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2016年09月27日

Rapha Japan GM 矢野大介さんが語る【グラベルロードの走行テクニック】

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今回初のグラベルフォンドの開催を控え、野辺山に拠点をかまえるRapha Japanの代表、矢野大介さんにはいろいろと尽力していただいた。なにしろこのグラベルフォンドはRapha Japanの力無しには実現不可能である。コース選定にも多大なる労力を割いていただいており、この場を借りてお礼を申し上げたい。さて、グラベルフォンドを楽しみにしているサイクリストために、マイスター矢野氏にグラベルを楽しむテクニックを聞いてみた。

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編集部(以下:編):グラベルの走り方について、アドバイスをいただくことはできますか?

矢野さん:突然グラベルになるっていうことが無いなら特別かまえる必要はないと思います。上り基調なら比較的走りやすいのですが。むしろ平坦のグラベルはスピードに乗って入れちゃうところがありますね。そこで減速させて、焦らないで素直に行くっていうのがたぶんまず1つあると思います。けっこう入口で転ぶ人が多いですから。で、これはもう言葉で言ってもどうしようもないところもあるんですけど、舗装と違ってバイクが思うように動かないので、「身体で操作する」っていいますか、ハンドルはしっかり握っているけど、肩の力は抜くようなリラックスした状態で、それで腰で操作するような。

編:ロードではハンドルを切っても無理矢理コントロールできる部分はありますが、未舗装路ではそうはいかないですね。

矢野さん:ハンドルを切ると滑って転ぶので、ハンドルを切るような曲がり方はしません。落ちついて前の人との距離を少し空けて、スピードをコントロールしながら入ってくって感じですね。慣れている人だったら、予測っていいますか、細かい穴や大きい石を避けながら、走りやすいところを選びながら左右に細かく動いて走るんですけど、これはけっこう慣れた方のテクニックですね。

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編:未舗装路だと、ロードよりもずっとスピードは落ちてしまいますよね。どれくらいの時間を見て走ると良いのでしょうか?

矢野さん:どうしても平均速度が落ちるので、その辺を考慮した時間配分が求められます。体力の消耗も普通の舗装道路で同じ条件の坂だとしても、たぶん体力の消耗量は余裕で倍以上だと思います。

いろんな要素がありますが、グラベルではペダリングのパワーが全部が推進力として伝わっていないですね。たぶん半分以上のエネルギーが逃げちゃっているのではないでしょうか。上手い人っていうのは効率が良く、慣れてない方たちだとやっぱりかなりの量のエネルギーが推進力以外のところにロスしちゃってると思いますね。予想以上に疲れるのと、予想以上に平均速度が落ちるんで。まあこれが例えば10kmとかっていうセクションだとしたら、上級者でも1時間を見積もります。下りも全然スピードを出せないですし。いつものロードの感覚の平均速度っていうのが、所要される時間っていうのが全然違うんで、それを頭の中に入れておけば、まあストレスにはならないでしょう。

編:グラベル走行中にあまりやりたくない動作ってほかにありますか?

矢野さん:グラベルを走行中にドリンクを補給したりとか余計なアクションは避けましょう。まあ写真撮りたいときは一旦止まって撮ると良いと思います。
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また、ちょっとした上りでもダンシングができなくなるので、疲れる要素にもそれが入っていますね。シッティングで要は駆動の後輪にきっちりしっかりと重心かけなきゃいけないっていうところが重要です。また前輪はわずかに抜重させるというか。前輪への荷重をかけ過ぎると、コントロールがすごく難しくなったり、なによりパンクしやすくなります。前輪はわずかに抜重させるといいでしょう。前輪が当たる速度が単純にタイヤを裂いてしまう力になってしまいます。石とのインパクトが上がる要因として1つはスピードで、もう1つは荷重。まあいずれにしても、スピードがある程度出ている場面では仕方ないので、良いルートやラインを見つけるんですけど、荷重に関しては、石があったとしても、荷重をちゃんとコントロールできてればまったくパンクはしません。そこが、リア側は座っていたりペダルの重心がかかっていたりするので本当に難しい。ただ、まずは前輪だと思います。

編:なんだかいろいろ思い当たる節がありますね(笑)。

矢野さん:あとはパンクしたときに、ちゃんとタイヤ側の裏に石が刺さってないかとかチェックするとか、タイヤが裂けてないかをチェックするとか。そうするとせっかく時間かけてポンピングし直したのをまたすぐパンクしちゃったりするんで。あとは最後までちゃんと高圧までしっかり入れる。面倒くさがらないで適切な圧力まできちんと入れるってことですね。その辺は、パンクの処理がけっこう落ち着いてやったほうがいいと思います。
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編:足元も悪いので、同行しているライダーは付き添ってサポートするといいですね。1人で作業すると気が滅入ると思います。

矢野さん:そうですね。特に一番後ろはライドリーダー的な人が付いてあげると安心でしょう。そして1人にしない、1人にならないっていうのが基本だと思います。これは舗装路でも一緒なんですけどね。

編:ありがとうございました! 次回は当日のウエアについてお伺いしたいと思います。

※次回はこれから訪れる季節、そしてグランフォンド八ヶ岳でも活用できるウエアのチョイス方法を語っていただきました。

 

(取材協力/Rapha Japan http://www.rapha.cc/jp/ja

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