2019年10月08日
JBCF2019シーズン年間チャンピオン決定!
オールイス・アルベルトが優勝して2019年Jプロツアーチャンピオンに
2019年のJプロツアー全22戦の最後は「秋吉台カルストロードレース」。その名の通り、日本最大のカルスト台地である秋吉台を貫く通称「カルストロード」を舞台とするレースだ。荒涼とした風景の中、なだらかなアップダウンが続くカルストロードと、残り1km付近からフィニッシュラインまで続く「カルストベルグ」と名付けられた激坂を含む1周29.5kmのコースは、レースグレード最上位の「プラチナ」に指定されるに相応しいハードコースだ。
そして今年は、個人総合優勝とチーム総合優勝が最終戦の結果によって決まるという、近年では珍しいケースとなった。個人総合優勝を争うのは、マトリックスパワータグのオールイス・アルベルトと、宇都宮ブリッツェンの岡篤志。22戦中21戦を終えてのポイント差は118ポイント。このレースでは優勝と2位では225ポイントの差がつくので、勝った方がチャンピオンとなる。
一方、マトリックスパワータグとTEAM BRIDGESTONE Cyclingのチーム総合優勝争いは、前日の「維新やまぐちタイムトライアル」のチームタイムトライアルを制したTEAM BRIDGESTONE Cyclingが119p差に肉薄。逆転可能な差で最終戦を迎えた。
5周147.5kmのレースは、スタート直後のアタック合戦から6名が飛び出す。さらにその中から、1周目のカルストベルグで木村圭佑(シマノレーシング)、佐藤信哉(VC福岡)、水野恭平(eNShare-エルドラード)の3人が先行する。
メイン集団は、岡の逆転個人総合優勝を狙う宇都宮ブリッツェンと、逆転チーム総合優勝を狙うTEAM BRIDGESTONE Cyclingがコントロール。2周目には3分近くまで差が開く。そのメイン集団から石原悠希(Honda栃木)が単独で飛び出して合流し、先頭集団は4名となる。
3周目に入ると、メイン集団が先頭集団との差を1分30秒前後まで詰める。カルストベルグの登りに入ると佐藤と水野が遅れ、木村と石原の2人が先頭で4周目に入っていく。その後メイン集団はさらに差を詰め、4周目後半を前に木村と石原を吸収する。
ひとつになった集団はなおも宇都宮ブリッツェンとTEAM BRIDGESTONE Cyclingがコントロール。4回目のカルストベルグの登りに入ると、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がアタック。この動きで、岡とオールイスを含む20名前後まで絞られるも、最終周回に入って後方からの合流が相次ぎ、30名ほどの集団にまとまる。
残り10km、前半に逃げていた木村が再度アタックするも、勝負を決める動きにはならず。集団はひとつのまま最後のカルストベルグに入ると、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がアタック。後続との差を一気に開いて登っていくが、マンセボ、オールイス、岡らが追走して吸収する。最後はオールイスと岡の勝負となり、オールイスが先着して優勝し、自ら個人総合優勝を決めた。さらにマンセボが3位、ホセ・ビセンテ・トリビオが6位に入り、マトリックスパワータグがチーム総合優勝も決め、個人とチームのダブルタイトルを達成した。
Jプロツアー総合優勝を勝ち取ったオールイス・アルベルトは、ベネズエラ出身、2019シーズンにマトリックス・パワータグへ加入した。
JBCFプロツアー最終戦「秋吉台カルストロードレース」で優勝をかざり、2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)との年間総合優勝争いを、この勝利で決着。
レースはアマチュアチーム中心の逃げ集団に対し、マトリックス、ブリッツェン、ブリヂストンがペースをコントロールし、最後の登りでの一本勝負へ持ち込む展開(岡篤志選手ブログより)に。最後の勝負は、年間ランキング1、2位の直接対決となりアウラールが万全のレース運びで勝利。
最終戦で2位となった岡は自らのSNSで「最終戦に相応しい、漢の登り一本勝負で決着。結果は負けでしたが、後悔のないレースは出来たと思います」と語っている。
リザルト 147.5km
1位 オールイス・アルベルト(マトリックスパワータグ) 3時間57分21秒
2位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒
3位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) +6秒
4位 石橋 学(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +16秒
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +16秒
6位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +22秒
オールイス・アウラールは全22レース中、14レースに出場し6勝を挙げ、ポディウム登壇は9回、スプリンター属性であるが、タイムトライアルにも強い。
ベネズエラのオリンピック代表有力候補として、そして来季はスペインのプロコンチネンタルチームのカハルーラル・セグロスRGAへ移籍が内定と、さらなる飛躍の年となりそうだ。
■Jフェミニンツアー(JFT)
1周29.5kmで行われたFクラスタは、リーダージャージを着る唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)がコース中盤でアタック。安藤沙弥(フィッツ)が追従するが、唐見はカルストロードのアップダウンで振り切って独走を開始。そのままフィニッシュまで逃げ切って優勝した。
リザルト Fクラスタ 29.5km
1位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) 56分12秒
2位 望月美和子(フィッツ) +39秒
3位 安藤沙弥(フィッツ) +1分36秒
Jフェミニンリーダー 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
■Jエリートツアー(JET)
E1、E2、E3をまとめてEクラスタとして行われたレースは2周59km。序盤に形成された先頭集団が吸収された後、2周目に入って新たに形成された5名の先頭集団が1分前後の差をつける。5名はそのまま逃げ切り、最後は持留叶汰郞(Team SHIDO)が優勝した。
リザルト E1クラスタ 59km
1位 持留叶汰郞(Team SHIDO) 1時間33分29秒
2位 西村 基(VENTOS FRECCIA) +9秒
3位 宮崎泰史(津末レーシング) +16秒
Jエリートリーダー 比護 任(イナーメ信濃山形-EFT)
提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。