2019年09月30日
2019 UCI ロード世界選手権 男子エリートロードレース サバイバルレースを制したのは…?
PHOTO:KEI TSUJI
2019年の世界チャンピオンを決める、ヨークシャー世界選手権は、悪天候によってコースの一部が水没するなどし、ラインレース区間の短縮措置がなされハロゲードの周回はプラス2周の9周となる261.46km、さらにスタート時間を30分のディレイとした。
レインウエアや、グローブ、レッグウォーマーを装着している選手がほとんどで、天候が非常に悪く、しかも低温という厳しいコンディションであることがわかる。
序盤に形成されたレースをリードする先頭集団は、キンタナ、ログリッチェ、カラパズなどを含む11名と強力だ。100キロ地点(残り161km)手前では、メイン集団に対しておよそ4分25秒差。
メイン集団はおよそ170名。この中には日本勢の中根、新城もいるようだ。メイン集団は、ヨス・ファン・エムデン(オランダ)、ローハン・デニス(オーストラリア)、フランス勢が積極的にペースをコントロールをしている。エースのために尽力している。
48 | QUINTANA Nairo | |
54 | KOCH Jonas | |
62 | POLANC Jan | |
63 | ROGLIC Primoz | |
78 | NIELSEN Magnus Cort | |
93 | BODNAR Maciej | |
100 | DILLIER Silvan | |
137 | VAKOC Petr | |
140 | HOULE Hugo | |
150 | CARAPAZ Richard | |
163 | HOWES Alex |
ハロゲートの周回コースまで、レースのペースを作った11人の先頭集団のリスト ©️Yorkshire2019
11人の逃げ集団はタイム差を1分半とやや詰められながらも、ハロゲートの周回コースに入った。150人ほどのメイン集団も勢いよく周回コース内へ。そこで大きな落車が発生。ジルベールなど優勝候補が巻き込まれてしまう。
フランスやデンマークが牽引するメイン集団のペースは勢いを増し、タイム差はみるみる縮んでいく。
96km、2周回目には新城が30秒ほど遅れ始め、さらにタイム差が広がる。そして3周目にリタイアしてしまった。
先頭集団では、激しいアタック合戦が繰り返される5人が抜け出す。
ジャン二・モスコン(イタリア)
マッテオ・トレンティン(イタリア)
マチュー・ファンデルポール(オランダ)
マッズ・ペデルセン(デンマーク)
ステファン・キュング(スイス)
ラスト30kmで、メイン集団は60人。前の5人は見える距離、およそ30秒差だ。そこから小集団の追撃が発生するが、先頭には追いつかない。
しかし3人
ゴルカ・イサギレ(スペイン)
カルロス・ベタンクール(コロンビア)
トムス・スクインス(ラトビア)
という強力な追走が抜け出す。先頭(30秒)追走(50秒)メイン集団。
40人ほどのメイン集団は優勝候補とチームメイトの枚数も厚い。
ファンアーベルマート(ベルギー/5人)ベルギー勢はジルベール、イヴェネプールを失っているが、5人を残す。
ジュリアン・アラフィリップ(フランス/3人)
エステバン・チャベス(コロンビア/3人)
パスカル・アッカーマン(ドイツ/3人)
オランダはモレマなど5人を集団に残し、最大勢力となる。一方で最有力候補のペテル・サガンはアシスト無しだ。
25歳の若手が大金星
メイン集団内ではベルギーを中心に強烈な追走がかかり、3人の危険な追走をつぶすが、先頭とのタイム差はなかなかつまらない。
メイン集団に48秒のアドバンテージのまま先頭5人は最終周回を迎える。ここで思いもよらない事態に。周回の最初の上りで、ファンデルポールが力なく遅れてしまった。先頭は4人、イタリア2名VSデンマーク、スイスとなり、イタリアが俄然有利に。
残り10kmを切った。モスコンもトレンティンも均等にローテーションに加わる。先頭のペースは4人になっても落ちない。メイン集団はドイツが主導権を握っているが、タイム差を維持するにとどまっている。ラスト6km、最後となる上りで、それまで牽引したモスコンが遅れ、3名に。
死力を尽くしたペダリングで、大観衆をかき分けてスイスのキュングが先行する。
後続からはサガンが追走を仕掛け、単独で抜け出し、追い上げを見せるがすでに時遅し。
追走を振り切り3名のスプリントとなり、若干23歳、マッズ・ペデルセンがスプリントを制した! ワールドツアーのトレック・セガフレードに所属するペデルセンは昨年のロンド・ファン・フラーンデレンで2位に入っており、U23ネイションズカップでも突出した走りを見せた有望な選手だ。
中根英登 photo:KEI TSUJI
新城幸也 photo:KEI TSUJI
中根英登、新城幸也はラインコースを難なくこなせたが、中根は周回コース侵入直後の落車、新城は入ってからの集団分裂のあおりを受け、トップから遅れてしまいそれぞれ自らレースを降りた。
厳しいコースレイアウト、そしてヨークシャー悪天候によってめまぐるしいレース展開。261.8kmを6時間27分(時速40.37km)という激しいサバイバルレースであった。
PHOTO:辻啓
関連URL:https://www.tissottiming.com/2019/crdwch/en-us/default/Stage/11/Home
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。