2016年07月01日
2017年 GIANTのアルミロードが熱い【NEW CONTEND】【NEW TCR SLR】
ジャイアントのアルミロードバイクが2017年大きく変わる。入門機として好評だったTCRとDEFYのアルミフレームラインナップの後継モデルとして、双方のメリットをミックスしたコンテンドシリーズをリリースする。また軽量アルミレーシングモデルのTCR SLRのフルモデルチェンジを果たす。
まずはニューモデルのコンテンドシリーズから紹介しよう。
DEFYの快適性にTCRの加速性をミックスしたアルミロードのコンテンド。フレームの種類は大きく分けて【コンテンドSL】【コンテンド SL ディスク】【 コンテンド】の3種類で、コンテンドSLが2機種、コンテンドSLディスクが1機種、コンテンドが2機種の全5モデル。コンポーネントのグレード違いで価格帯にバリエーションがつけられている。1台目のアルミロードとして、ロードをはじめたい人に最適なバイクだ。
特徴としては
・ジオメトリー
・パフォーマンス
・幅広い選択肢
である。
ジオメトリーはフロントトライアングルはディファイの設計で、リアセンターはTCRに近いというもの。BBドロップは70mm(515サイズのみ65mm)となる。レーシングモデルと比べヘッドチューブが長く、トップチューブが短めの設計なので、アップライトなポジションが無理なく実現できる。
パフォーマンスを司るフレーム剛性は、ジャイアント独自のオーバードライブ機構によりしっかりしたステアリングフィールをもたらす。さらにクランク部のBB回りを強化するパワーコアを導入し、パワー伝達性能は向上している。また特徴的なダウンチューブの形状はDEFYから継承されたもので、剛性をキープしつつ快適性も両立させている。
NEW コンテンドSL
TCRとディファイのいいとこ取りのコンテンド。エントリーユーザーから中級まで満足できるアルミロードだ。
下側1-1/4インチのアルミーテーパードコラムのADVANCEDグレードカーボンフォークを採用。
ハンドリング性能を最適化する大口径ヘッドチューブのオーバードライブ。
コンテンドSLは軽量かつ高剛性なALUXX-SLアルミをメインフレームに用い、Dフューズ カーボンシートピラーを採用することで、アルミの軽快さに加えて優れたコンフォート性能を実現している。
NEW コンテンド SL ディスク
リーズナブルな価格で油圧式ディスクブレーキ搭載のロードバイクが入手できる。
通常のメカニカルブレーキ対応レバーを油圧式ブレーキとコンパチブルにする【コンダクトディスクブレーキ】。つまり通常のSTIレバーで油圧式ブレーキが操作できるユニット。ジャイアントステムと一体型デザインだ。
BB下にケーブルを通す大きな開口部を設けたことで、メンテナンス性が向上している。
リアもフラットマウント規格を採用し、天候や路面状況に左右されないブレーキングフィールを提供する。
ディスクブレーキ本体の逃がしのために左右非対称のバックステイ形状だ。
天候や路面状況に性能が左右されにくい油圧式ディスクブレーキを搭載したモデル。お手頃な価格で油圧ブレーキを搭載したバイクに載ることができる。基本的な性能はコンテンドSLと同様だ。
価格(完成車、税抜)
コンテンド SL1/140,000円
コンテンド SL DISC/155,000円
コンテンド SL2/115,000円
コンテンド 1/95,000円
コンテンド 2/78,000円
NEW TCR SLR
ジャイアント史上最軽量のアルミフレームが誕生した。その重量はフレームとフォークと合わせて前作よりも115gの軽量化に成功している。フレームは未塗装時で960g(Mサイズ、9%の軽量化)だ。
メガドライブ採用のダウンチューブは前作よりもチューブ口径を26%拡大した。
ダウンチューブのカットサンプル比較。右側が旧モデルで左側が新型。チューブの厚みや太さがまったく異なっている。
フォークはオーバードライブ2対応、アドバンスドプログレードを採用。
ヘッドチューブとダウンチューブの溶接面積を広げ、剛性アップに貢献。
シート集合部は接合部がよりシンプルになった。トップチューブからシートステイへの応力もスムースだ。
