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2016年12月22日

東京都心の幹線道路を自転車に開放する構想を実現へ サイクリストの1クリックで動き始める「TOKYO BIKE TOUR」

現在、構想段階だが東京都心の幹線道路、さらには首都高までも一部規制して、信号やクルマを気にせず1万人が自転車で走る画期的なイベントのアイデアがある。これを明らかにしたのが「TOKYO BIKE TOURを実現させる会」事務局の馬場誠さん。スペシャライズド・ジャパンやワイ・インターナショナル(ワイズロードを運営)で社長を歴任した自転車界きってのビジネスマンが、ひとりのサイクリストとして夢への第一歩を踏み出した。現在、その実現に向けて参加希望者から公式サイトでの1クリックを呼び掛けている。

※クリックはこちら → http://www.biketour.tokyo/top.php


 

5月5日「自転車の日」に開催を目指す

9月末ごろ、SNS上で「TOKYO BIKE TOUR」というイベントについてのシェアが広まっていた。その内容は東京都心の道路交通を規制し、1万人規模の国内最大級のサイクリングイベントを開催するというものだ。これまでも東京都心をめぐるサイクリングイベントはいくつかあったが、ほとんどが交通規制せずに行われ、規制されたとしても一部区間に限定されていた。

そんな画期的なイベント「TOKYO BIKE TOUR」とはどんなものなのか? 「TOKYO BIKE TOURを実現する会」の発足メンバーのひとりで、事実上の仕掛け人である事務局の馬場誠さんに話を伺った。

まだ構想段階だが、現時点での「TOKYO BIKE TOUR」の概要は以下の通りだ。

開催日時は、2018年5月5日の午前8~11時を目指している。馬場さんは「ゴールデンウィークであれば都心の交通量は少なく、交通規制しやすい。天気も比較的いいですよね」と、その理由を話す。また5月5日は来春にも施行される「自転車活用推進法」の中で、「自転車の日」とも定められており、まさにサイクリングイベントには打ってつけだ。

イベントはレースではなく、ファンライドのサイクリング。東京都心の道路を3時間ほど規制し、コース内を好きなように走れる。一通りコースを走れば、40~50㎞ほどになるように設定される予定だ。

また特定のゴール地点はなく、参加者は自分の脚力やスケジュールに合わせて、好きな時にコースを離れることができる。

「東京マラソンをはじめ、都市部を交通規制するマラソン大会は国内で増えてきましたが、自転車イベントはまだありませんでした。私も東京マラソンを走ったことがあるのですが、規制された靖国通りを走るのは楽しいし、気持ちがよかったです。この非日常的な感覚を自転車でも味わってほしいと考えています。多くの人にサイクリングってこんなに楽しいんだ、という機会を創出したいんです」

普段、自転車で走れない非日常な空間として、レインボーブリッジや首都高をコースに組み込みたい考えもある。現在、参加希望者に行っている「走りたい場所は?」というアンケートでもこの2つがダントツの1位、2位に上がっている。

「他の高速道路とつながっている首都高は難しいかもしれませんが、そうではない首都高であれば、GWの午前中は交通量は少ないと思います。横浜マラソンやアクアラインマラソンは高速道路を使用しているので、自転車だからといって不可能ではないはずです」

参加者の自転車は、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクなどのスポーツ車から、ママチャリ、電動アシスト車まで、ルールに則した自転車であれば車種を問わない。もちろん、参加者にはヘルメット着用を義務付け、安全も啓蒙していく。

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ニューヨークのイベントをモデルに

馬場さん自身、子どものころからの自転車好きで高校時代はランドナーでサイクリングを楽しんでいた。その後、海外留学や海外勤務の経験の中で、アメリカ・ニューヨークの「TD FIVE BORO BIKE TOUR(通称BIKE NEW YORK)」など、都市型サイクリングイベントが世界各地で開催されていることを知った。

