の選手たちとが触れ合える1年に1度しかないイベントに代わるものとして、離れていても繋がれるかもしれないインスタライブをファン交流会当日の5月2日に配信するという提案がスタッフから持ち上がったのです」
「選手もスタッフも離れての生活を余儀なくされている中、離れた場所からリモートで話し合い、全員で挑戦することとなりました。スタッフからの提案ではありましたが、選手も前向きに取り組んでくれました。初めての生配信ではありましたが、選手とスタッフの入念な準備と沢山の方にお越しいただいたお陰で緊張の中でもテンポのあるトークをすることができ、2時間長の配信にもかかわらず、多くの方々に時間を忘れて楽しんでいただけました」
このインスタライブはその後も回数を重ねて行われ、チーム・選手にとっても貴重な場となっている。
「ステイホーム週間のゴールデンウィーク中だったこともあり、急遽、5月5日の子どもの日には第2回子どもの日スペシャルを開催。さらに沢山の方々の後押しも受け、5月15日には第3回はチームの使用アイテム特集、5月22日には第4回機材・アイテム/海外遠征あれこれ編を配信しました。おかげさまでフォロワーも視聴者も増え続けています」
「今ではこのインスタライブは、選手やチームのことをより深く知っていただけるだけでなく、我々がファンの方々や普段支えてくださっている多くの方々とのつながりを今まで以上に強く感じられるとても大切な場所になっています。自転車に乗る・乗らないに関わらず、多くの方が楽しみにしてくださっているのでレース再開後は配信の内容や時間は変わるかも知れませんが、今後もチームとして続けていきたいと考えています」
レース再開後に向けては、前向きなメッセージを届けてくれた。
「いつもたくさんのご声援をいただき誠にありがとうございます。ファンの皆さんはレースの開催がなく刺激のない期間を過ごされているかと思いますが、愛三工業レーシングチームの選手・スタッフも一刻も早くシーズンが再開し、ファンの皆様と会えることを楽しみにしています」
「現在発表されている予定では、8月に行われる全日本選手権が1番の目標です。選手たちはそこに向けてトレーニングを続けています。国内外で未だレース再開の目処が立っていませんが、トヨタ自動車の豊田章男社長の言葉にもありましたが『明けない夜はない』『僕たちに乗り越えられないことはない』ということを信じて、来たるレースに向けて備えていきたいと思います」
正式名称 | 愛三工業レーシングチーム |
正式名称(カナ) | アイサンコウギョウレーシングチーム |
欧文表記 | AISAN RACING TEAM |
創立日 | 1987年 |
ホームタウン | 愛知県大府市 |
公式HPアドレス | http://www.aisan.net |
メインスポンサー名 | 愛三工業株式会社 |
使用バイク | デローザ メラク |
使用コンポーネント | シマノ デュラエース |
関連URL:
twitter https://twitter.com/aisanracingteam
Facebook http://facebook.com/aisanracingteam
Instagram http://instagram.com/aisanracingteam
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。