2020年05月31日
ミラノ下町生まれのハンドメイドバイシクル&アクセサリーブランド 「CICLI DRALI MILANO」 が日本語SNSを開始。新規フォロワーにプレゼントキャンペーン/コラムほか
イタリアのハンドメイドバイシクルブランドのCICLI DRALI MILANO(チクリ・ドラーリ・ミラノ)は日本のサイクリストに向けてFacebook、Instagram日本語ページをオープンしました。
フォロワーに抽選で同ブランドのサイクリングキャップが当たるプレゼントキャンペーンを実施します。
詳しくは各SNS CICLI DRALI JAPANのページの告知をご覧ください。
FACEBOOK Cicli Drali Japan
https://www.facebook.com/Cicli-Drali-Japan-109829750717423/
INSTAGRAM Cicli Drali Japan
https://www.instagram.com/ciclidralijapan/
上記いずれかのSNSを本日より6月14日の間にフォローした方の中から抽選で5名様にCICLI DRALIオリジナルサイクルキャップをプレゼントします。
アルマーニ? フィアット?
ミラノの下町生まれのハンドメイドバイシクルブランドCICLI DRALI
CICLI DRALI(チクリ・ドラーリ)はミラノの下町ナヴィリオ・パヴェーゼの地元っ子の間で親しまれる自転車店をルーツとするブランド。
同店の主人ジュゼッペ・ドラーリは1928年生まれの91歳!! 9歳から自転車の仕事をやっているというから、80年以上のキャリアはミラノで、いや恐らくイタリアで最もベテランの自転車職人であり、まさにチクリズモの歴史の生き字引といった存在だ。
自転車乗りに限らず、下町のこの界隈では、誰もが“ペッピーノ(ジュゼッペの愛称)のことをよく知っている。彼の店には、いつも子供からお年寄りまで、多くの人が、特に用事があるわけでは無いのに足を運んでいる。ようするに、地元の人々に愛されるペッピーノ爺さんと、彼が営む自転車店がDRALIだ。
CICLI DRALI MILANO プロモーションムービー(Youtube)
店は父が1925年に開業し、それを手伝っていたジュゼッペが受けついだ。昔からBIANCHIの販売ディーラーをするかたわら、自転車工房として自らの名を冠したバイクフレームの他、下請けとしてもBIANCHIレース部門レパルトコルセにフレームを供給していた。
つまりあの伝説的な名選手ファウスト・コッピも、ドラーリが手掛けた自転車に乗って戦った。BIANCHIと言えば世界最古の自転車メーカーであり、サイクルロードレースの輝かしい歴史に彩られた、ミラノとイタリアが世界に名を馳せる一大メーカーだから、その一翼を担ったドラーリ父子の誇りもそうとうなものだったに違いない。
最愛の妻との別れ。そして生まれた小さな奇跡
実はジュゼッペさん、数年前に妻に先立たれている。婚約時代を含めると69年間を共に過ごしてきた最愛の妻マリーザとの悲しい別れから、彼も、もう店をたたんで引退することを決めていた。 もちろん、DRALIの店の長い歴史が途絶えることを、誰も望みはしなかった。
そんな人々の思いが叶えた、ちょっと素敵な物語があるので、ぜひ皆さんにもそれを知ってもらいたい。
ようこそ、新生CICLI DRALI MILANOへ
2017年11月の夕べ、ジュゼッペさんの店から数十メートル離れたところで、新しいサイクルショップの開店を祝うレセプションパーティが開かれた。まるでブティックのようなモダンなお店は大勢の人で溢れている。パーティは盛大に開かれているようだ。そして、人々の真ん中にいるのはあのジュゼッペさん。
そう、この店が彼の新たな職場なのだ。
ミラノの下町のマーゴ(魔術師:イタリアでは優れた自転車職人を称えてこう呼ぶ)の遺産は、いかにして守られることになったのか。
店を閉める考えのジュゼッペさんの話題は、DRALIの30年来の常連客のひとりによって、ある3人の男のもとに届く。彼ら3人が有志として名乗りを上げ、事業を継続することを決め、ジュゼッペが引退しないように説得する。
そして生まれた新しいブランドCICLI DRALI MILANO(チクリ・ドラーリ・ミラノ)。
このチームのキャプテンはもちろんジュゼッペさんだ。
現在の工房ではCICLI DRALI MILANOの将来を担うであろう、若いアレッサンドロが見習い職人として師匠の手ほどきを受けている。彼はジュゼッペさんの職場から自宅への日々の送り迎えも務めているそうだ。
新生CICLI DRALIにはあのジョルジョ・アルマーニとFIATのDNAも?
