2020年01月12日
山中湖シクリスムフォーマションの2020年体制発表。山本哲央選手(中大)含む新加入3名
チームプレゼンテーションでは7名の選手を発表。福田圭晃選手、香山飛龍選手、塚本一樹選手、山之内壮真選手は昨年から継続。3名は新規加入となり日本人選手2人は中央大学所属で学連でも走るアンダー23の山本哲央選手、五十嵐光汰選手。もう1人は30歳のフランス人選手のティボ・ジャネス選手、フランストップアマチュアカテゴリーDN1(現N1)で12年間走り続けたベテラン。
使用機材は、ブリヂストン・アンカーのRS8がメインバイクとなる。
チームでは、最終的に世界のプロ契約につなげていく育成モデルを4段階で明確に構築している。
©️山中湖サイクリングチーム
①国内でしっかりと実力、知識を国内の環境で磨く。本場の文化に親しむ。
②国内で中心的に活動しながら、ヨーロッパ遠征で日本との違い、仕組みの違い、走りの違いを肌で感じる機会。
そこで各自の「海外に向いてない」「ヨーロッパでやりたい」を明確にし日本へ戻った時に国内チームで貢献できるもうひとつの道を重視できる。
③VC Corbas(フランスの連携チーム)メンバーとして昇格し、フランスに拠点をおいて活動。プロになる準備を踏まえて自分の位置がどこにあるのか把握。日本のナショナルチームに加入する可能性も出てくる。全日本選手権などで帰国した際は国内選手に刺激を与える存在に。
④DM1(現N1)のチームに所属。フランスの一番上の段階に上がれる実績を上げたらプロの玄関口にたどりつけるという仕組み。
こうして、プロチームにアピールするためのアマチュアのトップチームで実績をあげていく。
チームの抱負と選手自身の目標
「フランス行く2名(福田・香山選手)の目の前の目標はフランスのアマチュアの一番上のランクのチームに所属できるための実績作り。
国内で山中湖村に拠点を置く2人(塚本・山之内選手)はジャパンエリートツアーを中心に、もちろん他の大会にも参加しますが上位に入ってコンスタントにチームを支える成績を残してもらいたい」(トム)
中央大学所属の2人は山中湖シクリスムフォーマションとしての活動と、大学の自転車競技部としてと、幅の広い活動になる。
福田圭晃 選手
昨年は国内で活動し何度か表彰台に登壇し、ヨーロッパに挑戦できる力があることを証明。
来年はフランスのVC Corbasで走る。上述の育成モデルの③に相当する位置だ。
「アマチュアトップチーム(フランスN1)にいきたいので、そのためにも今シーズン勝利する必要がある。勝つことを意識して走りたい。また、ナショナルチームでの遠征もあると思うがレベルの高いレースがあるので、少なくともしっかり完走できるようにステップアップしていきたい」
香山飛龍 選手
フランスで活動してきた唯一の選手。フランスの経験、フランス語も上達。昨年フランスでも様々なレースで実績をあげてきた。将来的には上の格のチームに上がっていける走りが期待される。
「昨シーズンは経験値を積めたのですが、勝利がなかった。着目する点は勝利。そのための走り方とレース展開をどう組み上げていくのか、というところに着目して勝利を作っていきたいです。今年は一時帰国して全日本選手権も出る予定です。そこでいい結果を残してナショナルチームにもアピールしていきたい」
塚本一樹 選手
フランスでの活動で獲得した経験を日本で普及していく役割に期待。国内を中心に現役選手として走る。厳しい冬も山中湖で過ごす唯一の選手。
「来年1年間は日本で活動していきますが、今年と同じ引き続きJBCFエリートツアーのE1というカテゴリで走ります。結果を求めて走っていくのと同時に、自転車教室だったりとか若い子たちに教える活動にも力を入れていきたいと思っています」
山之内 壮真 選手
去年ジュニアカテゴリ2年目。一番若い選手として活動する。怪我もあり、予想通りの走りはできなかったけど、後半戦は期待のできる走りができた。ジャパンカップ アマチュアでは15位、第15回 全国ジュニア自転車競技大会では7位。
「今年は実業団レースで結果を残していけたらと思っています」
山本 哲央 選手(新)
山梨県出身。韮崎高校時代は、一人自転車部として活動し第40回全国高校選抜自転車競技大会で優勝を遂げている。現在は中央大学の自転車部現役メンバー。アンダー1年目、始めたばかりのトラック4km個人追抜で、橋本英也選手の学連記録に2秒までせまり優勝を果たす。
「まず全日本選手権と国内選手権の総ナメと、福田選手同様ナショナルチームにも入っているので、そこでいい印象が残せればいいなと思います」
五十嵐 光汰 選手(新)
ジュニアで活躍し今年はアンダー23で走る19歳。
4月から中央大学に進学、自転車部に所属し山本選手と一緒に活動していく。独走力がある逃げを得意とする選手。
またレースでは前で展開し、逃げる選手というのは積極的に走っている選手の証拠。勝率が今のところ低いというのも否めないが、勝つために逃げるというのが本当のロードレース。勝ち方を学んでいきながら、確実に実績を伸ばしていけるよう一緒に学んでいく。
「今年は去年のジュニアカテゴリで今年からアンダー23のカテゴリに上がるので、レベルの上がったレースで良い走りができればなと思っています。
それと勝ちの経験があまりなく、これから勝ちがもっと必要になってくると思うので、まず一勝を目標に」
ティボ・ジャネス(Thibault Jeannès)(新)
Hennebont Cyclismeから移籍。
フランスのアマチュアのトップカテゴリーDN1で12年間走る選手で、今もなお第一線で走る。去年はJエリートツアーで3勝したエンリック・ルバース選手よりも長いキャリアをもつ。
日本での活動は1年間。フルシーズンを過ごす予定。
現在は韓国におり、メッセージが届いている。
「自転車は自転車学校で始めた6歳のころからずっとやってます。
フランスのアマチュア最高峰レベルで12年走りました。もう1つの趣味は旅をすることです。自然だったり、新しい文化と新しい伝統に触れるのが大好き。自転車というのは旅の手段のひとつ。アメリカ・カナダ・アイルランド・ポーランド・フランス・アフリカ、韓国で選手活動をしてきました。
今、一番価値があるのは、若い選手に知識を伝えること。レースや生活の中でも、なるべく無理をしない範囲で選手を強く育てていきたい。そして日本語の習得をがんばること、そして日本文化を紹介していきたい。ここにくることを楽しみにしています」
役割はキャプテンとしてチームを牽引する。
現在は7名体制となるが、今後、選手の補充がある可能性も語られた。
また教育と自転車を組み合わせた自転車カリキュラムも発表された。
こちらの詳細は、トム・ボシス氏のインタビュー記事と併せて後日公開したい。
写真:編集部
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得