2017年03月26日
みちのくおとぎ街道ライドでご当地麺を食べつくせ!【前編】
“麺”といえばサイクリストの主食であろう。サイクリングやツーリングに出かけた際、蕎麦やうどんを昼食に選ぶ人も多いのではないだろうか。都内近郊ではサイクルラックが置かれたお店を見かけることも増えてきた。
そんなサイクリストとの親和性が高い、“麺”をテーマにしたイベントが2017年秋に開催予定だ。
その名も『みちのくおとぎ街道グル麺ライド』。
山形県の高畠町と南陽市、宮城県の七ヶ宿町と白石市の4つの市町を結ぶ、国道113号線をコースのメインとした、約100kmのロングコースとショートコースのサイクリングイベントで、4市町それぞれのご当地麺がエイドステーションで振る舞われるそう。
みちのくおとぎ街道(http://www.113otogi.com/)とは古くから語り継がれる「鶴の恩返し」などのおとぎ話や、「泣いた赤おに」などの童話が1本の道で結ばれた4市町を結ぶ国道113号線のことを言うそうだ。
イベント開催に先がけ、ファンライドでは4つの市町をめぐり、それぞれのご当地麺料理を味わうグル麺ライドに出かけることに。イベントの立ち上げスタッフである、佐藤さんもメンバーに加わっていただき、サイクリングスタート!
スタートは人情味豊かな高畠町から
出発は山形県高畠町のJR高畠駅。山形新幹線を使えば東京駅から2時間15分程度で行くことができ、アクセスは良好だ。高畠町のおすすめサイクリングコースを町役場の南波さんと外山さんが紹介してくれるとのことで、まずは町役場を目指してスタート。
途中立ち寄った、旧高畠駅は昭和9年に地元特産の高畠石を使用して建設されたという。かわいらしくも、ノスタルジックな外観を見ていると、一瞬にして昭和時代にタイムスリップしてしまったかのよう。周辺の町並みも駅舎と同様にどこか懐かしさを感じさせる。この駅舎の周辺の線路が敷かれていた場所は緑道化され、桜が植えられている。春には満開の桜の下でサイクリングができる場所だ。
スタートはJR高畠駅から。泣いた赤鬼がモチーフのマスコットキャラクター、たかっきとはたっきの顔ハメがあったので、記念に……。
旧高畠駅の駅舎。石組みの窓枠や屋上の手すりなどがかわいらしい
旧高畠駅駅舎からほど近い町役場で南波さんたちと合流。ご本人たちもサイクリストとのことで、普段走っているサイクリングコースを一緒に走っていただくことにした。
「その前に腹ごしらえをしましょうか」
とまず連れていっていただいたのは、「おばこや」さん。長年お店を切り盛りしている初子さんが作る「おばこ焼き」はあったかフワフワで、中にはたっぷりのあんこ。初子さんの人柄同様の優しい味がする。居心地の良い空間と初子さんとのおしゃべりで、ついつい長居をしてしまいそうになるが、まだまだサイクリングはスタートしたばかりなので、後ろ髪を引かれる思いで次の場所へ。
初子さんが作るおばこ焼きは、補給食にぴったり。他にもお団子など和菓子を販売している。
高畠町の中心街を外れると、田園地帯が広がり、その中をグループライド。田園地帯を抜けたところで、丘陵地帯に差し掛かり、適度なアップダウンは腹ごしらえにもちょうど良い。なにしろ道中信号がまったくないので、快適にライドが楽しめる。約15kmを走り、国道113号に出る手前で瓜割石庭公園に立ち寄る。眼前にそびえる石切場は自然の要塞のようで圧倒される。現在は石切りは行っていないそうだが、ここの石は高畠石と呼ばれ、比較的柔らかく加工がしやすいために、さまざまな用途に使われてきたらしい。最初に立ち寄った高畠旧駅舎もここの石を使って建てられている。石切場のなかに入るとホールのようになっており、岩に刻まれた人口的な直線が不思議な造形物のよう。かつてスクリーンで観たことのある火星の雰囲気がこんな感じだったような。ずっと眺めていても飽きない景色は一見の価値ありだ。時期によってはこの場所で芋煮などのイベントも行われているとのこと。