CICLI DRALI MILANOの新たな経営陣の3人についても紹介しておこう。ジュゼッペさんからすれば“息子”というよりももう少しだけ若い世代の彼らは、学生時代から付き合いのある仲間同士で、子供のころから「3人で事業を行う」夢を語っていたそうだ。そして現在、DRALIの他にファッションやデザイン、フード部門でも精力的にビジネスを展開している。中でもDRALIのマーケティングで中心的役割を担うアンドレア・カメラーナさんは、あのジョルジョ・アルマーニを叔父に持ち、自身も、ファミリー経営で知られるアルマーニ社で役員を務めている(母がアルマーニの妹でアートディレクターとして知られるロザンナ・アルマーニ)。
おまけに、このアルマーニ家のプリンスは、おまけに父方はFIAT社創業者アニエッリの一族だという。また彼は過去に、イタリアの有名人気歌手の結婚相手として紹介され話題になるなど、ちょっとしたセレブとして知られている。
「ジュゼッペ・ドラーリはイタリアの自転車の歴史に、わずかながらでも記録を残した貴重な自転車職人です。80年以上という長いキャリアの中で、ファウスト・コッピのような偉大な選手達と、そのレースの現場を肌で知っている。 DRALIという、ミラノにある自転車の歴史と伝統を守るためにも、このプロジェクトを進めることを望みました」とアンドレアさん(彼も生粋のミラノっ子である)
「私自身もサイクリストで、アルマーニでマーケティングを担当していた時に同ブランドの自転車を企画したこともあります。日本にはこれまで何度も行っています。また日本のエロイカをDRALIで走りたいですね」
ジャンルカ・ポッツィさんはビジネス全般を統括する。言わばチームのゼネラルマネジャーだ。彼も、ヨーロッパのヤマハ発動機や日本郵船でマネージャー職を務めるなど、良好な関係を持つ日本のマーケット参入に好意的だ。
「DRALIのような伝統的な自転車ブランドをリニューアルするにあたり、ジュゼッペが長年作り続けてきた名品クロモリラグドフレームの“POKERISSIMA”(ポーケリッシマ)は同ブランドの歴史を語るシンボルと言えるモデルです。これに合わせて、50-70年代ヴィンテージのアパレルラインナップを用意しました。 ウールジャージはもちろん、シューズ、バッグ、リュック、サドルなど。また、新しいDRALIはその歴史と伝統を失うことなく、現代のテクノロジーとうまく融合させることを目指しています。そのため、カーボンフレーム“DARSENA”(ダルセーナ)や、スチール、アルミ製のグラベルバイクもラインナップし、これらは全て、ユーザー個々のジオメトリに合わせてオーダーメイドで製作しています」
バイクもアクセサリーも、DRALIの製品は全てメイド・イン・イタリーです。
もうひとりのロベルト・カッラーラさんは、法人であるCICLI DRALI MILANOの財務面を担当している。
「イタリアは本来、アルティジャーノ(職人)の国ですが、残念ながらその文化は失われつつあります。私たちのCICLI DRALIの取り組みは、イタリアの職人による自転車作りの伝統を守る機会にもつながりますから、そのことにも誇りを持っています」
DRALIのレース部門“レパルト・コルセ”
CICLI DRALI MILANOはレース活動にも積極的だ。かつてBIANCHIのフレーム製作や、メカニックとしても貢献したジュゼッペさんのためにレース部門“レパルトコルセ”を設けた。かつてDRALIの店に通って育った自転車少年たちが、現在このチームの選手として走っている。目下、RED HOOT CRITのようなピストバイク専門のレースを主戦場とし戦っている。
レースイベントへのスポンサーシップなども行っているので、遠くない将来にチームドラーリのメンバーが日本で走る姿をお目にかかれるかもしれない。
CICLI DRALI REPARTO CORSE プロモーションムービー(Youtube)
かつてのDRALIの店は、ジュゼッペさんが妻マリーザと一緒に、何十年も営んできた。新しい店には、たとえ最愛の妻はもういなくても、笑顔のジュゼッペさんがいる。このお笑顔を彼は、人生において常に絶やすことがなかったという。
「自転車では、レースをあきらめた選手はバックポケットのゼッケンをはずしてリタイアするが、わしはアンドレアやジャンルーカたちに背中を押されて、あともう少しペダルを踏んで前に進むことにしたよ」
訛りの強いミラノ方言で話すジュゼッペの瞳はなおも、自転車への情熱で輝いているようだ。「でも、わしはエルネスト・コルナゴや、ウーゴ・デローザのような偉大な職人じゃないよ」と、控えめに言うこの男は、たとえ身体が小さくても、イタリアのチクリズムにとってかけがえのない大きな存在だと、彼を知る皆がそう思っているだろう。
ミラノの下町の自転車職人のちょっと素敵な物語がこれからも末永く続きますように。
ジュゼッペさん、いつまでもお元気で。
※新型コロナウィルス禍による、イタリアでおよそ2か月間続いたロックダウン、外出制限は、初夏を迎えた5月4日から段階的な緩和を行っており、自転車による野外でのサイクリングも、単独の場合に限るものの解禁された。長らく休業していたCICLI DRALI MILANOの店も現在は営業を再開した。近くのナヴィリオ・パヴェーゼの運河沿には、憩いを求める人々の賑わいが、少しずつ戻ってきています。
■CICLI DRALI MILANOに関するお問い合わせ先
arteciclo(アルテチクロ)
TEL 03(6821)1456
mail info@arteciclo@org
Web www.arteciclo.org
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。