この「BIKE NEW YORK」はニューヨークの都市部を40マイル(約64㎞)に渡って規制して行われ、約3万2000人が参加する世界最大級のサイクリングイベント。コアなサイクリストがスピードを競うレースではなく、ニューヨーカーや世界各国からの参加者が家族や友人同士で、普段着感覚で自転車を走らせて楽しむイベントだ。

その後、自転車業界で要職を歴任した馬場さんは今年、台北で行われた「Velo-City」も視察。これは欧州サイクリスト連盟(ECF)が主催する自転車利用に関する国際会議で、アジアでは初開催だった。4日間の会期の最終日には、台北の街を交通規制してサイクリングイベントが行われ、約5000人が参加した。

「こういうイベントを東京でも開催したい」との思いを強くした馬場さんは、企業や自治体、自転車団体ではなく一市民の立場から「TOKYO BIKE TOUR」の実現に向けて動き出した。馬場さんがモデルとする「BIKE NEW YORK」も、1977年の第1回大会はユースホステル協会や高校生など市民の草の根活動でスタートしたという。現在の馬場さんの活動とも通じるところもある。

「日本人は人口の7割が自転車に乗っていると言われる自転車大国のひとつです。その一方で、交通事故やルール違反、盗難や駐輪場の問題などネガティブな面もあります。また、自転車は健康やエコにいいと言われていますが、ある程度の距離を走らないと有酸素運動やCO2削減の効果は見込めません。そこでTOKYO BIKE TOURが、もっと多くの人が自転車を楽しむきっかけになればいい。それが、自転車業界全体の盛り上げにもつながると思います」

 

サイクリストの声が後押しに

こうしてサイクリストの草の根活動から始まった「TOKYO BIKE TOUR」。現在は第1ステップとして、馬場さんがビジネスマンとしての手腕を発揮し、自転車業界内外から9社のスポンサーを募って初期の活動資金を確保。まことさん(ミュージシャン)、疋田智さん(自転車評論家)、絹代さん(サイクルライフナビゲーター)など自転車愛にあふれたおなじみの面々も実現する会の発足メンバーとして、ともに活動している。すでに各自転車業界団体にもアイデアを説明済みだ。

今後のおおよそのスケジュールは、2017年のなるべく早い段階で東京都にイベント計画を提案。秋までに都から開催のゴーサインを得られれば、道路使用許可などの手続きも進めて、2018年5月5日の実現を目指す。

「もしその日が難しければ、半年後、1年後にでも実現させたい」

現在、公式サイトで1クリックした参加希望者数は7,600人ほどで、最終的には2~3万人のクリックを目標としている。ある程度の数を揃えた時点で東京都に提案する予定だ。

実現までの道のりは険しいかもしれないが、踏み出さなければ何も始まらない。そういう思いで、動き出した「TOKYO BIKE TOUR」。もし参加してみたいという方は、下記のリンクから「TOKYO BIKE TOUR」のサイトにアクセスして1クリックを行い、無記名の簡単なアンケートに答えてほしい。

その声が、今後東京都や関係官庁に提案する際に、説得資料として活用される。多くのサイクリストの声が、イベント実現のための後押しとなるのだ。

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TOKYO BIKE TOURホームページ クリックはこちら → http://www.biketour.tokyo/top.php

 


PROFILE

馬場 誠さん (TOKYO BIKE TOURを実現させる会 事務局)

東京都出身、61歳。1979年早稲田大学理工学部卒。1985年米マサチューセッツ工科大学で経営学修士取得。ルイ・ヴィトン ジャパンやコールマン・ジャパンでマーケティング部門の責任者を歴任した後、2006年に米国の有力スポーツサイクルブランドであるスペシャライズド社の日本法人を立ち上げ、2011年まで代表取締役社長を務める。2014年から2015年まで、国内最大級のスポーツサイクル専門店Y’s Road(ワイズロード)を展開する、株式会社ワイ・インターナショナル代表取締役社長。2016年6月、東京都「自転車の安全で適正な利用に関する専門家会議」の会議委員(有識者等)に就任。


 

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