2020年05月13日
【NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス】トレーニングに打ち込む日本人選手と大門宏監督からの近況報告
レース再開に向けてトレーニング続行中!
2020シーズンは、皆さまご存知のとおり、新型コロナウィルス感染症のパンデミックを受けて、現在UCI(国際自転車競技連合)公認のすべての国際レースが中止、もしくは延期され、レースシーズンは他のプロスポーツ同様に中断された状態にあります。NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスも1月下旬のシーズンイン以後、早くも5勝をマークし、好調なシーズンを歩んでいましたが、3月8日から14日(最終ステージは中止)までフランスで開催されたパリ〜ニースへの出場を最後に、すべてのレースカレンダーが白紙になりました。UCIは4月15日にすべての国際レースを7月1日まで、UCIワールドツアーを8月1日まで休止することを発表しています。
11ヵ国から24選手が集まる多国籍チームですが、所属選手、スタッフは全員自宅へと戻り、選手たちはそれぞれの国で定められたルールに従って、チームトレーナーからのメニューを元にできるかぎりのトレーニングを続けています。
厳しいロックダウン措置をとった欧州各国では5月に入り、徐々に規制が緩和され(フランスでは5月11日より、自宅から100km圏内での屋外トレーニングが可能になりました!)、UCIは5月5日に8月以降の暫定レースカレンダー(UCIワールドツアー)を発表。今後、下位カテゴリーのスケジュールも発表される予定で、シーズン再開に期待が高まりますが、一方で世界的に感染拡大収束の目処は立っておらず、日本国内のレースを含め、各大会の開催可否はレース開催国や外国人の出入国条件等に委ねられる形になります。
先行きは依然、読めない状況下ですが、シーズン再開に向けてトレーニングに打ち込む日本人選手と大門宏監督からの近況報告やメッセージをご紹介いたします。
大門 宏監督のコメント
フランスやイタリア始めヨーロッパ各国でのロックダウンが始まってから2ヶ月が過ぎようとしている。人類を脅かすパンデミックの最中、日本だけでなく世界中の市民の雇用を担っている企業、ホテル、観光業、飲食店に携わる方々にとって先の見えない厳しい状況が続いている。大会の主催者、我々にとって民間スポンサーの存在はあまりにも大きくチーム運営の根幹だが、プロスポーツの運営に携わる関係者の1人として連日ここまで世界中の政府の動向、世界経済に関心を持ったことはかつてなかった。
肺炎の高熱も耐え難い。現役時代、ナショナルチームの遠征先(コロラドスプリングス)で肺炎の症状で生死を彷徨った。最近「医療崩壊」に社会の関心が集中しているが、夜中に救急車で担ぎ込まれた病院で、身動きもできず気絶寸前、意識も朦朧だったこと、ドクターに身を委ねるしかなかった感謝の記憶が走馬灯のように蘇ってきた。
我々のチームは1月からシーズンが始まり3月のツール・ド・台湾、パリ〜ニースまで14レースの活動はできたが、NIPPOの長年に渡る目標でもある「将来の担い手」を抱える国内チームは公式レースの開幕戦も開催されていない。レースの観戦を楽しみにしているファンにとっても寂しい限りだが、多くの選手にとってトレーニングのみに明け暮れる状況が続いている。もちろんプロ野球などメジャースポーツ含めてスポーツ業界全体に言えることだが大会の主催者、チーム運営側の心境を察すれば察するほど事態を深刻に受け止めている。
UCIから修正された8月からのワールドツアーのレースカレンダーが発表されたが、開催条件に関する指針でも示されているとおり、実際の開催の可否に関しては、新型コロナウイルスの感染状況次第であり100パーセント開催国の政治判断に委ねられている。しかしながら公式な訂正スケジュールが決まったことは、さらなる延期はない、社会の影響を踏まえた「中止」も覚悟している。
日本とEU間の出入国だけに限らず世界中を飛び交う我々にとって各国の定める「隔離政策」も活動の鍵を握る。もし現在標準化している「14日間の隔離」が年末まで実施されれば、我々の転戦活動にも大きな制限が強いられることも必至。
今月中に明らかになりそうな我々の主戦場となるプロシリーズなど他のレースのスケジュールの発表を待ってから、日本だけでなく世界中の社会の動向に注視しながら選手と共に粛々と準備していきたい。
ツアー・オブ・ジャパンの中止は残念だったが、これからも日本はジャパンカップサイクルロードレース、ツール・ド・北海道など4つのUCIレースが予定されている。日本でレースの運営に携わる関係者の苦労は常日頃から実感しているが、この経済状況含めて厳しい状況、逆風も予想されるが、スタート前、ゴール後のソーシャルディスタンスに関しての配慮など、国内チームとも協力してチーム側もできる限りの努力はしていきたいと思っている。
photo:NIPPO DELKO One Provence
関連URL:http://teamnippo.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。