2024年10月23日
【宇都宮ジャパンカップ】富士ヒル王者・金子宗平が挑んだジャパンカップ
国内最高峰のワンデーレース「宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」が、10月18~20日に栃木県宇都宮市で開催。今大会にはMt.富士ヒルクライム2連覇中の金子宗平が、日本ナショナルチームの一員として参戦。20日のロードレース(宇都宮市森林公園周回コース)ではその走りが注目された。
「上りは行けたのに…」下りの中切れに巻き込まれ、不完全燃焼
一般企業で働く社会人レーサーながら、国内の様々なカテゴリーで活躍する金子。今季は富士ヒルの他に、全日本選手権ではタイムトライアルで自身2度目のタイトルを獲得し、ロードレースでは2位表彰台、Jプロツアーでも現在ランキング首位に立っている。
ジャパンカップは、2年ぶり2度目の出場。当時もナショナルチームでの参戦で、チーム招集もそれ以来となった。
ナショナルチームの小橋勇利監督は「彼が自分のチーム(群馬グリフィン)で出られないということで、ぜひチャンスを使って活躍してもらいたいと選出しました。チームの年長者で脚もあるので、今回は津田(悠義)と橋川(丈)と金子がリーダー的な役割でチームを支えてもらいました」と起用について説明した。
金子は2年前のジャパンカップでは、力を発揮することがなく終わった悔しさがあった。
「2022年は2周目の下りで外国人選手の中切れに遭い、ナショナルチームが3人ぐらい巻き込まれてしまった」
その反省を胸にこの日は慎重にレースを進め、中盤過ぎまではメイン集団に踏みとどまっていた。
「今日は気をつけて最初の3周ぐらいは下りで中切れしないよう走れていて、40人ぐらいの集団に残れていた」
しかし、残り5周ごろから優勝争いに向けて集団がペースアップすると、再び中切れの犠牲になる。
「途中まで前の30~40人の集団に残って、上りも普通に行けたんですけど、下りで切れてしまった。ペースが速かった下りで前の選手が切れて、それを埋められなかった。悔いしかないというか、不完全燃焼という感じですね」
結局、自らの力を存分に試すことはできず、後続の集団でレースを終え、27位でフィニッシュした。
「今年は調子がよくて、いろいろなレースで勝っていたので、できるだけ粘って上位で走りたかったんですけど、悔しい結果になってしまった。やっぱりここは下りの技量が影響するので、そこが課題です」
世界最高峰のワールドチームの選手たちの印象については「上りも下りも平坦も、国内のレースより2枚も3枚もレベルが高いです」と語っていた。
今後もプロや世界を目指す考えはなく、今のスタイルで競技を続けたいと語る金子。
「自分はクラブチームでこの後も走るので、まずは国内で活躍して、こういう機会があれば力試しでやっていきたいですね。ナショナルチームで出られる機会は貴重なので、レベルの高いレースという意味で、そこを目指してがんばりたいです」
日本ナショナルチーム小橋監督「若い年代からの育成が必要」
今回、ナショナルチームの指揮を執った小橋監督は、現役時代にジュニア・U23日本代表、シマノレーシングなどで活躍。現在は地元・北海道でHOKKAIDO ESPOIR PROJECTを設立し、ジュニア・ユース年代の育成を行っている。日本ナショナルチームは、今年9月の世界選手権に続いて監督を務めた。
例年同様、今年のナショナルチームも若手中心のメンバーでジャパンカップに臨んだ。
「我々は若い選手で構成しているので、もちろん先頭で戦えるような選手がチームの中にいると思っておらず、できるだけ自分たちの力を発揮しつつ、次につながるいい経験をしようとレースに臨みました」
「近年、レースはスピード化していて、昔みたいに逃げを行かせて、のんびり徐々に追い上げていく展開は、ワンデーだとかなり少なくなってきている。今回も終始速いだろうと予想していたけど、やっぱり想定を超えるほどの厳しいレースになった。その中で津田もいい位置で入れていたと思うけど、力の差があった」
津田はレース中盤、集団先頭付近を走っていたが、結果的にDNFに終わっている。その後もナショナルチームの選手たちは、苦しい戦いを強いられた。
「下りの分断が、想像以上にいたるところでダメージとなって選手たちに積み重なって、結果的には金子が27位。彼は間違いなく力があったので、今日のような順位がとれるのはある程度想定していた。ちょっと期待していたU23のカテゴリーの選手たちはあと一歩足りなかったのが、悔しい」
日本の課題である若手育成について、小橋監督はもっと若い年代からの育成が必要と語る。
「世界のレベルは年々上がっていて、もっと早い段階から育成する必要があると感じています。現在はジュニア(19歳未満)から育成というイメージですが、それも古いと思っています。U17、U15から育成して、一歩一歩ステップを踏んでいけば、今はかなり開いている世界との差が着実に埋まっていく。そこに向けてナショナルチームとしては体制をよりよく整えて、諦めずに向かっていきたい」
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著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。