2018年09月18日
タイムリミットは20分! ご褒美ステージを目指せ!!【御亭山(こてやん)TT 2018】
8月18日(土)、栃木県大田原市に新たなサイクルイベントが誕生した。大会名は「御亭山(こてやん)TT」。なんともかわいらしい響きに、聞き間違えかと思ったが、確かに「こてやん ティーティー」という名前だ。
本イベントの舞台となった大田原市の御亭山(こてやさん)は標高512.9メートル。「こてやん」の愛称で親しまれ、地元のプロサイクリングチームである那須ブラーゼンも定番の練習コースでとして足繁く通っているとのこと。同チームは、本イベントにも企画協力として関わり、ゲストライダーや司会進行などを務めていた。
目標は20分切り!
ユニークな2ヒート制レース
「御亭山(こてやん)TT」はレースの仕様が非常にユニーク。約5.2km(平均勾配6.1%)の第1ヒートを20分以内に完走した人だけが、第1ヒートとは反対側から御亭山を上る約2km(平均勾配8.2%)の第2ヒートに進むことができる(なお、アスリートクラスだけは全員が第2ヒートを走れる)。ということで、第1ヒート前、整列エリアでの話題はもっぱら「第1ヒートを20分切り」できるかどうか。
「普段どおりに走れば大丈夫なはず!」という方や、「いつもは20分切りできないが、火事場の馬鹿力で何とか切りたい」と鼻息を荒くしている方を見ているうちに、私も「何とか20分切らねば!」という気持ちになってきた。
御亭山TTは5~6名ほどのウェーブに分かれてスタートする。ゲストライダーとして参加していた那須ブラーゼンの岸選手が同じウェーブだったので、アドバイスをいただきつつ、第1ヒートスタート。
「序盤勾配が緩いですが、がんばりすぎると後半苦しくなりますよ」という岸選手のアドバイスをスタートの合図とともに忘れ去り、少し突っ込み気味に走る……。途中、岸選手にペースを作ってもらい、後ろについて走るが、2km過ぎの勾配がキツくなってきたあたりで、小さくなっていく岸選手の背中。くるしい……。すでに脚がいっぱい……。こうなると、サイクルコンピューターに表示される残りの距離とタイムとを、ただただにらめっこしながら進むしかない。「20分、20分」と念仏のように心の中で唱えながら、なるべく勾配が一定になるラインを走る。
コース端に「残り1km」の看板。ギリギリ間に合うかな……?
コース端に今度は「残り300m」の看板。まずい、間に合わない……。
声援が大きくなるゴールに向かって最後の力を振り絞る。結果は20分11秒。
ギリギリ切れてない!!
非常に路面がキレイで走りやすい。地元の方が普段からゴミ拾いをしたり、みんなで大切に扱っている道だそう
山頂のフィニッシュエイドでは、きゅうりや茄子、スイカなどが振舞われた
お情けの第2ヒートに
感動の光景が
次に進めない悔しさがありつつも、第2ヒートは勾配がかなり厳しいと聞いていたので、どこかでホッともし、フィニッシュエイドで配られていたきゅうりをほお張っていると、事務局の方から「せっかく取材で来ていただいたので、第2ヒートもオープンで走ってください!」と、なんとも優しいお言葉が。半分レースを終えたつもりでいたが、そう言われたら走るっきゃない! ということで、第2ヒートのスタート地点へ、いったん下山。
最終ウェーブに並ばせてもらうと、奇しくも今回も那須ブラーゼンの岸選手が同ウェーブで走ることに。第1ウェーブ前にいただいたアドバイスを無視してしまったことは黙っておいて、今回もアドバイスもらう。
「第2ヒートはどんな感じで走ればいいですかね?」
「こっち側は走ったことないんですよね~」
「そうですか……」
そんなやりとりをしているうちに、第2ヒートがスタート。たしかに第1ヒートよりも勾配が厳しいが、勾配の変化は少ないので思ったより走りやすい。同ウェーブでスタートした方たちには置いていかれてしまったが、コース自体が2kmと短いのであっという間に残り500m。左カーブを抜けると、あとは直線を残すのみ。
するとゴール前、コースの両側には第2ヒートに進めなかった方や応援の方がズラッと並んでいる。まるでテレビで観るツール・ド・フランスの山岳コースのような光景がそこに広がっていた。本当は20分切れていないのに……、という申し訳なさがありつつも、その光景に大いに感動しながら、笑顔でゴールラインを通過した。
レース後は、大会会場のなかがわ遊水園まで下山グループごとに移動。会場では、ちゃんこ鍋や栃木牛、そしてインスタ映え必須のカキ氷が参加賞として無料で振舞われた。さらにお米やツールケースまでもらえてなんだがとっても豪華。那須ブラーゼンによるトークショーや表彰式まで多くの参加者が残り、終始アットホームな雰囲気のまま大会は終了した。初開催となって今回は60名程度の参加だったが、来年は人気は高まりそう。ぜひ第2ヒートに進んでいただき、あのフィニッシュの光景をみなさんにも見ていただきたい!
第2ヒートは勾配がキツいうえに、すでに1本は走っているので、脚がパンパン
たくさんの参加者や応援者に迎えられながらのフィニッシュは感動!
レース後、ステージでは那須ブラーゼンのトークショーが行われた
御亭山TT 初代チャンピオン
本多 泰旭さん
「この日のために身体を作ってきたので、優勝できて良かったです。地元開催のイベントだったので、地元の人間として優勝を狙っていました。このコースは練習でもよく使っているコースです。第1ヒートは那須ブラーゼンの柴田選手がペースを作ってくれるとのことだったので、無我夢中でついていく感じでした。予定していたワット数よりもオーバー気味で走っていて、最後まで体力がもつか不安もありましたが、ラスト2kmで少し余裕が生まれたので、アタックしてライバルから先行できました。第2ヒートは第1ヒートで力を使ってしまった感はありましたが、うまくタイムをまとめられて良かったです」
御亭山TT HP(facebook)
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(写真/小野口健太、武智涼真)
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。