2024年03月07日
楽しく安全に走れて、多くの人と共存できる荒川を目指して!「荒川河川敷マナーアップキャンペーン2024」
東京周辺のサイクリストに「荒川サイクリングロード」として親しまれている荒川河川敷。しかし、残念ながらサイクリストと他の河川敷利用者との間でトラブルが起こることもたびたび。そこで自転車インフルエンサーのみなさんとサイクリストのマナー向上を考える「荒川河川敷マナーアップキャンペーン2024」が3月2日に開催、マナーアップを啓発するチラシ配布やトークセッションが行われた。
少年野球チームから生の声を聞く
今回のマナーアップキャンペーンは、 荒川下流部の治水対策や維持管理などを行う国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所が主催。今年、荒川放水路が通水して100周年を迎えることを機に 、河川敷利用者にとってよりよい空間にするにはどうすべきか考えるため、長年、荒川でマナーアップチラシ配布を行っている「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」と協力して企画した。
参加したインフルエンサーは「けんたさん」、「愛あむ」さん、エンジェルプロジェクトの「Acchan」さん。最初に荒川下流河川事務所の出口桂輔所長らと一緒に、河川敷をサイクリングして視察。この日は気温が低く、北風が強い厳しいコンディションだったが、あらためて荒川河川敷ではサイクリストだけでなく、ランナー、散歩する人、野球やサッカーを楽しむ人など老若男女、多くの人が様々な利用をしていることを再確認した。
さらにサイクリストに人気の休憩場所であるレストハウス「キッチンとれたて」(足立区都市農業公園内)で、マナーアップチラシをサイクリストに配布した。
また河川敷のグラウンドで活動する少年野球チームの監督や保護者に、けんたさんがインタビュー。実際に子どもたちが自転車と接触したり、サイクリストに怒鳴られたりした経験もあるとのことで「子どもだとボールや友だちとの話に夢中になって、自転車に気づかないこともある。自転車の方が大ケガされるのを見たこともあるので、 徐行すべきところでは徐行していただきたい 」といった生の声を聞くことができた。
トークセッション「他の利用者とわかりあえる機会を」
最後は「サイクリングステーション荒川BASE」に移動し、トークセッション行われた。
サイクリストが「荒川サイクリングロード」「荒サイ」と呼んでいる道だが、荒川下流河川事務所の出口所長から正式名称は「緊急用河川敷道路」で、地震などの災害時に緊急車両が通る道路であると説明。これにはインフルエンサーのみなさんも「知らなかった」と口をそろえた。
とはいえ、出口所長は「河川は公共のスペースですから、災害以外のときはみなさまに自由に使っていただける場所ということで解放しています。自転車専用道路ではないんですけど、自転車の方にも楽しんでいただきたい空間だと思っていただけたら」と、他の利用者と同じくサイクリストも歓迎しているとのこと。
また「荒サイ」という呼称についても「私はむしろ気に入っていて、サイクリストが親しみを込めて呼んでくれているのかなと思っています」と好意的に受け取られていた。
サイクリスト目線での荒川の魅力については「道幅が広い」「長距離を走れる」ことなどが挙がったが、一方で少なからずトラブルや事故があることも事実。
けんたさんは、少年野球チームとのインタビューを振り返り、「僕も子どもがいるので、子どもが心配になる気持ちはとてもわかります。大人がもっと気を使わなきゃダメ」と提言。
愛あむさんは「今日、初めて野球チームの方と話したということですが、同じ荒川の中にいるのに他のスポーツしている方と今まですごく距離があったんだなと感じました。その距離感が全体的に近くなっていくといいなと思いました」とこの日の気づきを表していた。
Acchanさんも「今回インタビューして最後は和やかに終わったので、話せば友達になれる、いい雰囲気になれると思う。荒川を利用する方たち同志で話す機会がもっとあったら、お互い気を遣えるし、誤解が解けたりするのかなと思いました」と提案。
過去には芋煮会など周辺住民と交流するイベントも開催されたというが、出口所長も「私も自転車で走ってみてハマりそうなぐらい気持ちよかったので、サイクリングを楽しむ仲間を増やしていくという意味でもそういう会があってもいいのかなと思いました」と話された。
その他にも、けんたさんが台湾で見た自転車と歩行者などのレーンを分ける事例や、サイクリストやそれ以外の人も集まれる休憩所を増やしてほしいなどの様々な意見が飛び交った。
出口所長は「完成から一度も決壊することなく水害から人々の命と暮らしを守っている荒川放水路ですが、 年間の多くの日数はいろんな方に使っていただいている空間で、東京だと特にオープンスペースはすごく限られるので、サイクリストのみなさまの視点でも魅力はたくさんあるとあらためて私も実感しました。今日いただいたヒントを含めて、ぜひ仕事でも活かしていきたいと思います」と1日を振り返った。
今回のマナーアップキャンペーンの模様は、各インフルエンサーのSNSやYouTubeチャンネルなどで順次発信される予定だ。
グッドチャリズム宣言プロジェクト https://good-charism.com/
国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所 https://www.ktr.mlit.go.jp/arage/index.html
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。