田園地帯を隊列を組んで進む。すでに収穫が終わっているが、秋は一面黄金色の景色になる
瓜割石庭公園の石切場。見上げるほど高くそびえる岩山に、人工的な切り取りの線が刻まれている
ここまで案内していただいた、役場のお二人に他のおすすめコースを聞くと、お隣の南陽市に十分一山というと山があり、全長約2kmの上りだが、平均勾配が12%の激坂なのだという。
「12% !?」と一瞬耳を疑ったが、それは走っておかねばと、我々は、お隣の南陽市へ。
南陽市で激坂とラーメンをいただく
激坂に挑戦する前に、南陽市のご当地麺「味噌ラーメン」を食べることに。おじゃましたのは、「食堂 まるひろ」さん。あっさりとした塩ベースのスープの上に肉みそ味噌ばくだんが乗っており、自分で味噌をスープに溶かしながらいただく。好みで辛みそを加えることもでき、1杯でいろいろと味の変化を楽しめるラーメンだ。辛みそを加えたあとのピリッと辛いパンチのある味は、とくに冬場のサイクリングにはもってこい。身体の中から温まること間違いなし。
もとはあっさりとした塩味のスープだが、真ん中の肉味噌を溶かすと、一気に濃厚な味噌ラーメンに。野菜もたっぷり入っている
お腹を満たしたところで、さっそく十分一山へ、頂上がパラグライダー場になっているこの場所は、外山さんにお聞きしたとおりの激坂スポット。他ではなかなか見られないような細かなつづら折りを繰り返しながら標高を獲得していく。2kmの上りで獲得標高は230mほど。最大勾配は20%を超え、数百メートルも進むと、もうギアはインナー×ローに固定だ。頂上付近になると視界が開け、高畠町や南陽町の街並みが眼下に広がる。ここはサイクリストなら一度は走っていただきたいおすすめコース。イベント当日はコースに含まれることはないだろうが、ぜひ前日などに脚試しに訪れて欲しい。ただ、道幅はかなり狭いので、対向車には十分にご注意を。
激坂をクリアすると、目の前に美しい景色が広がる。まるで空の中を走っているよう
激坂でヘロヘロになったあとは、南陽市をぐるっと観光。日本三熊野のひとつである熊野大社は縁結びの神社としても有名。立派な本殿は見ているだけでも、清らかな気持ちになれること間違いなし。
また南陽市には赤湯温泉という温泉街もあり、公衆浴場や足湯などが豊富に立ち並んでいるので、ここでライドの汗を流すのもおすすめだ。
あたりが暗くなってきたので、南陽市をあとにして、一行は再び高畠町へ。ふたたび役場のお二人と合流して、高畠町のご当地麺、「ひっぱりうどん」をいただくことに。
後編へつづく……。
日本三熊野のひとつである熊野大社とその入り口。重厚かつ立体的な藁ぶき屋根が印象的だ
赤湯温泉には2カ所の足湯と、4カ所の公衆浴場がある
山形に来たら、米沢牛を食べないと!ということで、南陽市にある「肉の旭屋」さんで米沢牛コロッケをいただきました
MAP
~お店の情報~
手作りの味 おばこや (おばこ焼き)
営業時間:9:00~(売切れ次第閉店)
定休日:不定休
HP:http://www.jan.ne.jp/~tsci/bouenkyo/obakoya.html
食堂 まるひろ (味噌ラーメン)
営業時間:11:00~14:30、17:00~19:30
定休日:木曜日(祝の場合営業)
HP:http://maruhiro.konjiki.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。