2017年11月23日
與那嶺 恵理 wiggle HIGH5 Pro Cycling Team 移籍会見
11月23日、與那嶺 恵理選手の移籍会見が都内で行われた。スポンサー及び親しい方々を招いてのパーティを兼ねており、今年度の活動の報告とともに新天地での活躍を約束した。
フランスのトップチームのエフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープに移籍をして1年、ようやくジャージとも馴染みが出てきたころに、シーズン終盤に突如の移籍の情報が舞い込んだ。そして移籍先はワールドツアーでもトップクラスであるwiggle HIGH5プロサイクリングチームだという。その経緯にいついて與那嶺選手と武井きょうすけ氏が語ってくれた。
契約に至った流れとしては、オランダで行われたブールス・レディースツアーの第2ステージで100km以上もの逃げを見せ、敢闘賞を獲得。このレースでの逃げは色々な意味を込めたものだった、と語る。その日の夜に、wiggle HIGH5プロサイクリングチームよりオファーがあった。契約内容もよく、すぐに契約をしたいというメールには、即決の返事をしたという。
裏話として武井氏が語る。「エフデジの中でも評価は高かった。だがチームの運営状況が芳しくない状況も見えていて、移籍も視野に入れていた。別のチームとも話を進めていたが、紆余曲折があった。本人(與那嶺選手)は走りたいと言ったが、回避したほうが得策とし白紙に戻した。それがブールス・レディースツアーで逃げを打つ前日の話だったんです。まあ怒りのパワーというのもあったかもしれません(笑)。そういう反骨心も大事。敢闘賞を獲得した夜には、wiggle HIGH5プロサイクリングチームのチームマネジャーよりコンタクトがあった。”もし来期に他のチームと契約を結んでいなければ、明日にでも契約をまとめたいので、すぐに連絡を欲しい”と。非常に良いオファーだったので、すぐに確定しました。あの逃げがなければこの契約に結びつくことはなかっただろうし、どこのチームで走っていたかもわからない」
色々な思いを馳せた逃げが掴んだ大きな契約だった。wiggle HIGH5 Pro Cycling Teamは非常に大きな活動規模のチームだ。トップレベルの環境で、與那嶺選手のポテンシャルはさらに開花するか。
今後については、新チームでツアー・ダウンアンダー、カデルエヴァンス・グレートオーシャンなどに出場し南半球のレースを回る。そしてシクロクロス世界選手権(代表選抜はこれからだが)も視野に入れているという。チーム合宿は2月から行われる。拠点はオランダから変更せず、活動を続ける予定だ。
関連URL:與那嶺恵理オフィシャルサイト http://eriy.jp/
和やかな雰囲気の中、移籍までの経緯が語られているが、その内容は我々が想像する以上に過酷なものだっただろう。
今回の移籍について語る、武井きょうすけ氏。與那嶺選手を最高の環境で走らせるために奮闘する。與那嶺選手を通じて、世界の舞台に出ること=サクセスである、という前提を作りたいと述べる。
来年はコルナゴに乗る。コンポーネントはカンパニョーロ・スーパーレコードEPSとパワーメーターはSRM、ペダルはルックだ。そして日本メーカーのカーボンドライジャパン(ビッグプーリー)、梅丹本舗のサプリメントを個人スポンサーとし、活動する。
現在も連載中の漫画、南鎌倉高校女子自転車部の作者でもある松本規之さんも応援に駆けつけた。與那嶺、武井コーチのコミカルなイラストで、応援。與那嶺選手については「プロとして走れることが大事だが、それを体現している」と高く評価する。
フィジカルのトレーナーを務めるのは土居進氏(右/CSCS 健康運動指導士)。與那嶺選手のフィジカルにおけるポテンシャルはまだまだ秘められていると語る。
写真と文:山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得