2019年07月09日
本場イタリアのグランフォンド【Granfondo Pinarello】参加レポート
6月30日(日)に開催された「Granfondo Pinarello(グランフォンドピナレロ)」は今回で23回を数える伝統ある大会だ。今年からファンライドが主催する「グランフォンドピナレロ八ケ岳(10月6日、7日開催、山梨県北杜市)」と姉妹大会となったこの大会に、編集部は出走取材を試みた。
開催地はイタリア北部の街、トレビーゾ。ドロミテ山塊からの川の流れが「水の都」の風情をかもし出す。この街にピナレロ社は本社を置いている。もちろん大会の主催者はピナレロ社だ。
種目は175kmのロングと115kmのショートの2種目。いずれも数々の峠を含む山岳コースだ。参加者は3,500人。八ヶ岳の約3倍だ。今回は走行レポートに加え、日本とイタリアの自転車文化の違いについても触れてみたい。
ディーラーを中心とした日本からの参加者とピナレロ社のファウスト・ピナレロ社長(中央緑ジャージ)
レース前日、ピナレロ社からDOGMA F12をお借りしてテストライドに出かけた(試乗レポートは後日公開いたします)。周囲は試走のサイクリストでいっぱい。編集部が参加したグループは大人数のため、誘導チームが同行してくれたのだが、信号やロータリーの度に、誘導チームが車を止めてくれる。驚いたのは止められたドライバーが当然のようにサイクリストを優先してくれることだ。イタリアの人びとの自転車に対する理解度の高さが実感できたシーンだった。
受付で渡されるキットはナンバーカード、マップ、計測チップなど日本のレースと大差はない。受付会場やホテルなどでは随所に「ピナレロ色」が感じられる
4つの峠を行く。走行レポート
さあ、当日だ。
175kmのロングコースに出場するので多めの朝食を摂り、スタートに向かう。
スタート1時間半ほど前に到着したが、混雑はしていない。イタリアのサイクリストはのんびりしているのだろうか?街のカフェで時間をつぶすことにした。エスプレッソ一杯1ユーロ。これから走るコースに思いを巡らせる。コースマップによれば峠が4つ。獲得標高は約2,500m。日本で開催するとすれば、信州あたりでないと設定できないコースプロフィールだ。
7時15分。号砲が鳴り、先頭グループが飛び出していく。どの選手も引き締まって見るからに速そうだ。この大会には例年プロチームのスカウトが見に来るそうだ。トップアマチュアはプロチーム入りのために走りをアピールする。先頭集団は完全にレースモードだ。後でわかったことだが後に続く市民サイクリストも基本は「レース」。この点が「サイクリングイベント」にカテゴライズされる日本のグランフォンドとの大きな違いだ。
なお、スタートは3,500人の一斉スタート。後方からスタートした編集部は、前が詰まっているのでゆっくりと進んだ。
「これはロードレースだ」
スタートから3分。速い。メーターは47km/hを表示している。「こんなペースで最後まで行けるのか?」と不安が頭をよぎる。一方で高まる気持ちを抑えきれない。行けるところまで行こうと高速集団に食らい付いたが、この判断が誤りだったと後で気づかされることになる。
エイドステーションは約40キロごと。コース上に3箇所あった。この日は40℃近くまで気温が上がり、大いに助かった。置いてあるものはオレンジやバナナなどフルーツ中心で全エイド共通だった。しかし先頭集団などはエイドステーションも素通りしてしまう。エイドの楽しみがメインの日本と違い、こちらの本質は「レース」。エイドステーションも「選手の水や食料不足を補う場所」として用意されている。
このレース的色彩は、交通規制をしていることからもわかる。しかし一方で、お揃いのジャージで完走を目ざすグループや、カップルの参加者もチラホラ。トップはレース、後方は完走目的。楽しみ方は千差万別だ。
約60km走ると「サンボルト峠」の上り口に到達した。連続するトンネルとつづら折の構造が特徴的なこの峠は、イタリアのサイクリスト間でも有名だ。下から見上げても圧巻。つづら折を重ねて標高を上げるたびに気持ちも高ぶる。そして上りきったあとの景色が絶景。上の写真は頂上からの1枚だが、周囲で写真を撮っている参加者は編集部だけだった。
今回もっとも厳しかったのは130km地点に待ち構える「ポジョの壁」だった。距離は約1km、平均勾配13.4%、最大斜度18%。イタリア版の「海岸寺」(グランフォンドピナレロ八ヶ岳で有名な激坂)だ。序盤から高速集団に乗り、先頭を引き、実力以上に脚を使いすぎていた。ここで両足が攣る。ゴールまで約40kmを残し、レース的には終了。このコースを走るだけの練習が不足していた。
ラスト30kmは下り基調。小集団で先頭交代をしながら約1時間。再び中世の城壁に囲まれたトレビーゾの街に戻ってきた。フィニッシュゲートをくぐり、完走メダルをかけてもらうと、達成感が込みあがってくる。この達成感を「グランフォンドピナレロ八ヶ岳」で参加者に提供するのが次の仕事だ、と思いを新たにした。
◆レースの模様を編集部の車載カメラによる動画でご覧ください。
キッズレースも併催。全員がサイクルウェアでロードバイクを乗りこなす!
まだまだ続きます。イタリアメーカー工場見学!!
翌日もカンパニョーロ、フィジーク、エリートの本社見学と盛りだくさん。
特にフィジークではサドルの製作過程をじっくりと見ることができました。
次回レポートでお届けします。
◆グランフォンドピナレロホームページ(英語)
http://www.granfondopinarello.com/en
◆グランフォンドピナレロ八ヶ岳ホームページ(エントリーもこちらから)
http://gf-yatsugatake.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。