2020年05月24日
【コロナ禍中における自転車チームの今:J Proツアー】キナンサイクリングチーム /Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team
Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team
データトレーニングの理解を深める
新型コロナウイルスの多大な影響をうけて自粛を余儀なくされているのはJプロツアーチームの選手たちも同じこと。今何をしているの? レースへの準備は? そんな素朴な疑問にこたえていただきました。
「新型コロナウイルスに負けない!」
当面のレースもなく、屋外でのトレーニングも制限される状況だが、国内最高峰のJプロツアーに参戦する各チームは前向きにこの危機を乗り越えようとしている。Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team(ヒンカピー・リオモ・ベルマーレ・レーシングチーム)は、選手たちがモーションデータを活用したトレーニングへの理解を深め、考える力を養っている。
屋外トレーニングのガイドラインを設ける
元全日本王者でワールドツアーでも活躍した宮澤崇史監督が、若手選手を日本から世界へと輩出すべく活動しているHincapie LEOMO Bellmare Racing Team。今は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための取り組みにも力を入れている。
「首都圏が緊急事態宣言(4月7日)をして、次の日よりチーム内でトレーニングに関するガイドラインを設け、それに沿って普段通りトレーニングをしております。ただ、外出は少なくなり、室内トレーニングの回数は多くなっております」
そのガイドラインとは、オランダの自転車競技連盟が推奨するガイドライン、厚労省やWHOからの提言をまとめたもので、内容は「サイクルソーシャルディスタンスを守る(選手は30km/hの場合前走者と15mは距離を取る))「激しいワークアウトは免疫力の低下につながります。強度の高いトレーニングをする時はローラーもしくは、家にすぐに帰宅できる適切な場所で行う」など。チームのFacebookでも公開されており、多くの人がシェアしている。
トレーニング中の感覚を可視化してモチベーションに
レースがなく、屋内トレーニングに多くの時間を割けるこの時期、チームが導入しているモーションセンサーを用いたデータ機器LEOMOについても、選手の理解が深まっていると宮澤監督はいう。
「今回、トレーニングの内容を考えられるいい機会になりました。LEOMOを使ったデータに関しても、選手自身が自分のデータに興味を持ち、じっくりとトレーニングができたと思います」
LEOMOについては、次のようなメリットがあるという。
「選手のトレーニングプログラムは、星の数ほどあるわけではなく、常に似たトレーニングを繰り返し行うことが通常です。トレーニングのメニュー毎に、毎回同じ場所で行うことによって、トレーニング中の良い感覚、悪い感覚を数値として可視化できることがメリットだと思います。また、いつもよりも良く感じていても、実際の動きが良いかどうかの確認や、良くない場合もあります。先ずは主観で評価した上で、データを元に確認すると選手自身も自分の走りに興味をもち、モチベーションへも繋がります」
今後のレース再開に向けては「先ずはレース活動をしていない中で、集団走行に慣れながら各選手の力を把握することからがスタートとなりますね」と、実戦感覚を取り戻すことにも注力するという。
今季、チームはインタープロ・サイクリング・アカデミー、ヒンカピー・レーシングチームと合併し、欧州のUCIレースに参戦するコンチネンタルチームと日本を主戦場とするチームの2チーム体制で戦う。
宮澤監督は、若手選手が日本から海外へステップアップできる環境づくりに力を入れているという。
「残念ながら、日本のレースでどれだけいい成績を出しても、海外のチームからのオファーはありません。ヨーロッパで走る1軍チームに繋がる、2軍チームの位置付けとして、国内のレースで活躍していく先にヨーロッパでのレースへのステップアップのチャンスがあることは、とても大きな意味があると思います」
「以前、イスラエルサイクリングアカデミーへ中里選手をテスト生として行ったことはありますが、そうそうチャンスが毎年あるわけではありません。チーム内でステップアップを目指せる環境が整った事は、チームにとってと言うよりも、選手にとってのメリットが大きくモチベーションに繋がると思います。選手はどのような環境にいても、強くなる選手は強くなります。強くなれる選手と強くなれない選手で言うと、自分で考える力の差が大きくあると感じています。チームが選手に出来ること(環境づくり)が、選手の勝利へ繋がってくれる事を願っています」
その中で、宮澤監督は新加入の小林弘幸選手の成長ぶりに注目している。
「トレーニングの内容を自分自身で考えられるようになってきました。時間毎のパーソナルベストを更新しながら、自分で考えられる事が選手にとって最も大切な事であり、それができている選手だと感じます。また、小林選手は膝痛の症状で悩んだ時期があり、異変などにも敏感です。LEOMOが痛みの予防に繋がることにも役に立っていると言っていました」
正式名称 | HINCAPIE LEOMO Berllmre Racing Team |
正式名称(カナ) | ヒンカピー リオモ ベルマーレ レーシングチーム |
欧文表記 | HINCAPIE LEOMO Berllmre Racing Team |
創立日 | 2010.1.1 |
ホームタウン | 神奈川県平塚市 |
公式HPアドレス | http://lemonadebellmare.jp/ |
メインスポンサー名 | HiNCAPIE ・LEOMO |
使用バイク | BMC |
使用コンポーネント | shimano |
関連URL:JBCF https://www.jbcf.or.jp/
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。