バリアントカーボンシートポストを採用し、快適性もアップしている。
2011年にデビューしたTCR SLは2度のモデルチェンジで2014年にTCR SLRヘ昇華した。そして2017モデルとして、3度めのフルモデルチェンジを果たす。このフレームには4つのコンセプトがあげられている。
・軽量化
・高剛性
・快適性
・デザイン
デザインはTCRから継承されているが、さらにシンプルになった。これが軽量化に貢献する大きな理由のひとつだ。
機構もよりブラッシュアップされている。内装ケーブルは左側に一本化し、軽量化と強度アップを実現。ダウンチューブはさらに大口径化され、およそ26%拡大される。大口径化したかわりに肉厚は薄くなり、もっとも薄い部分で0.7mmだという。さらにパワーコアBBを採用することで、パワーロスに繋がるようなねじれを最小限に抑えている。ペダリング剛性は10%アップしているという。重量剛性比は20%アップだ。
操作性に大きな影響を与えるフレーム剛性は、オーバードライブ2、メガドライブの採用で解決している。さらにダウンチューブとヘッドチューブの溶接面積を拡大し、ヘッドチューブ付近の剛性もアップ。フォークもオーバードライブ2採用の新型フォークとなり、フレーム剛性は18%アップしている。
デザインでは、各種のチューブ形状を最適化。接合部分の形状がより滑らかになり、エアロ効果も期待できる。TCRアドバンスドと同様のシートチューブスリムデザインも採用している。ジオメトリーは一新され、TCRのカーボンフレームと同様の値となる。さらに快適性を向上させるため、快適性+エアロ効果+剛性のバリアントシートピラーを採用する。
まさにジャイアントのもてる技術を投入し、比類なき重量剛性比を追求しているアルミフレームだ。すべては最高の走行効率ためなのである。
価格(税抜)
TCR SLR1
シマノ・アルテグラ、SL1ホイールシステム、25Cタイヤ/7.5kg/230,000円
TCR SLR2
シマノ・105、25Cタイヤ/7.9kg/165,000円
価格は2モデルとも同グレードモデルに対して、15,000円前後のプライスダウンを実現。よりお求めやすくなった。
リーズナブルな価格以上に満足度を提供できる、コンテンド。そしてレーシングスペックのTCR SLR。お求めやすいが高性能というアルミフレーム市場にジャイアントが本腰を入れ続けているというしたことはレースをたしなむサイクリストにとっては幸運なことだろう。
チューブレスロードタイヤ「ガヴィア」デビュー
また、チューブレスタイヤもリリースされた。その名はガヴィア。イタリアの有数の峠の名称で、急勾配が連続しジロ・デ・イタリアでも名勝負が繰り広げられたサイクリストにとっておなじみの峠だ。
2015年にフルカーボンクリンチャー、16年でTCRシリーズとホイールシステムが発表された。そして17年のチューブレス化によりさらなるスペックアップが実現する。
ライドパフォーマンスを重視し、優れた転がり効率を達成。トレッド中央部にシリカコンパウンド採用、サイドはハイトラクションな独自のコンパウンドを用いた。チューブレスレディタイヤ(チューブレスタイヤ+シーラント)であるため、フルチューブレスタイヤよりもブチルの使用量を削減でき、軽量でしなやかな質感となった。
重量は318g。姉妹モデルのジャイアント P-SLR1(クリンチャー、345g)と比べ約8%の軽量化に成功した。
価格(予価)
GAVIA SLR(255g) 予価:6000円
GAVIA SL(310g) 予価:4500円
また、チューブレスタイヤの装着を速やかに行なうことができる、ハンディサイズのエアータンク【コントロールタンク】もリリース。フロアポンスでエアーを充填する、コンプレッサーに換わるアイテム。一気にエアーを放出することで、チューブレスタイヤの装着を容易にするのだ。充填した空気圧が220psiを越えると自動的にエアーが抜けるセイフティバルブシステムを採用しているので安心。価格は未定。
(写真/編集部)
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得