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2022年08月02日

東京2020オリンピック・パラリンピック1周年記念自転車ロードレースレガシーサイクリングが開催/「実走ルポ」

7月30日(土曜日)、テストイベントを兼ねて東京2020オリンピック・パラリンピック開催の1周年記念としてレガシーサイクリングが開催されました。

概要はこちら

2020年7月に東京オリンピック開幕に合わせて実施された自転車ロードレース。開催地を紹介するという意味合いも込めてその地を象徴するようなコースが設定されるが、まさか都内・府中市から富士山を目掛けて麓の御殿場に向かって一都三県を跨ぐコースラインが引かれるなど誰も思っていなかったと思います。橋本聖子会長「過去のオリンピックのロードコースにおいても非常に珍しい。オリンピックコースディレクターもこんな素晴らしいロケーションはないと絶賛でした」とコメントを残しています。

一年前の夢のような出来事も時間の経過とともに忘れていってしまいます。オリンピックを一過性の物にしたくないという思いのもと、レガシーサイクリングと銘打ってロードレースコースをトレースするサイクリングイベントのテストライドが実施されました。

中心人物は、元東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子さんと、自転車競技 元スポーツマネジャーの片山右京さん。
来年以降も継続して実施するというこの大きなプレイベントにプレスとして実走を試みました。

片山右京さん/金太郎さん/橋本聖子さん
元警視総監の樋口建史さんもレガシーサイクリングに参加しました。初めてこのウエアを着ました。どのように映っているかドキドキしています。皆さんと一緒に走らせていただくことをワクワクしています。交通安全ルールを遵守して、安全に走りましょう

コースは女子ロードレースとほぼ同じコースレイアウトで府中・武蔵野の森公園から、富士スピードウェイ西ゲートまでの110km。東京都を抜けて、南多摩尾根幹線道路(通称:オネカン)を走り、橋本市・小倉橋ピクトグラムを眺めつつ同志道を走ります。最大の難関の山伏峠を越えて山中湖を周り籠坂へ。一気に下って五輪タイムトライアルコースの激坂を超えるとフィニッシュの富士スピードウェイに到着します。

一都三県を跨ぐコースには4つのエイドステーションが設けられ、それぞれの地区でイベントが行われていました。
稲城市の通称オネカンもエイドステーションに。
小倉橋には巨大バナー(通称 小倉橋ピクトグラム)が復活しました。年末まで掲出予定とのことです。
https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fukyo.katayama%2Fposts%2Fpfbid02jaLbN3wHugwLsLtxowbHQA6dQmhkXPCbSSz9XVQi5YRMeYgMKAdcqg7u8bcZkTTWl&width=500&show_text=true&height=793&appId
ゲスト:今中大介さん
イベントMCを務めた白戸太郎さん
ゲストの増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)
筆者も全行程を走りました

こうした大規模サイクリングにおいては、国内の自転車を取り巻く環境や、特殊なイベント自体についてなど、これから本大会に向けての課題がいくつか見受けられます。
道幅にたいする交通容量においても夏季のハイシーズンにおいては道志道であっても交通渋滞は避けられません。また道志道(国道413号)は信号もない自然溢れたコースですが、距離は38km(山伏峠まで)、獲得標高は1000mほどになります。https://ridewithgps.com/routes/40414956
オリンピックに選定されたコースであることで十分な訴求力はありますが、それなりの走行スキルと日常的な訓練があってこそ楽しめるといえます。

あくまでもサイクリングという趣旨で、道路交通法を遵守しながらフィニッシュ地点を目指すというサイクリングで、スピードを競うものではありませんがグループ間で自転車だからこそといった走り方を楽しみつつ、壮大な景色を眺めながら走れるのが魅力といえるでしょう。前述もしていますが、パワフルなコースですのでそれなりの体力と経験が必要ですのでしっかりと準備をした上で走った方がより満喫できるでしょう。今回のプレ大会を行ったことで運営側にも課題がはっきりと見えていると思います。また市民イベントとして実施に向けたファーストステップという機会では各自治体の皆様にも一定の理解を得られていると感じました。今後は一般参加者を招いたイベントとなっていく予定ですが、非常に高いホスピタリティが求められるでしょう。
ともあれ、あの出場選手の凄さを感じながら走るオリンピックコースを是非一度体験していただきたいものです。

TOKYO2020男子ロードレースを走った増田成幸選手もゲスト参加していいます。

「このコースを走ったのはオリンピック以来。こんなコースなのでまたオリンピックが開催されないかぎり交通規制をして走れる機会はないと思います。今回はサイクリングということでゆっくり景色を見ながら走らせていただいて、オリンピック当日のレース展開の記憶が蘇ってきて自分自身も楽しめました。改めて思ったのは、道志村から山中湖むけては特に富士山をバックに走る場所があったり、外国の方にも誇れるような。日本を象徴している地域なので、このレガシーを、地域の皆さんと一緒に自転車を使って盛り上げていきたいですね」と、増田選手。今後の選手活動における良い刺激になったようです。

橋本聖子さんはフィニッシュ地点の富士スピードウェイで以下のコメントを残しました。「昨年の東京大会はコロナ禍のなかで一年延期してしまい、どうなってしまうんだろうかというご心配をおかけしました。その中で大会を信じて待っていただいた皆さんのお力があってこそ、ゴールを迎えることができました。世界に(日本の風景を)発信をすることができたロードレースのコースは観光の資源であり、そして健康寿命の延伸、共生社会、多様性と調和といった東京大会のテーマにふさわしいコース。これからもずっと育てていただく、そう言ったものにしていかなければいけないと、片山右京さんや白戸太郎先生をはじめ皆様方のご協力を得て、一都三県走り抜かせていただきました。本当に素晴らしいコースと思っております。これからインバウンドの皆さんが日本にくるときは”あの東京大会のロードコース”と絶対に走りたいと思います。整備もしっかりとしていかないといけない。しっかりとしたルールのもと、楽しく安全で安心な自転車を楽しんでいただけなければなりません。これからやらなければならないことはたくさんありますが、今日はレガシーサイクリングのキックオフにしたいと思います。」

写真:山本健一、井上和隆(kazutaka inoue)

関連URL:一般社団法人ジャパンサイクルリーグ

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