2019年11月16日
【ビチクレッタ シド名護店 中尾峻さん】夢から目標へ。「ツール・ド」なサイクルステーション
都内にあるサイクルプロショップ、ビチクレッタ シド(東京都 狛江市)の姉妹店として2017年にオープンしたビチクレッタ シド名護店。
ここのオーナーを務めるのは中尾峻さんだ。中尾さんはもともとは都内で働くサラリーマンであったが、サイクルショップの起業後に新たな挑戦のため沖縄へ移住。長年の夢へ向かって邁進している。
名護店は、名護市から見て北西にある屋我地島の済井出(すむいで)が拠点となる。その先には古宇利島や素晴らしい景色の古宇利大橋といった名所がある。この名護にあるシドは、自転車ショップというよりは、いわばサイクルステーションだ。カフェや宿泊できる施設を現在は増設中で、完成時には宿泊できる施設が3棟できる予定。
なぜこの場所を選んだのでしょうか。
「私が最初に訪れた時にはまさにジャングルでしたが、瞬く間に周囲も開拓されていって、いまではウチナーンチュの貸別荘などが建っています。
まず事務所を作りました。夏に大型の台風が通過したときは、強い風圧で窓ガラスが押されて1〜2cmゆがんだりして、事務所が飛ばされるかと思いました…..。まさに沖縄の自然の脅威を感じました。
周辺には自転車で走る場所が豊富にあり、訪問してくれたサイクリストの皆さんを案内したりしています。
とくに最近はパラ・トライアスロンのコーチングもさせてもらっています。ここから歩いて2分ほどで海に出られます。サップボードが楽しめるくらい波が立たない場所なので、パラ選手のトレーニングには最適なのです。そこでスイムの練習をしたり。近くではバイクの練習をしたり。名護の球場の辺りにはホイールチェアでランをする場所もある。その3つが揃った場所はなかなか存在しないらしく、ここはすごく立地がいいと言われています」
最初に完成した事務所兼、来訪者をもてなす空間となる。
シドから10分ほどアップダウンの道を走ったところに人気の観光スポット古宇利島がある。この絶景は、古宇利島側から見た古宇利大橋と屋我地島。
事務所から歩いて数分のところにビーチもある。
「私の長年の夢であった最高の環境での「サイクリング」を提供すること。これが名護に拠点を設けた最大の理由です」
『スポーツサイクルと出会い、無気力だった人生が180度変わりました。車では感じることのできない感動を体験できると信じています。
学生時代、日本中を走っていました。中でも感動したのが、沖縄です。海に森と自然豊かな沖縄を「自分の脚」で一度走れば、忘れることの出来ない最高の思い出になります! そんな感動をたくさんの人に伝えたい、知ってほしい。(ビチクレッタ シド名護店 MAKUAKE紹介文より)
現在のサイクルステーションはどんな構成ですか?
2棟完成していて、ひとつは宿泊施設、もうひとつは事務所になっています。事務所のそばに基礎がみえますが、ここに3棟目、加えてもう1棟が建ちます。来年の4月には完成しますので、是非見にきて欲しいです。ビフォー・アフター的に、写真と比較すると面白いかもしれませんよ(笑)」
サイクルステーション開店からもうすぐ2年。ややウチナータイム?な気もするが、着々と現実的に夢から目標へと変わっている。
「3月には強豪クラブチームのみなさんが合宿をしたいとオファーをしてくれています。まだ出来てないって言ってるんですが(笑)」
サイクルステーションの噂を聞きつけて、ツール・ド・おきなわに出場する仲間たちも駆けつける。そうしてサイクリストの輪が広がっていく。
完成した宿泊施設第一号! 内見いたします。
なるほど。気になる宿泊施設を拝見……。コンテナを利用した1Kタイプ。「ユーティリティ、特にバスルームの仕上がりに自信がありますよ!」。明るい間取りで、ベッドルームも十分に広い。リビングの掃き出しの窓も広くて開放感があります。ちょうどお隣の宿泊施設を利用していたサイクリストの皆さんも一緒に内見。興味津々でした。
ウチナーンチュはツール・ド・おきなわのことを「ツール・ド」と呼ぶ。サイクリスト姿の我々を見かけると、「ツール・ド走るんかね?」と笑いながら声をかけてくれる。大会期間中は沿道にサイクリストが押しかけるし、大規模な交通規制をかけては1日じゅう騒がしく迷惑をかけてしまっているが、明るく迎えてくれるおおらかさには頭が下がる。そんな名護の素晴らしさを内地のサイクリストへ伝えるような存在になっていくのだろう。
ツール・ド・おきなわの翌日。シド名護店を訪問していた磯本さん(中央)、クラブ員の酒井さん(右)。
磯本さんはツール・ド・沖縄出場のため関西方面から訪れた。知人から中尾さんを紹介され、自転車の魅力にどっぷりハマった。酒井さんは2016年に宮古島のレースで中尾さんとともにクラス別で優勝を果たし、交流が生まれたとのこと。
SHOP INFO
サイクルプロショップ、ビチクレッタ シド名護店
◇営業時間
平日 10:00~19:00
土日祝 9:00~19:00
TEL 0980-52-8016 FAX 0980-52-8016
メール info@okinawashido.com
(那覇空港から高速バスで約2時間30分:名護まで)
済井出駅より、徒歩10分
お店にパーキング(約10台)あり
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得