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2017年06月15日

世界遺産でヒルクライム【第1回吉野大峰ヒルクライム】

山全体が世界遺産登録されている奈良県の吉野山。昔から修験道の聖地として知られているこの山で、今年初開催となるヒルクライムレース、第1回吉野大峰ヒルクライムが5月14日に開催された。

今年から開始したクライムジャパンシリーズ(http://climbjapan.funride.jp/)の加盟大会の中で1番最初の開催ということで、私、編集部コタカも大会にお邪魔し、走らせていただいた。

初開催にも関わらず、関西圏を中心に約450名のヒルクライマーが会場に集結。普段地元のサイクリストの練習コースにもなっているようで、レース前から「このコースはきついよ」「試走してないの? しておいた方が良かったよ」なんて声をかけられる。

昨年はプレ大会としてひとりずつスタートする個人タイムトライアル形式でイベントを実施したようだが、今回は女子ウェーブを先頭に、申告タイムの遅い人から順にウェーブスタートしていく方式を採用した。後方からはガシガシと速い選手が追い抜いていくが、道幅は広く、参加者にも『追い抜く際は左側から』とのルールが徹底されていたので、とくに問題はなかったよう。
ただ、参加者と一緒に自転車で上りながら要所要所で撮影していたので、カメラマン泣かせなスタート順ではあった(数カ所で立ち止まって撮影し、気づいたときにはほぼ最後尾だった……)。

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スタート前、参加者全員で気合いを入れる

コースの大半は背の高い杉林の中を走る。修験道と聞いていたからか、他のヒルクライムコースにも増して、静謐な雰囲気を感じ、鳥のさえずりや風で葉が擦る音もほとんど聞こえない。そのなかでサイクリストの息づかいとペダルを回し続ける音だけが響く。
全長16.8kmのコースは上りの平均勾配が6.8%とかなりの走りごたえ。そこを自分の身体と対話しながら上りつづける。修験道ということに加え、人の背丈の十数倍ありそうな杉に囲まれる雰囲気に、思わず『修行』の2文字が頭に浮かぶ。それほど、勾配はきつかった。

10kmを過ぎるころになると一旦視界が開け、吉野の青々しい山々が眼下に広がった。そして、目の前に「修行門」が現れた。ああ、やっぱりこれは修行だったんだと一人納得。

修行門の前にいたボランティアの女性に聞くと、この門は金峯神社の入り口とのこと。金峯神社はお金持ちになれる神社らしい。「このコースを走ればきっとご利益ありますよ~!」と教えていただき、少し得した気分で先を急ぐ。

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スタートから約10km地点、突如景色が開ける

吉野大峰ヒルクライム
そして現れる立派な構えの修行門

修行門を過ぎたあたりから勾配はさらにきつくなり、勾配10%を超えることもたびたび。蛇行する選手や思わず自転車から降りる選手もちらほらと現れる。私も撮影をそっちのけで、黙々とペダルを回し続けた。

どれくらい自転車から降りたい気持ちをこらえて走っただろうか(撮影だったので、別にきつくなったら降りても良かったのだが、このコースではなんとなく降りてしまったらダメな気がした)。気がつくとコース脇には残り500mの看板。そして再び視界が開けて、美しい景色が広がる。吉野の山々に歓迎されているような気持ちになりながら、フィニッシュを切った。

フィニッシュラインから1kmほど下ったところがフィニッシュ会場となり、そば茶やコーヒーが参加者に振る舞われ、レースを終えた参加者で賑わった。そして、下山後参加者は参加賞として配られた食事券を手に各々お目当てのお店に消えていった。

そういえば、下山途中にトレーニングでこのコースを上る「山の神」森本誠さんにも偶然遭遇。やはりそういう霊験に満ちた場所なのかなと思ったりした。

 

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終盤はさらに勾配がきつくなる。路面状況もそれほど良くないので注意

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吉野の山々を背にラストスパート!

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ゲストの山本元喜選手(キナンサイクリングチーム)は最後尾スタート。参加者をごぼう抜きしていた

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男子の初代チャンピオンは鳥飼健太郎さん
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女子チャンピオンは吉田 鈴さん。表彰カテゴリにはタイムを体重で割った体重特別賞というユニークなものも

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レース後は昼食券を使い、参加者それぞれが吉野でのんびりと過ごした


第1回 吉野大峰ヒルクライム

開催日:2017年5月14日(日)

コース:16.8km(獲得標高932m)

大会HP:http://fa-bu.com/fabu/omine_hc.html


 

(写真/編集部)

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