2016年11月11日
【BMC】フルモデルチェンジを果たしたTTバイク、NEWタイムマシーン01&02公開
2011年にデビューを果たしたタイムマシーンはTDF総合優勝や、ロングディスタンストライアスロン世界記録樹立など鮮烈なデビューウインを飾ったバイクだ。しかしフルカーボンクランク、オーダーメイドのようなフレーム機構は、一般サイクリスト向けとはいえないハイスペックなものであった。今回の先代モデルとなるTM01はフィッティング性能に優れ、プロライダーだけでなく、アマチュアライダーにとっても扱いやすく生まれ変わった。そして2016年にフルモデルチェンジを果たしたタイムマシーンの2モデルはさらにフィッテング性能を高めたのである。
このNEWタイムマシーンシリーズは、先代よりもトライアスリートを意識した設計となる。トライアスリートのニーズに合わせるためにマーケティングに4年の年月を費やし、F1マシンのデザインを手がける空力専門会社のサウパー・エンジニアリングとパートナーシップを締結し、エアロ効果を追求することに3年、製品開発に2年という時間をかけている。
トライアスリート向けといってもロードタイムトライアルのことをおろそかにしたわけではなく、UCI規定のポジショニングやコックピットシステムがセレクトできるのも大きな特長といえる。フレームサイズはS、M-S、M−L、Lの4種類(2モデルとも)。スタックとリーチ、トップチューブ長やハンドルバーの突き出しなどしっかりと見極めてサイズを選びたいところ。
ハンドルバー形状やシートポストのシステムなどを考慮したとき、迷うこと無くハイアマチュア向けフレームといえる。ないし、フレームサイズやポジションがしっかりと決まっているライダー向けだろう。シートポストも一度カットしてしまうと流用は難しいのでロードとトライアスロンを併用する場合はシートポストは2本必要になるだろう。Vコックピットの場合も突き出し量などはUCIルールに則する必要もある。
とはいえ、これだけのスペックを活かすことができれば、最髙のパートナーになることは間違いない。価格は以下の通りだ。
完成車/フレームセット
TM01 デュラエースDi2/149万円(税抜)
TM01 スラム レッドeTAP/126万円(税抜)
TM01 アルテグラDi2/98万円(税抜)
TM01 フレームセット/79万円(税抜)※ハンドルバー形状のセレクト可能
TM02 アルテグラDi2/70万円(税抜)
TM02 アルテグラ/43万円(税抜)
TM02 105/34万円(税抜)
TM02 フレームセット/30万円(税抜)
TM01のロードタイムトライアル仕様(アルテグラDi2)。大きな特長はデュアルマウントシートポスト、Vコックピットにある。
TM01のトライアスロン仕様(スラム・レッドeTAP)。ストレージボックスが装着され、よりパワフルなスタイルになる。
ストレージボックスを外し、シートポストを挿入する場所を変更することで、71〜81°のシートアングル相当のポジションをだせる。
フレーム側のシートポスト挿入口は、専用の樹脂製のキャップで封印する。
P2P Vコックピットはトライアスロン用専用ハンドル。高いポジションを好むトライアスリート向けにエアロパフォーマンスを損なわないように設計された形状。従来の形状はパッド位置を高めに設定すると胴体と太ももにあたる空気の逆圧が高まり抵抗が増すことがわかった。その影響を改善するのが今回のVコックピット形状というわけだ。そしてポジションの変更幅も広いのが特徴的。この前オフセットポジションは快適性が向上するため長距離走行で効果が発揮される。完成車にはこのハンドルタイプが標準装備される。
ロードタイムトライアル向けのフラットコックピットはより低姿勢のポジションが実現できる。これはベースバーを用いるタイプだ。フレームセットであれば、ハンドルバータイプの選択が可能だ。フラットコックピットのハンドルバーマウント部はVコックピットとは形状が異なり互換性はない。専用のベースバーのみ装着できる。
Vコックピットはステアリング部にダイレクトに固定しており、簡単に外すことができる。遠征時など、車両内や輪行バッグなどへ収納するときに役立つ。
ハンドルバー周りにはシフトケーブルやブレーキケーブルが内蔵される。ブレーキケーブルに関してはワイヤー式を用いているが、完全内蔵、シームレスなハンドル周りを実現するために独自の方法を用いている。
カバーを外すとメカメカしい機構が見える。ブレーキのアジャスト調整にかんしては走行中に行なうことはできない。
ハンドルバー周りのカバーを取付けると完璧なシームレスフォルムになる。
ブレーキシステムの動き。フロントリア共に同様のシステムを採用している。テコの原理で強力な制動力を予想させる。
Di2のジャンクションはフレーム内部に完全内蔵される。操作する場合にはニードルのような専用工具を用い、フレーム外側からボタン操作できる。
ストレージボックス形状は直進パフォーマンスが向上し、横風にも影響が出にくい。
フレーム形状にも余念がない。SubAチューブプロファイルは、スイスでF1カーなどのエアロデザインを施す会社と共同開発したもの。
前作と比較してバイクのみでは風向き0°のときは〜5%、ハイドレーション装着時は〜15%。横風20°の時は〜20%。ライダーを含めると0°のときは4〜8%、20°のときは〜12%のアドバンテージが得られる。
マヴィック・CXRエリートがアッセンブルされる完成車にはリムを傷つけないようハンガーラック用のアダプタ−が付属する。
TM02のアルテグラDi2完成車。ハンドルバー周りはベーシックなスタイルとなる。フロントブレーキはダイレクトマウントだ。
(写真/編集部)
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得