2016年08月07日
FUNRiDE NEWS TOPICS【新着情報 】8/7
7.小林マリノがブエルタ・ア・ブルゴス(UCIヨーロッパツアー2.HC)で堂々たる走り
8月2日からスペイン北部で開催されている5日間のステージレース「ブエルタ・ア・ブルゴス(UCIヨーロッパツアー2.HC)」の第4ステージで、トレーニー(テスト生)として、今大会からNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入した小林海(こばやし・まりの)が逃げに乗り、活動拠点とするスペインのレースで存在感ある走りを見せました。
8月5日に開催されたブエルタ・ア・ブルゴス 第4ステージはアランダ・デ・デュエロからレルマまでの145kmで、終盤に3級山岳を含む周回コース(1.5周)が組み込まれていました。また今大会はワールドツアーチームが13チーム出場しており、ブエルタの前哨戦として、アルベルト・コンタドール(ティンコフ、スペイン)ら、世界のトップ選手が参加しており、非常にレベルの高いレースとなっています。
レースがスタートすると、小林はチームからの「逃げに乗れたら乗るように」との指示を受け、10km地点で3選手が先行したあと、ルームポットの選手とともにブリッジを仕掛けて、5選手が集団から先行し、最大で3分8秒ほどタイム差を稼ぎました。
小林は3級山岳ポイント、2つの中間スプリントポイントを2位通過し、順調な走りを見せましたが、ゴールまで30km地点の3級山岳で、逃げ集団から2選手がアタックをかけたことにより先頭集団は崩壊し、集団に吸収されました。そして、残り10km地点で先行していた2選手も集団に吸収されると、ゴールスプリントの展開となり、テクニカルな石畳が敷かれた上り坂のフィニッシュを、ジャパンカップでの優勝経験があり、日本でも知名度の高いネイサン・ハース(ディメンションデータ、オーストラリア)が制し、NIPPO・ヴィーニファンティーニはエドワルド・グロス(ルーマニア)が8位でフィニッシュしました。日本人選手の山本元喜は126位、小林海は141位という結果でした。
今大会、NIPPO・ヴィーニファンティーニは、ステファノ・ジュリアーニ監督とともにイタリア国営放送RAIでコメンテーターとしても活躍する元トッププロでスペイン在住のステファノ・ガルゼッリ氏が監督として同行しており、スペイン語が話せることもあり、今日のステージではガルゼッリ監督がチームカーから小林をサポートしました。
ガルゼッリ監督は「大会初日に友人のイゴール・アントン(ディメンションデータ、スペイン)から良い評判を聞いていたけど、素晴らしい選手だと思った。とても頭がいいし、頭の回転も速い。今日のような場面では、若い選手は緊張してしまって補給食を摂り忘れてしまうようなことがあるけど、マリノは指示したことに忠実で、とても賢く走っていた印象だった。日本人とスペイン人とのハーフであり、自分も現役時代はいつもヘルメットに白い虎の絵を入れていたけど、彼も自分のキャラクターを表すペイントをヘルメットにしていることなど、とにかく話題性があり、注目される存在だと思う。スター選手になる素質をもっていると感じた」と小林のポテンシャルを絶賛しました。
小林海のコメント:
「昨日も逃げにトライしたが、まったく無理だった。今まで(アマチュアレース)は雑に脚を使えば逃げに乗れたけど、ここではそれができない。そのため、今日は狙いを定めて、一発でいきたいと思っていた。3選手が先行したタイミングでルームポットの選手がブリッジをかけようとして、集団の動きが一瞬止まったので、その様子を見て飛び出し、2人でブリッジをかけた。前も踏んでいたなか、なんとか追いつけたものの、集団が常に20秒差くらいで追ってきており、完全に逃げが決まるまではかなりキツかった。しかし、このレベルのレースで逃げに乗れ、他のプロ選手たちと普通にローテーションを回すことができたことは、かなり良かったと思っている。まだまだ力が足りないというのはわかっているけど、自信になった。
初めて経験するプロのレースは、とにかく勝負がかかったときのペースが速いという印象。周りの元プロ選手から、プロのレースがどんなものかと話は聞いていたが、走ってみないとわからないことが多く、走り方が全然違うと感じている。たとえば、アマチュアのレースはいつまでもアタックが続くということがあるけど、ここでは逃げができたら、強いチームがコントロールして一度ペースは落ち着き、最後に勝負がかかるとえげつないくらいにスピードが上がる。本当にプロのレースは速くて、選手たちはみんな強い!
やるからには100%真剣にやりたいと思って始めた自転車競技。プロの世界を知れば知るほど、プロになりたいという気持ちが強くなり、めざすべきところが、ぼんやりとしていたのが、はっきりとしてくる。最初はスペインのアマチュアのレベルでも絶望的に感じていたが、一つ一つステップアップを重ねたことで、アマチュアではトップクラスになれた。来年のことはまだわからない状態で、周りには強くてもプロになれない選手が大勢いるため、プロになることがどれだけ大変かよくわかっている。そのなかでチャンスをもらえたことはありがたいと思う。これからも目の前の課題を一つずつクリアしていきたい。今は調子がいいので、調子が良いときに、いい結果を出して、次につなげていきたい」
大門宏監督のコメント:
「現場の指揮は2人のイタリア人監督に任せていたが、地元でも注目されている小林の活躍ぶりはチームにとっても大きな収穫であり、山本を始めチームメートも良い刺激を受けたことかと思う。今回は彼にとって、レベルが段違いに高いレースだったけれど、“ホーム”の利点を少しでも活かして、伸び伸びと走らせたいと思っていた。会場にいるとアマチュアながら彼の評判は良く、地元のレースファンからも関心を持って愛されている選手であることが良く伝わってきた。
昨日は集団の中で待機しながらも後半の過激なスピードアップに序盤で引き千切られた。一方、今日はスタート後からのアタック合戦に競り勝ち、逃げグループに乗ることに成功。ローテーションに正々堂々加わりながらも後半のアタックで堪らず引き千切られた。スペイン人たちやイタリア人のトップアマチュア選手でも、こういう位置でこういった厳しい経験を味わえる位置に飛び込める奴は滅多にはいないんじゃないかと思った。しかも彼にとってワールドツアーチームがひしめくプロの初レースだ…。
8月はこれからU23ナショナルチームの日本代表選手として転戦する予定だが、招集が正式に決まったら、浅田監督とも連絡を取り合いながら見守っていきたい。今のところ、次回のチーム合流は9月上旬に参戦するベルギー、フランスでの2連戦。中旬から下旬にかけては、イタリアで5戦以上はエントリーさせていくことを考えている」
HP:http://teamnippo.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。